身を守る為に淫靡を演じます。
第三皇女。
それがどれだけ惨めで、悲惨で、そして幸福か。
第一子のお兄様。
その次に産まれた長女のお姉様、次女のお姉様、そして三女の私。
それが我がユリシア王国の皇族として産まれた実子の全貌であった。
そう、第三皇女 ユアン・ユリシアとは私の事である。
兄弟仲もいい私達の中に暗殺の兆しもなく、順調に嫡男のお兄様は王になる準備をしていた。
その為、私が女王に、もしくは未来の旦那様が王になることはまずないだろう。
長女次女のお姉様達は、将来が有望なイケメン貴族に求婚される日々で、皇族らしく引く手数多だそうだ。
どうにか皇族に入りたい貴族なんて、掃いて捨てるほどいる。特に、優秀で美しいお姉様方と結婚出来ることは、この国でも大変な名誉だ。
私はというと、皇族として持て囃されるどころか、お父様はできるだけ力のある貴族と結婚させる為に画策しているらしい。
お父様の1番のオススメの人物は、私よりも年が15も離れる男だった。
そう、お姉様たちは選ぶ側、私はなるべく国の力になるための結婚を強いられる側。
お父様は私をどうにか使い物にする為に躍起になっているのだ。
というのも、それは少し前の話である。
今私は、美男子とあらば手当り次第に手をつける卑しく淫らな姫であるからだ。
お父様は、何の取り柄もない第三皇女がとうとう使い物にならなくなったので、体たらくな実態に嫌そうな目を向けるものの基本的には放っておかれている。
これだけ卑しい噂の蔓延る三女など、飼い殺しが一番皇族の名を汚さないと思っているのかもしれない。
これが、私の自分を守る方法。
こんな女なら、年の離れた貴族ですら嫁に欲しがらない、と自暴自棄に思いついた作戦が思ったよりもうまくいったのだ。
コンコン、というノックの後に聞きなれた侍女の声が聞こえた。
「皇女殿下、お会いしたいという男爵家のご子息様がお見えになる時間でございます。」