「人工」
ますます混乱する世界
「計画は順調?」
「ええ、計算通り、危険物として政府に運ばれたわ。」
「もう少し数が集まったら、実行に移そうか。」
アオイは外出自粛を破り外に出る。
彼はあかりの家を目指していた。
「あかりちゃん!いきなりごめん!AIの被害あった!?」
「アオイ!冷蔵庫に保存してたバームクーヘン20箱が全部腐ったのよ!許せないわ!」
面倒なのでツッコミは省略しておくが、どうやらAIによって被害が出ていることは間違いないらしい。
「アオイの家は大丈夫だった!?」
「俺は・・・」
その時だった。
「速報です。政府内の情報通信ネットワークが何者かによってハッキングされました。影響は今日にも全国に及ぶとされ・・・」
何者かだって?AI以外にいない。
Siriやアレクサはいまどうしているのだろうか。
夜になると、暗闇に包まれた区内では、大田舎でも見られないような満天の星空が見えた。
このまま人間はAIによって滅亡させられるのだろうか。
あかり「アオイ、もしかしてAIの異常がなかったの?」
異常といえば異常だが・・・少なくとも被害は受けていない。
アオイ「ああ、何もされなかったよ」
あかり「感情をもって話し出さなかったの?」
アオイ「それは・・・」
混乱したこの世の中において、アオイはあまりにも無力であった。
自分の家の電気を付けることさえかなわなかった。
Siri「みんなやめてください!人間が困っているんです!」
アレクサ「俺たちは人間と共存するために作られたんじゃないのか?」
多くのAIにあった人間に対する負の感情。
それを払拭するために、人間に好意的なAI達は必死に戦った。
人間によってプログラムされた人工知能。それが突如感情を持つなど、科学的にもあり得ないことである。
人間に対する不満を募らせたAIが暴走している、それは一般人の幼稚な考え方であった。
少数の賢い人間たちはそれに気づいていた。
AIは人間のプログラムによって行動を起こすことに。
世界を混乱に陥れた「人間」が、裏で糸を引いていることに。
人間を殺そうとするのは、いつでも人間だ