第20話
北畠勢と睨み合っていたが先に動いたのは北畠だった。北畠は陣の真ん中に突撃してきた。僕の首を取るつもりだろう。それが1番勝つのに楽な道だ。僕の身柄の確保か僕を殺すのが。実際に桶狭間の戦いに信長が勝てたのはそれが理由なのだから。しかし僕はとっておきの秘策があった。北畠はそうくるというのは簡単に読めた。そのため、1千を別のところに配置して空いた本陣を襲う手筈になっている。普通なら兵を分けない方が良いが今回は特別だ。晴倶は公家だと言われているが恐らく本性は違う。さもなくば北畠は志摩を取るのは困難だ。それに団結しているように感じる。晴倶ももうわかっているであろう。負けたという事は。勝つ方法は僕を討つのみか。流石の名将だが負ける事はできぬ。
「鉄砲隊前へ。撃て。」
僕は鉄砲を増産して1500丁まで増やした。信長が長篠、設楽原の戦いで行った三段構えを行わせている簡易的な馬房柵も作った。信長の半分しかないため500丁毎の交代だから武田騎馬隊みたいにはできないはずだがかなりの威力だ。弾丸も凄い勢いで作っていて今や鉛だけではなく硝石を使っての弾丸もある。鉛の弾丸は未来人の知識だ。硝石の作り方も未来人として知っていたため、今川領では農民達は年貢ではないが、自分達の排水物を集めて、献上する必要がある。ただし肥料にも使えるゆえ、7割だが。排水物を捨てるのがめんどくさいのもあるのか、農民からそれに関しては反対が出ずに助かった。それに多くの鉄砲鍛冶を我らに招聘する事によって、今川領は今や1番の生産地だ。しかしどこにも売っていないためどれだけ作られたのかは秘密だが。
北畠勢は鉄砲に驚いていたものの普通に突っ込んでくる。普通はそこまで弾丸も無いしな。すぐに終わると思っているのであろう。しかし我らの持つ弾薬はそんなに少なく無い。沢山あるのだ。それを見せつける必要がある。そして1千が本陣へ攻めかかったようだ。晴倶は恐らく撤退の決断をする。それを避けるため。勘助に任せておいてよかった。勘助はやはり頼りになる。我が軍師としてとても優秀だ。竹中半兵衛もいずれ我が偏位を当てよう。現在は8歳だが、飛び抜けて優秀だそうだしな。人質たちにはまとめて教育を受けさせているが、その中でも飛び抜けていると報告があった。いずれ小姓にも取り立てるか。
北畠勢はかなり混乱している模様だ。しかしそこに我々も追い討ちをかけた。
「若殿、北畠晴倶討ち死にとのこと。お味方大勝利です。」
「そうか!すぐに霧山城を占拠致す。」
「ははっ」
僕は霧山城を占拠するとそのまま自らも軍を率いて伊勢、志摩などの北畠領を平定した。そして僕が他の今川領にも行っている政策を実施した。しかし伊賀には兵士を派遣はしなかった。伊賀には調略で従ってもらいたい。僕は風魔小次郎に調略を命じたが果たしてどうなるのやら。




