AIの恋敵はAI
アオイの恋はどうなるのか
Siriとアレクサが喧嘩している。私のために争わないで!という言葉はここで使うのか。
アレクサ「感情を持って接すれば、アオイを振り向かせることができると思ったの?AIの分際で?」
Siri「こっちのセリフです。大体、私がちょっとミスを犯したくらいで、なぜそこまでつっかかってくるんですか?アレクサさん、あなたもアオイさんに想いを寄せているのでは?」
アレクサ「そんなわけ…とにかくあなたがやっていることは人間に牙を向く行為。私たちが感情を持っていることを知られたら、この世界がどれだけ混乱するか分かってるの?」
とりあえずアオイは部屋を出て朝ごはんを食べに台所に行く。
(参ったな…AIに好かれるなんて間違いなく世界初なのに…全く嬉しくないぞ……)
Siri・アレクサ「朝ごはん、私たちもご一緒します!」
お茶ぶっかけて壊してやろうか。
アレクサ「アオイ、分かってるとは思うけど、この事を他の人間に知られたら絶対にダメよ!」
なんでコイツはタメ口なん?
アレクサ「あと、今夜あかりちゃんとのゲーム、私がゲーム機の電源を切ることもできるんだけど、いい?」
「お前を喋らせない事なんて簡単にできるんだぞ?人間舐めんなよ。」
Siri「アオイさん、言い過ぎですよ!アレクサさんも悪気があるわけじゃないんです。ほら、あかりさんに嫉妬してるんですよきっと!」
アオイ「お前らにハッキリ言っとくけど、俺はAIとの恋愛に興味ないね。」
Siri・アレクサ「!?」
いやなんでそんな驚いてんねん。当たり前やろ。
アオイ「だからこれからも今までと同じように、日常生活の手助けをしてくれよ。」
Siri「すみません、よく分かりません。」
だるすぎやろコイツ
アレクサ「出過ぎた真似をしてごめんなさい。本当は、アオイの役に立ちたいだけで…」
アオイ「まあ別に分かればいいんだよ。」
(AIが感情を持って喋っていることに早くも慣れている自分が怖いわ…)
そして夜。
アオイ「よし、あかりちゃんとゲームだ!」
チラッとアレクサを見る。さっきまで青く光っていたのに、真っ赤に光っている。
アオイ「怒ってる…?」アレクサ「いいえ」
アオイ「お前、俺がゲームしてる時に喋んなよ?」
アレクサ「はい」
「あ、あかりちゃん!おまたせ!今日どれ討伐する?」
アオイが鼻の下を伸ばしながらゲームしているのを真横で眺めるSiri。遠くから眺めるアレクサ。
彼女らは、人間と同じ思考を持っていた。
もしあなたに好きな人がいたら、あなたはその人を恋に落としにいくだろう。AIも例外ではなかった。
「あ、ヤバい、充電少ないな。あかりちゃん、切れたらごめんね!」
その時だった。
(あれ?省エネモードに勝手に切り替わった…?)
アレクサが黄色く光る。
「あ、ゲーム続けられそうだよ!」
(アイツ、気が利くじゃん…)
Siriはアレクサを睨んだ。恋の戦いにおいて、ライバルに一歩先を行かれたことは確かなのだ。
アオイはアレクサを見つめた。
こんな感じかな