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第16話

京に向けて駿府を出立した後、尾張、清州城にて朝比奈備中守(泰知)と会った。そして尾張の事について簡単に報告を受け、そのまま美濃に向かった。美濃では鉛の鉱山などを視察した後、稲葉山の楽市楽座などの報告や美濃の情勢を鵜殿長輝より報告を受け、京へ進んだ。美濃、尾張、三河は今川の領地だが近江からは違うため、近江に入った後は警戒しながら進んだ。今回は陸路で京もきな臭いため1000もの兵を父上はつけてくれた。


京についたら公方様へお伺いの使者を出すと明日会うとの言葉だった。明らかにおかしいほど会うのが早い。昔将軍家の権力が高い時ならこのようなことはなかっただろう。


次の日、僕は仮の宿所である寺を出て、東山霊山城へ向かった。上様は御所を出られてそこに住んでいられるそうだ。


今回はちゃんとした謁見の場所があるようだった。ただしやはり公方様が住むようなお城には見えなかった。稲葉山城のほうが立派であろう。


「上様、今川美濃守氏真が挨拶を申し上げます。」

「うむ。遠いところからよくやってきたな。今川美濃守。今川美濃守よ、義兄弟の契りを結ばぬか?」

「義兄弟の契りですか。某が上様と?」

「そうだ。余は美濃守に期待しておる。この一年の間に美濃だけではなく北条を打ち破り、相模、武蔵、上野を取った其方をな。今川治部大輔だけではできなかったであろう。其方がいてこそだ。それに領地もとても栄え、軍も精強だと評判だ。略奪をせぬとな。それに今川は足利の分家だ。どうだ。別に義兄弟だからと何かせよという訳ではない。其方と余が仲良くしたいだけだ。」

「しかしながら父上の許可が」

「義兄弟契りは何の効力も為さぬ。同盟関係などにも影響せぬ。それに吉良が力を失った今、足利が途絶えたら将軍家を継ぐのは今川だ。そこに余と義兄弟だったというのは使いやすい。余は天下を泰平にしたい。その為には美濃守の力が必要だ。」

「わかりました。上様と結びます。」

「よく言ってくれた。今から余の事は上様ではなく兄と呼んでくれ。我が弟は皆僧門であまり会っていなかったのもあり、兄と呼ばれたかったのだ。余は彦五郎と呼んでも良いか?美濃守だと他人行儀だ。」

「はっ」

「楽にせよ。彦五郎。」

「はっ」

「まあ少しずつ慣れてゆけ。それでだ、其方の父を相模、上野、武蔵、美濃、下総、安房、上総、常陸の守護に任ぜよう。」

「上様、」

「兄だ。」

「義兄上、恐れながら下総、安房、上総、常陸は我らの支配が及ばず、古河公方様が支配されていますが。」

「確か足利藤氏であったな。弟の義氏は勝手に偏位を貰ったように振る舞っているが与えておらぬ。」

「北条方の古河公方は行方不明になっていますが恐らく亡くなられたのかと。古河御所はその兄によって戻されたと聞きましたが。」

「そうだな。古河公方、並びに関東管領は廃止と致す。そして下総、安房、上総の平定を今川に命ずる。」

「ははっ、父上に伝えます。」

「後で書状を与えよう。」

「それで彦五郎の官位だが、参議と左近衛中将を与えたいと思う。どうだ。従四位下に昇級させたい。」

「恐れながら義兄上、それでは父上の官位を超えてしまいまする。長幼の序というのが。」

「帝は其方を大変気に入っているようだ。美濃の平定は帝の命だと聞いた。勅命に従ったのだ。階位が上がって当然だ。後今川治部大輔には正四位上にしよう。それでどうだ。」

「しかしながらとても恐れ多い事です。」

「彦五郎、其方は義兄弟、帝も其方の官位を上げる事は賛成なさるであろう。」

「しかし」

「そうだ!今川治部大輔を治部卿に推薦いたそう。其方が治部大輔になれ。其方がここまで辞退致すのだ。参議はまた今度にしよう。これ以上は譲歩できぬ。」

「ははっ」


上様との謁見はなんか驚きの連続だった。ただし上様はかなり今川を重く見てくださっているようだ。わざわざ今川を大きくするようにしているのだから。上様は今川に11カ国与えられた。早急に戦う必要があるようだ。上様の命令書を与えられたから、それを使い交渉するか。





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