第24話
「若殿、赤備え5000、並びに虎騎刃軍1万5000用意整いました。筒井、十市、樽沢は大和との国境にて合流する手筈です。」
「そうか。あまり降伏しなかったか。」
「はっ降伏というよりは越智の圧力に屈したり、越智に従っているものが多く。」
「まあ良い。行くぞ。」
「はっ」
僕は福島正勝を先鋒にして降伏した国衆達を率いさせて、敵対している越智の城や、国衆を滅ぼしていった。そして最後に今井郷を包囲した。今井郷に対しては、焼き討ちに遭うか、武装解除、宗教の変更、税を納めるかを選ばせた所、使者は殺されはしなかったものの、縄に結ばれて送り返されてきた。
断るとのことだろう。僕はその返答を聞いて今井郷は寺社ではなく、ただの砦な為、焼き打たせた。そして興福寺に対しては包囲して武装解除を要求した。我々の勢いを見たのかすぐに応じてくれて助かった。そうして1554年1月、大和は今川によって平定された。僕は戦場で働くことはなく、後方から指示を出しているだけだったのは少し楽しくなかった。そしてこの戦いで1番活躍したのは福島正勝だった。その為僕は氏真の真を与えて真正とすることにした。僕が偏位を与えるのは初めてのことだ。福島は喜んでいるようで僕は嬉しかたった。他の家臣にも領地を与えることを考えている。父上に相談してみよう。しかしまずは大和を取れてよかった。そして父上から文が届いていた。どうやら駿府に勅使が訪れて、父上は正四位上治部卿に任じられたそうだ。彦五郎には大和にいるなら京で行いたいとの帝の意向なので京に近々行ってこいと。平定が完了したら平定の報告も行うが良いとのことだ。後官位の件も含めて1000貫朝廷に献金してくれとの話だった。同時に直垂と束帯も送られて来られた。僕としては早く駿府に帰りたいのだが。しかし大和が安定したら行くか。大和にも同じ処置を行えばいいだけだし、武装勢力はいないから安心だろう。各国に駐在する部隊を作るか。今川家直属の部隊が各国にあったら便利だろう。各国衆への監視にもなるし。僕はとりあえず虎騎刃軍を駿府に帰還させるとその提案をする手紙も持たせた。父上より許可を貰えれば良いが。未だ効果はあまり出ていないが少しずつ経済活動は伊勢では活発化しているし、伊賀焼きは売れ筋が良くなったそうだ。陶器も骨でできる方法を見つけたそうで、今は試作品を作っているとのことだ。伊賀が豊かになりそうで本当に良かった。
そして、僕は父上のおっしゃる通り、京に行く準備を始めた。なるべく短い滞在にするつもりな為、前もって上様と帝に使者を送ったところ、同じ日に来るようにとのことで、わざわざ僕のために午後と午前にそれぞれ謁見の段取りをしてくれたみたいだ。助かる。




