3 刑事
友人に銀座で二人でコーヒーを飲み軽食を取って6000円近くかかった話聞いたのですが、実話らしいです。
喫茶ポナペは皇帝ホテルのラウンジと違い良心的な価格でコーヒーが飲める。
コーヒーの味の違いなど、ほぼ分からない俺からすれば、コーヒーに1000円以上出すなど狂信者の所業だ。
まぁ、世の中には不思議な事、分からない事、そして知らない方が良い事が山程ある。
そして分からない事の一つが目の前で進行中だ。
目の前で複数のケーキを貪り、コーヒーをお代わりする女は、俺より余程稼いでいるはずなのに、哀れな探偵に奢らせるのが常だったりする。
「不思議に思うのだけど、こんなにケーキが美味しい喫茶店。どうやって知ったの?」
「しばらく前にオーナーから依頼を受けた縁だ。」
今でも存続している、仙台に本部がある環境保護団体[ズンダゴン協会]絡みでオーナーと知り合った。
あの時はイリーガルな事もあったから、目の前の女刑事に詳しくは話せない。
「ところで、どうなんだ?俺はお前を太らせる為に時間と金を使ってる訳じゃない。」
「可哀想に、デリカシーが磨り減ってしまったのね。」
ケーキとコーヒーを満喫しながら、女刑事は言う。
「死因には事件性は無いわよ。血液検査でアルコールは出たけど、死亡前レストランで食事をしていたから。おかしな数値ではないわ。」
「死因には、って事は他にはあるのか?」
「レストランで食事をしていた相手がいるの。食事後一緒に部屋まで行くのが防犯カメラに残ってたわ。」
「ちなみに都内の私立高校の制服を着た。いわゆる女子高生なんだけどね。」
確かフンデルト氏は70才だったはずだ。
そして女子高生となると一般的には16〜18。
心臓発作で死んでも不思議ではない。
「勘違いしないで、フンデルト氏の下着からも、室内のゴミ箱からも体液は発見されてないわ。」
「でも、来日直前にフンデルト氏の銀行口座から小切手で100万€が引き出されてるわ。小切手に不審な点はなく、フンデルト氏のサインもあった。」
「銀行の防犯カメラと担当者によれば引き出したのは20才ぐらいの女性。」
「女子高生でも、受け取りが無理ではない……か。」
いや、額が大きい。
身分証明書が必要になるはずだ。
「田村。警察は、その女子高生を特定しているな。」
「もちろんよ。でも、そこまで。事件性がないのだから。」
「名器ヘンリエッタも、フンデルト氏の遺体も、アンドレア財閥のエージェントに引き渡し済み。貴方が絡んでくる理由が分からないわ。公的にはね。」
「フンデルト氏の遺体も?」
世界的音楽家とはいえ、遺体を財団が引き取るのは違和感がある。
普通は家族に引き取られるはずだ。
「フンデルト氏は女性好きで若い頃、数々の浮名を流してたわ。でも結局生涯独身で家族は居ない。遺産は生前の遺言により慈善団体に寄付されるそうよ。」
田村は探る様な目をしてくる。
こいつは四課の刑事見た目通りの女じゃない。
捜査四課は暴力団対策一課、二課に発展的解消されたとしているが、実は存続している。
一般に捜査一課が殺人、二課が詐欺、三課が窃盗、を担当しているが、四課は不可能犯が担当。
通常からは隠された犯罪を追っている公的機関の女。
ある意味同志で商売敵だ。
「しかし、その女子高生、贈与税が大変そうだな。」
俺は一度、とぼける事にした。
俺は女子高生の情報が欲しい。
田村はヘンリエッタ絡みの情報が欲しい。
さてどう出てくるか?
「そうね。半分は納める事になるわね。」
バッグから100円ショップで売っている様なメモ帳をテーブルに出して置いた。
「お察しの通りさ。期限は再来週の水曜。間に合わなきゃ、イタリアと外交問題になるそうだ。」
「ケーキとコーヒー、ご馳走様。適時報告を。」
田村はメモ帳を置き忘れて席を立った。
俺はホッとしたが、その後、会計が3000円近くになった事には納得がいかなかった。
イアズンダー!イヤズンダー!イアズンダゴン!
私の黒歴史がまた1ページ。
本作は、「 株式会社アークライト 」及び「株式会社KADOKAWA」が権利を有する『クトゥルフ神話TRPG』の二次創作物です。
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PUBLISHED BY KADOKAWA CORPORATION 「クトゥルフ神話TRPG」




