第44話
父上から、若狭攻めの許可を得た僕は、一部の軍を連れて若狭を攻めた。若狭には細川晴元が逃げたという情報もある。暗殺はせずに滅ぼすことにした。若狭武田家は既に力を失っているし、甲斐武田家の分家といえど関係がない。逆に謀反人に協力しているのだ。滅ぼされて当然だろう。
若狭武田は予想以上に弱かった。今川軍を見たらすぐに逃げたり、戦っても同士討ちが発生したりと大変なことになっていた。街の様子を見ているのに、全部、農民兵で正規兵はあまりいないようだ。そんな状態の兵で、今川家に勝てるはずはないのに。ただただ、兵の数を集めただけとは、かなりヤバいな。しかしこれだと支配後は大変だ。更に、若狭武田の重臣等は僕らが攻めてきた瞬間に降伏していく。もう、こんなことをする武田家に見切りをつけたようだ。まあ、当たり前のことだろう。こんな馬鹿なことをするのはまずい。もし僕なら、細川晴元を保護せず、首を切り、自ら僕と義兄上の元へ誠意を示すためにくる。そしたら僕らは許したであろう。そして本領安堵をすることになったのであろう。まあ既に戦ってはいないものの、謀反人に協力したため、領地を減らすことにした。そして若狭武田家を攻めるのに、先鋒として使った。若狭武田家家臣や若狭武田家当主武田義統は城の落城と同時に切腹した。そして他の若狭武田家の人間も、全員僕の命により、切腹か僧門に入った。更に細川晴元は逃げたようだが、今度こそは捕らえた。どうせ殺すだろうが、僕は細川晴元を京都に連れて帰った。更に、僕はとりあえず家臣を置いて全ての後始末を行わせた。
「義兄上、謀反人、若狭武田義統を討伐いたしました。また謀反人、細川晴元を捕え、京に連れて参りました。」
「そうか!よくやった。本当に早いな。」
「若狭武田家は弱かったです。家臣内での派閥対立、そして当主の無能により、重臣等はすぐに従って参りました。」
「そうだとしてもすごい。褒めよう。」
「ありがたきお言葉。」
「後もう一つ、駿府に向けて勅使が出発し、今川治部卿を従三位に任じたそうだ。」
「動きが速いですね。」
「そうだな。朝廷としても今川を頼りにする必要があるしな。彦五郎、これからも頼んだぞ。」
「はっ」
「それでだ、細川晴元の処遇だが。」
「謀反人ですので処刑が良いでしょう。しかしそれを名誉ある自害にするか、首を切るかでしょう。」
「うーむ細川京兆家は名門家だ。仮にもその元当主を打首にするのはなあ。しかし個人的には、打首にしたい。彦五郎はどうだ?」
「はっ、某としては、打首にするべきかと。細川京兆家は巨大です。しかしいくら巨大だといえど、ただの家臣であり、臣下。謀反は許されないと示せます。」
「うむ、そうだな。そうしよう。他のものも決めなければな。」
細川家との戦いの後始末はめんどくさいが必要なことだ。反乱の芽を摘まなければならない。




