第165話
そのまま、大奥で輝若丸様に謁見したが、もう輝若丸様は既に寝ていた為、大人しく退出した。
そして、次の日、全国各地からの大名が集められた状態で、僕は1番立場が上の状態だった。更に、畠山殿も、かなり高位の席が用意された。権力はほぼないといえど次期管領としての扱いは既に始まっていた。三好は、家臣団の座席としては三番目で、今川、畠山、三好という順番だった。三好長慶はかなり怒っていた。また、今川家はいつも通り特別扱いで、一段高いところに座っていたし、自身の家臣を伴っていたのも反感を呼んでいるようだが、これらの措置はすべて三好が原因なんだから仕方はないだろう。
「上様の御成」
そうすると、上様、御台様、そして輝若丸様が入ってきた。
「皆の衆面をあげよ」
そして僕が家臣代表として挨拶する番だ。
「上様におかれましてはご機嫌麗しゅうございます。また御嫡男の誕生誠におめでとうございます。」
「彦五郎、堅苦しい挨拶はいらぬ。一門として、義弟としての挨拶で良い。本題に入ろう。まあ皆も知っているだろうが余に嫡男が生まれた。輝若丸だ。」
そうして輝若丸様が、御台様に抱き上げられた。
「慣例では伊勢家が養育だが、既に、宮中にて刀を抜くという不敬を行い追放されている。それゆえだ、傅役は伊勢家ではなく致す。彦五郎、此方へ」
「はっ」
「ここにいる今川参議氏真を輝若丸の養育係とし、養育を任せる。わかったな。」
「ははっ、ありがたき幸せ。」
「またここで申しておこう。輝若丸の妻は決まっていないが、正妻は、年齢さえ合えば彦五郎と我が妹の娘にするつもりだ。血筋的に相応しい。」
「上様、今川宰相様には未だお子が居ませぬ上に、遠く駿府に住んでおいでです。少しそれは困るのでは。」
「その件だが、大和にて養育することになっている。我が弟の覚慶もおるしな。心配要らぬ。」
「はあ」
三好がやっぱり横槍を入れてきたが、まあいい。今川家に正面切って対抗することは無理だろう。
「また、ここにいる輝若丸はいずれ余の跡を継ぐのでそれをわかった上で動くように。」
「ははっ」
「後もう一つ発表がある。現在空席である管領のことだが、管領を新たに任ずる事に致した。畠山右衛門督、此方へ」
「はっ」
「其方を管領と任ずる。励むように。また、幕臣として、5万石俵米で与える。」
「ははっ」
「これで話は以上だ。彦五郎、此方に参れ。今日より其方が養育致すのだ。抱くが良い。」
「ありがとうございます。」
僕赤ちゃん抱くの苦手なんだけれどなあ。そもそもこれ聞いていないよ。面倒だ。しかしあからさまに三好を牽制していることを気づいていただろうなあ。三好はどう動いてくるんだろう。




