第10話
僕は美濃へと攻め入る準備と銃に関する事業を少しずつ行っていた。銃は高級品だが、自分で製作できるようになると安くなるから使い勝手が良くなるだろう。僕の交渉の結果、川並衆と坪内家は今川家へ従った。そして美濃における内戦の時に義龍についていた諸将も味方に引き入れた。彼らは恐らくこのままだと滅ぼされると判断したのだろう。実際に義龍が敗れ死んだ後、道三に許されず戦い続けていたものたちは、滅ぼされ続けて、城を囲まれていたりと大変な状況だった。
そして新年が明けて1552年になった。駿府は冬場でも海の近くだからか身動き取れるぐらい暖かい。だから兵士を動かしやすい。僕は父上にこの間と同じ兵数を借りて、美濃へ進軍も開始した。ただし今回は太原 雪斎はついてこなかった。そして美濃は今、斎藤道三によって支配されいて本来の守護、土岐氏は死んだり、他国に逃れたりしているし、帝より頼まれたこちらに義があるのは明白だった。我々の軍勢は無事に尾張を超えて、朝比奈泰知とも合流した。そのまま美濃に入ると坪内家、川並衆らと合流した。そして川並衆には稲葉山城に向かってもらっていた。そして我々が向かってきているのに気づいた道三が決戦を仕掛けてきた。
僕は道三をかなり警戒していたため、山本勘助とともに念入りに策を練った。そしてわざと二つの部隊に分けることにした。その一つは我々についた国衆を道三の軍勢から救い、稲葉山城を狙う。そこには川並衆も協力する手筈となっている。道三の手勢は2000だった。僕らは互いを警戒して睨み合った。
先に動いたのは道三だった。
道三は真正面に、僕の首を狙ってきた。
僕はその為、それに備えて伏兵を入れていた。ある意味僕に1番都合の良いものだ。
「撤退せよ。道三を引きづりこむぞ。」
「おおー」
道三は内心気づいていたのだろうが遅かった。敵軍の兵士はどんどん追ってくる。道三が撤退の命令を早いうちに下していたのにも関わらずだ。なぜなら本軍の一部が迂回して本陣と先鋒を分断した。その上に、後ろから稲葉山城を奪った兵が迫っていて戦闘になっていた。分断したのは危険だったが道三軍は二つに分けられた上に一個は袋小路に、もう一つも道三の討死ににより崩壊していった。我々の大勝利だった。銃の使用テストもできたし僕としては大満足だった。
「えいえい」
「おー」
「えいえい」
「おー」
「若殿、よくマムシを倒しましたな。このまま美濃を制圧しましょう。」
「うむ。」
僕はそのまま稲葉山城に入ると降伏した国衆たちとあった。そこで竹中半兵衛の父、竹中重元を見つけた。僕は人質は嫌いだが、国衆から取ることにした。尾張の時も行っていた。それに今回はもう一つ目的があった。それは未来の半兵衛を駿府に置くことで今川の家臣にしたかった。山本勘助の上に竹中半兵衛まで従えたらかなりすごいし、色々な戦略を考えられていいと思った。




