第168話
「勅命である。従三位参議、左近衛権中将、治部大輔、源朝臣氏真を参議より解任し、中納言に任ずる。また、同時に正三位に昇進致す。」
「ははっ」
「もう楽にするが良い。今川殿、これで肩苦しいのは終わりだ。そもそも室町殿からも中納言昇進の要請もあったしな。丁度良いのだ。帝もさぞ喜びであろう。帝は今川殿が参られると喜ばれ、帰られると寂しがっていた。本当は側に仕えさせたいと言う内心を吐露されたこともある。帝も今川殿の事情もわかっておいでだったから何も言わなかったが。これは私からのお願いだ。帝のために最後ぐらい側にいてほしいのだ。私と東宮様は、帝がもう長くないと知っている。医者より聞いた。室町殿には、使者を出し、出仕を要請した。室町殿が、御子を今日お披露目されたそうだな。それで忙しいのはわかっているが、恐らく来られるだろう。帝の死に目に会えなかった場合非難されかねないし、馬鹿にされることもあり得る。まあ今川殿、室町殿ぐらいだがな。武家でこれをできるのは。室町殿に関しては帝は自身の子のように考えられていたようだしな。」
「そうだったのですか。教えてくださりありがとうございます。関白様」
「近衛殿で良い。室町殿なんて義兄と呼んでくる。同い年なんだがな。ふっ、お前は礼儀正しいな。それは皆が好くだろう。普通は威張り散らかすからな。其方のような権力があると。凄いことだ。」
「ありがとうございます。」
「気にするな。」
「関白様、今川殿、帝が目を覚まされました。また、公方様が到着なさられました。」
「東宮様、親王様が帝の元においでです。もうかなり弱っているようです。」
「急いで行くぞ。」
「はい」
僕と関白様が帝の元に行くと、義兄上、皇太子殿下、恐らく皇太子殿下の子供、そして多くの公卿が集まっていた。もう最後が近いのだろう。
そして、僕、義兄上、関白様、皇太子殿下が近くに呼び寄せられた。
「帝、今川殿を御心通りに昇任しました。」
「それは良かった。中納言、義輝、前久、方仁、日の本を頼む。其方ら4人が中心となり、平和の国を作れ。若き俊才3人とともにな。」
「「「「はっ」」」」
そして帝は亡くなられた。その結果僕の滞在予定を延ばすことになった。色々儀式があり、生前の意向ゆえに僕の参加が義務のようになったからだ。そして様々なことがあるため、帰るより残った方が効率が良いとなった。その間は輝若丸様も、今川家京屋敷で育つ。まあ義兄上にとっては会いやすいし良いかもしれないが、家督相続の準備を進めている僕としては結構大変だ。まあ帝から信頼を頂いているには名誉でもあるんだけれど。しかし、領地からわざわざ書類を貰って、仕事をするのは大変だ。幕府のもあるし。まあまずは、帝の葬式を無事に迎えて準備と参加する必要があるけれど。




