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第156話

「若殿、藤枝美濃守に御座います。お呼びに従い、参上いたしました」

「入れ」


 藤枝美濃守が入ってきた。報告を聞く必要がある。京の様子と幕府の状態を。更には、三好の動きだ。京にも忍びはいる。諜報網を敷かせていた。そして、その統制は、藤枝美濃守の仕事だ。京の都より西の情報は、よほど重要ではない限り、僕にいちいち報告されない。力を持っている大名家がいる事にはいるが、領国に忙しくて進出してくる力まではあるとは思えない家やお互い戦っている家ばかりだからだ。


 その上に、配属されているのは、諜報員といえど戦えなく、情報を得るだけのための人たちだ。出来るのは簡単な剣ぐらいだが、僕に忠誠を尽くしていて、藤枝美濃守に預けているのだ。甲賀や伊賀の忍者集団はプロで、そこからの情報は僕に直接行くけれど。そちらの方が得れる情報も暗殺もできて圧倒的に強いから扱いも格上だ。


「それで、京の統治はどうだ?」

「順調です。犯罪件数も減り、貧乏人に関しては、若殿の命に従い、シベリアもしくは蝦夷地に開拓民として贈りました」

「うむ、開拓事業は孕石主水に一任しているが、うまく行っているようだな」

「はっ、某の家臣が、移民を届けた際に申していましたが、よく設備が整い、餓死や凍死などの可能性が低く、とても開拓に適した環境となっているようです」

「それは良かった。このまま続けよ。それで、犯罪者は如何にしているのだ?」

「はっ、重罪のものは死刑ならびに鉱山の労働に送り込んでいます。軽いものは罰金や、造役を課しています。または杖や鞭でうつなどをしています」

「それで良い。そのまま続けよ」

「はっ」


「それで幕府はどう動いている?」

「三好様は、若殿がおいでではない間に、専横を極めているようです。私がある程度見張っていましたが、完全には止められず。申し訳ございません」

「気にするな。陪臣にすぎぬしな」

「ありがたきお言葉。上様は、拒んでいますが、三好は、勢力を広げ、西に動いています。更には大友と尼子が手を組み、どちらかと言えば、今川家についている、毛利が攻め立てられています。そこに三好も協力しているようです。本来ならば、それは駄目なのですが、三好様が上様を脅して承諾させました」

「そうか。毛利は上洛するのか?」

「はっ、上洛をしたいのですが、色々地理関係の都合上陸路では難しいようでしたので、駿河屋紹運に船を貸すように、手を回しました。もちろん代金は、毛利が出しています。また、このたびは実権を握っている毛利陸奥守殿ではなく、その嫡男で現当主が参るそうです」

「そうか。余に救援を頼むであろうな。頼まれたら、少し援軍を送ってやるか。勿論義兄上の許可を得よう。一応兵を出せるように用意しとけ」

「はっ、それで三好なんですが、噂では管領になろうとしているようです」

「なんだと!それは困るな」

「はっ、管領になろうと若殿より格が下なのは代わりませぬが、困るでしょう。上様がこの度、若君のお披露目を決心されたのもそれが原因なようです。上様から呼び出しを一度受けまして、三好のことを相談されました。また、若君のお披露目に関しても、本来ならば、もう少し成長し生存率が上がった3歳ぐらいまで待つ予定だったようです」

「そうだったのか。義兄上とは、おそらく個人的に会うだろう。その時に話してみる」

「お願いします。三好を止められず申し訳ございませぬ」

「藤枝美濃守の責任ではない。其方はよくやっている。先程も言ったが格が足りないのだろう。いくら権勢高き、今川家の家臣だといえど陪臣だからな。仕方がない。これからも頑張れ。本当に何かあったら、ここに立て篭もるが良い。要塞としても使えるようにさせておる」

「わかっていまする。必ずや、若殿のために、働きまする。何か万が一があれば、上様とその御家族を連れて必ずやこもり、若殿の救援を待ちます」

「それで良い。これからも頼んだぞ」

「はっ」

 はあー面倒なことになった。どうにかして、三好の力を落とさなければ。なんかここまでくると天下統一したいし。面倒な家が多いから将軍にはなりたくないけど







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