第116話
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僕は、駿府を出立して、江戸に向かった。現在、江戸ではかなりの早さで城の建設が進んでいる。後、今川領内でも、かなり大きい商人の駿河屋紹運が江戸に店を開くそうだ。彼は、名前の通り、もちろん駿府が本拠地だが、彼の支店が開く事で、江戸の都市化の第一歩が進むだろう。今の所、江戸城周辺には今川家関係の建物以外何も無い。とは言っても、街作りはまだまだこれからだ。これから、街に必要なものを少しずつ、作っていくつもりだ。後は、本拠地を移転すると同時に、家臣団の軍などの管理なども行う。
江戸城に着くと、前より立派になっていた。
「若殿、よく参られました。我々一同、若殿を歓迎申し上げます」
「うむ、勘九郎、進みはどうだ?」
「はっ、大雑把にはほとんど完成いたしました。全ての建物の骨組みなどは完成いたしまして、後は城内の襖などの絵など芸術や、豪華さを示す装飾を行うだけです」
「予定より早かったな」
「はっ、私としては農民などが現在、働くほど参加しないと思っていたのですが、冬場だったこともあり、仕事が無い領民の方々が参加してくださり、人足は、最高時には二十万人を超えました。それ故に工事の進み具合も早かったのかと」
「そうか。すごいな。全て足りたか?」
「はっ、それに関しては、これから駿府に報告に行こうと思っていたところです」
「そうか。襖などに関しては、既に業者に命令しておいたから良いが、これからはこの新しい城の警備などをせねばな」
「はっ、左様にございます。現在は国軍が行なっていますが、常駐部隊などを作る方向に動くべきかと」
「うむ、そこは父上に掛け合う。それでだ、城内に入りたいのだが」
「はっ、もちろんにございます。それと、伝え忘れていましたが、若殿が手配して下さった業者は既に本丸、西の丸、二の丸は準備できているようなので、若殿が泊まることも可能です」
「左様か。二の丸に案内せよ。二の丸は我が住まいとするつもりで作成したものだしな」
「はっ」
江戸城が無事に完成したようでよかった。何かあれば、江戸で政務を取れば良い。後は、後藤四郎兵衛を、鋳造局に案内させるだけだ。既に、欲しいものが何かあれば言うように命令しておいた。それで今頼まれたものはできる限り用意をした筈だ。
父上に、後は、遷都の許可か命令を出してもらえれば良い。江戸城は遠くからも見えたし、防衛面でも強化、更に約、地下100mほどを通る地下通路もあるし、結構安全だろう。もちろん土が落ちないように囲って安全にしている。このような警備が厳しい城はあまり無い筈だ。石垣も約50m、堀は最低でも約25mだ。まあこれを見ればわかるが、かなり攻めづらく、守りやすく造った。
僕は、江戸でやることは殆ど無かったが、駿府に帰りたくないのもあって、町割りの命令などを下した。更に、僕が江戸に居ることを知り、佐竹徳寿丸をはじめとする周辺国の守護代たちが挨拶に来た。まあサボっただけではなく、江戸で色々頑張ったのだ。しかし良い加減、滞在を伸ばすのは限界だ。僕は、一週間、江戸に滞在して、駿府に帰った。
戸田勘九郎には、そのまま和歌山城の作成命令をした。福井は、既に、勘九郎に相談した上で、縄張りを始めさせて、建築が始まっていたし、紀伊の方が前線に近いためだ。畿内や西は、今川家の勢力はそこまで強くなく、三好の影響力の方が強いから、京に近い、紀伊や若狭、大和は特に警戒する必要があるし、その周りの国も同じだ。安全だとみなされる地域は陣屋で、行っているが、駿府に続く道には、城が必ずある。駿府を守るのが重要だったからだ。まあいずれは、江戸に変わるのだけれど。だから、また江戸の周辺には城が造られるだろう。重要拠点は絶対に守る必要がある。




