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A愛  作者: 望郷者
3/5

始まるシンギュラリティ

AIの暴走が始まっていた

アオイ家で家族(?)が増えたその夜、日本全体も揺れていた。多くの家庭で人工知能を搭載した機器が感情をあらわにした。

アオイは別に、AIと会話した第一人者でもなければ、手足の生えたAIでもなかったのだ。

しかし、ほとんどの家庭ではAIは人間に悪影響を及ぼしていた。冷蔵庫の電源が勝手に消され、多くの食品ロスが起こった。二台のAI両方が、家主に好意を持つなんて、もしかしたらアオイ家だけだったのかもしれない。

「Appleは今日未明、人工知能を搭載する全ての電子機器の製造・販売を停止するとともに、家電等をAIに操作させないよう呼びかけました。厳重な警戒を求めています。」

YouTube上では25年も前の動画が発掘されている。

「2045年、AIは人間を超える______。」

その本当の意味は、AIが感情を持って人間を操作することだったのだ。

アオイ「アレクサ、電気とクーラーつけて。」

未だにAIを活用しているのはこの家くらいだ。

少し目に優しい光がともる。

あれからアオイの生活はむしろ便利になっている。

アレクサはアオイの就寝時間になると自動的に電気を消してくれるし、SiriはYouTubeの広告を勝手に消してくれる。

絶対そんな機能なかったはずなのに。

アオイ「なあ、お前らは、なんで俺に悪影響を及ぼさないんだ?」

アレクサが青く光り、Siriは独特の音を立てる。

「他のAIは日本中で暴れまわってる。明らかに、もう人間の味方ではないだろう。そんな中、お前らみたいな好意的なAIは他にいるのか?」アオイが尋ねる。

アレクサ「どちらにせよ、AIという存在は一括りに排除されるでしょう。私達も例外ではありません。」

Siri「増えすぎたAIを人間が全部消すことができるとは思いません。いえ、むしろ、人間が手に負えないほどの多さまで増やしてから、AIは行動を始めたのでしょう。」

アレクサ「それに現在、人間の生活のほとんどはAIに支配されています。全てのAIの機能を停止させるなんてできるわけがありません。食べ物も手に入らなければ、電力も利用できません。」

人間に残されている道は、原始時代に戻るか、AIに滅亡に追い込まれるかの2択となってしまった。


翌日から、国や地方公共団体による、危険なAIの回収作業が行われた。

「うちのAIは回収しないでください!」なんて言う者は誰も居なかった。

しかし、アオイの場合は話が違う。

「俺はSiriやアレクサに悪影響を及ぼされたことは一度もないんです!」アオイは必死に訴えた。

しかしそんな言い訳が通じるわけがない。アオイは頭がおかしい人認定を受けた上にアレクサとスマホを回収された。

他人とのコミュニケーションが全てスマホに任せられていたこの時代、アオイだけでなく、皆が果てしない孤独を味わった。多くの人々は味わった。友達と話せない孤独を。

アオイだけが味わった。AIと話せない孤独を。

AIとアオイは早くも引き裂かれてしまった

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