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 僕はそれから兄様と一緒に移動する。



 子供二人での移動は、大変かと思っていた。だけど兄様が色々手続きを踏んでくれたから、スムーズに進むことが出来た。兄様はかくれんぼも得意みたい。僕たちを探している人たちを見かけてもこそこそ隠れる能力が凄い。魔法を使って察知していたりするらしい。やっぱり兄様は色んな意味で凄い。




「あと少しだ。クレイズ、疲れているだろうけれど、もう少し頑張れるか?」

「うん。頑張る」




 兄様との二人での移動は、僕たちが子供だからと僕らの事を騙そうとする人も多くて、悪い人も結構いるんだなってびっくりした。

 大人が周りにいないというのは、それだけ周りから騙しやすそうと思われるものらしい。それに兄様に「俺たちは見た目がいいから攫われて売られることもあるから気を付けるんだぞ」なんて恐ろしい事も言われた。

 この世界では、子供が攫われて売られてしまうということもあるらしい。





「よし、クレイズ、『聖女』のいる街だぞ」

「やったね、兄様」




 そして兄様に手をひかれて僕は『聖女』様がいる街へとたどり着いた。

 『聖女』様の居る街にたどり着いたのは、夕刻の時期だった。大通りは人通りが多くて、何だかびっくりした。こんな時間でも人が多いなんて……と不思議な気持ちになった。





「……父親の手のものいるな」

「え。本当?」

「ああ。とりあえず大通りなら下手な行動は出来ないだろうから、大通りを移動しながら『聖女』の元に行くぞ」




 兄様に手をひかれながら、『聖女』様の元へ向かう。だけど『聖女』様のいる屋敷というのは、街のはずれにあるらしい。周りから騒がれることを嫌がった『聖女』様の思いを汲んで、人が少ないらしい。

 そこを狙われたら色々ややこしいかもしれないと兄様は言っていた。




 折角『聖女』様の居る街までたどり着けたのに、『聖女』様の元へたどり着くまでに捕まってしまったら嫌だ。

 そう思いながら僕たちは急いで『聖女』様の元へと向かった。

 ――だけど案の定というか、『聖女』様の元へと向かう途中に僕たちの前に立ちはだかる影があった。




「いたぞ! あの二人だろう!」

「捕まえるぞ!!」




 そう言って、ならず者のような人たちと騎士のような人たちがいる。――そして運が悪いことにというべきか、その場に少しだけいた人たちは彼らに買収されているらしい。見て見ぬふりだ。

 僕たちは罪人扱いされているみたいで、「あんなに小さな子供でも罪人だから」と呟かれていた。僕たちは父親に閉じ込められていた屋敷から逃げたから。





「クレイズ!! 俺がこいつらのことはどうにかする! だからお前にしか出来ない仕事を頼みたい。『聖女』の元までもうすぐだから、『聖女』の所まで行って、『聖女』を呼んでこい!」

「え、でも――」

「俺は大丈夫だから。これはクレイズにしか出来ない仕事だぞ? なぁ、クレイズ、『聖女』の元で歌うのを忘れるなよ?」




 自信満々に兄様がそう言い放った。

 僕はその言葉に不安になりながら頷いた。だって兄様が大丈夫だと、任せろと笑ってくれたから。





「おい、この小僧、俺たちを一人で相手にする気満々だぞ」

「馬鹿なんじゃないか? あの弟の方から捕まえるか」

「はっ、させるかよ! 俺を子供だからと甘く見るなよ!」




 兄様の声を聞きながら僕は走り出した。頭の中には兄様が見せてくれた地図がちゃんと入っている。その地図の通りにいけば、『聖女』様の元へとたどり着くはずだ。



 でも兄様が相手にしている人たちだけが、僕たちを追っているわけではないだろうから……そのあたりはちゃんと逃げながらいかないと! 僕を追う人たちから逃げながら、『聖女』様の屋敷へと向かう。

 後ろから音がするのは、多分、兄様が魔法を使っている音。




 急がないと。幾ら僕の自慢の兄様だろうとも、大人の人たちを相手にするのは難しい。兄様が危険な目にあっていると思うと、急がなきゃと僕は駆けている。

 そして僕は『聖女』様の屋敷へとたどり着いた。



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