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第38話

「蒲生はまだ降伏しないのか?」

「若殿、申し訳ございません。」

「はあ、もう良い」

「若殿、お許しを。」

「其方のことではない。蒲生は諦めた。浅井はどうなっているか?」

「はっ、浅井も抵抗しています。」

「素直に従わぬか。包囲は解くな。しかし、浅井を攻めに行く。滅ぼす。」

「はっ」

「龍刃軍1千を朽木谷に送れ、義兄上を救助いたす。」

「はっ、某が自ら行きましょう。」

「工藤昌祐、頼んだ。」

「はっ、上様を必ずや助け出しまする。」

「うむ」

僕はもう蒲生を落とすのを諦めて兵糧攻めを開始した。そのまま大部分を連れて浅井を獅子刃軍と挟み撃ちにして倒した。朽木谷は上様に従っているし、後は蒲生を降伏させられればいいのだが。


小谷城に入場した僕は義兄上の到着を待っていた。

「若殿、上様が参られました。」

「お通しせよ」

義兄上が入ってきた。

「彦五郎よ、この度は余の願いを受け入れてくれてありがとう。」

「いえ、我々は幕府の家臣ですから。」

「しかし其方と前に、そうだな1月に会った時は、この畿内の争いに巻き込まれることを嫌っていたな。余も同じだ。細川を怨敵にしていた。それをみて中立ではなく三好についたと判断したのであろう。それでだ、命を狙われた。細川方の幕臣、反三好の者どもは何もしなかった。三好方と中立の家臣のみ連れてきたが、一部は死んだ。反三好の者も本当に一部は余を庇おうとして亡くなったが。余を政治の駒としてしか見ていないのだな。忠誠心はないのであろう。まあこのような体たらくだったら仕方ないか。本当に信用できるのは中立派のみだ。諸大名で信用に値するのを考えると、彦五郎しか思い当たらなかった。多くの諸大名には会ったことがないしな。今川治部卿はどうなのかわからぬ。しかし彦五郎がこう育っているのを見てまともな人物だと思った。それに余が守護に任じて、支配が整っていなかった4カ国を無事平定したのであろう。流石だ。それに彦五郎の才を理解して色々任せて使っている。疎むことなくな。人はそうするのが難しいものだ。自分より人望や才を持つものを落とそうとする。たとえそれが息子であろうとな。武田信虎がその例だ。それにより晴信が追放に至ったのであろう。今川家はすごい。そして領民にも善政を敷いていると聞く。伊賀で陶器がつくられるようになったのも今川家の領地となった後だ。其方が献上してくれたのを見たがすごく綺麗だったな。」

「ありがとうございます。」

「彦五郎は我が義弟だ。畏まるな。」

「はっ、それで今後の予定ですが、蒲生家を降伏、または滅ぼした後、京に行きます。それで細川を追討いたします。逃すつもりはありません。三好にも連絡をとって協力してもらいます。本州から退いたものの、四国に未だ勢力は残っていますから。」

「わかった。余からも添え状を送っておく。何だったら蒲生にも降伏するように促す書状を書き、三渕に持たせようか?」

「お願いします。蒲生は降伏してくれると助かるので。」

「役に立てそうで良かった。ただ世話になるのは気が引ける。」

無事に義兄上を保護できて良かった。後は京を安定させて、細川を討つだけだ。完全に倒さなければ、また再起してくる。三好は復讐心があるはずなのに、何故うたないのかが謎だ。





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