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 第一話 朝太と夕哉。 ーPrologueー 【体験入部編】

「いいか。石倉(イシクラ)ぁ。今週中に決めとけよ。今週中だぞ。」


担任の宗茂むねしげ先生に部活動を決めろと期限を今週中に絞られ、本日も職員室の廊下の壁に貼られている部活動のビラを見ていた。


「はー。今週中かー・・・」


 

 僕の名前は「石倉朝太(イシクラアサタ)」。


静岡県上田町出身、2004年4月10日生まれ。


  朝太(アサタ)って由来は、僕がこの世界に誕生した時が、朝一番の朝日の時間に生まれ。



「誰よりも暖かく朝やかな太く強い人になる。」


と意味でつけたらしい。



でも僕は生まれ頃から身体は弱く大きな重たい荷物も、漬け物の蓋の上に置いてある石でさえも持てない腕力。

 


 小学校の時の体育の授業も、駆け足やマラソンはいつも当然の最下位王だ。

 そんな弱い貧弱な少年はどのクラスにもいなく、唯一僕だけが運動能力がなかった。

 中学生の時は、部活動は入らずに、ただ学校終わると帰宅しゲームか勉強のノースポーツスクールだった。

 


今回も高校も中学と同じく、運動もしないで帰宅部をするつもりだったんだけど。

 今年から通う高校では、入学後いずれかの部活動に入部しなければいけない校則があるらしい。

 僕の通う高校は普通の進学校で、その教訓が



「勉強も運動も両立に貢献し自身の人生を磨いていく教育。」



カリキュラムに厳しいと噂されるくらいスパルタな学校。ならば何故、僕はこのスパルタ高校を受けてしまったのか?は、この後登場する保育園からの幼馴染の


高文夕哉(タカフミユウヤ)と言う親友のしつこい誘いだったからだ。



「朝太〜!あれ?まだ決まってないの?」


「なんで言わなかったんだよー。部活動校則の事。」



夕哉は両手を合わせ、「悪い悪い。」と笑いながら謝っていた。


 夕哉は僕の住む団地住宅地同じ集落で育った親友の一人。夕哉は僕より10センチ以上背が高くて、おまけにルックスも良く。スポーツ万能もきた、僕よりも腕力も高く、運動神経抜群のスポーツマン。身長までも運動もイケメンレベルが全てに高い兼ね備えている彼だが。一つだけ欠点があった。



「あ!そうだ!この間三月に発売したゲーム難しいんだけど。クリアした?笑」


「え?簡単だったよ。」


 夕哉はゲームが苦手な所が欠点だった。



  元々夕哉は小学校からサッカー少年団に入っていて、中学時代にはキャプテンを務め県大会優勝まで成し遂げ、地元の名門高校からスポーツ推薦のオファーが沢山あり、まさにスター的な存在になっていた。

 

そんないくつかの名門高校の中、決めたのがこの「堺浜(サカイハマ)高等学校」だった。当然、推薦試験もあっさり受かり。僕らより早くに高校を内定していた。


 

当日の僕は、まだ何処の高校を受けるか決まっていなく。まぁ僕はスポーツはできないけど勉強だけは中学校で三年間1番の成績を維持してきたから、どの高校も受かる自信はあるから何処でもよかった。

 


 そんなある日、昼休みのトイレ中に夕哉から一緒に「堺浜(サカイハマ)行こうぜ」と最初の誘いがきた。(どこで誘ってんだか困)

 「堺浜(サカイハマ)」も一応チェックはしていたから多分余裕で受かると自信あったし、とりあえず軽い返事だけしていた。

 

  続いて二日後、また夕哉から「堺浜(サカイハマ)で一緒にサッカーやろうぜ!」と誘いがきた。(いやいやいやスポーツ目的なら話は別だ。)僕は身体が弱いから運動も苦手だしスポーツは大っ嫌いだから、その時は「行かない」と断った。


  そのまた四日後、そろそろ僕も希望校を決めなくちゃと焦っていて、僕は母と担任と三人、教室で三者面談をしていた。


担任からは、「君はもっとレベルの高い高校を行くべきだ君のためになる」と、いくつか志望校のパンフレットを見せてきた。

確かに、この辺の地元進学校では退屈すぎるからレベルの高い高校で猛勉強も悪くないと思った。



でも問題がある。それは「学費」だ。



 僕の家族は母と僕と弟の母子家庭。父は僕が五才の頃に突然蒸発しあまり記憶がない。当時務めていた会社も潰れて、噂だと社長と一緒に海外へ高飛びしたと聞く。



 それから残された僕達は、父の残した莫大な借金を背負わされ、当時住んでいた家から追い出されて。現在住んでいるアパート団地に住み移し、なんとか今日まで母のアルバイトだのパートの稼ぎの資金でギリギリの生活を送っている。

 

 

 本来なら中学を卒業し就職しようと考えていたんだけど。母親は「高校だけは卒業して欲しい」と言い。

 

 

 だったら僕は家族の為、必死に勉強をして、いつか高収入の金額を貰える公務員になって、母に早く楽な安心な生活と恩返しを返してあげたいと思った。

 どうせ僕は身体は弱いから就職はまだ無理だし、なんならまだ勉強して良い大学に入り、安心を掴むのが正解だ。よし、志望校はこの・・・




「待ってくれ!!」


「!?」


 

 突然、教室の後ろのドアから大きな声で入ってきた生徒が現れた。



夕哉だった。



 夕哉は既に「堺浜(サカイハマ)高校」のサッカー部に入部しており。

 週に二回は部活動の参加に行っていた。その日も堺浜(サカイハマ)に部活をしに行く日だったはずだったんだけど。

 

 夕哉はその日、堺浜のサッカー部のゼッケンを着ながら泥クタになりながらな格好で教室に現れた。




「夕哉?どうしたの?」



担任も母も同じ様に驚き、僕達は固まっていた。



 夕哉はゆっくりと深呼吸し、僕の目の前まで来てこう言った。



 「なあ。朝太。俺はお前と同じ机と椅子と学校で過ごしたいんだよ。別にスポーツしなくてもいいし、サッカーも一緒にしなくていい。ただ、ただ俺の隣でいて欲しいんだよ。あ!ちょっ待て!ホモじゃないよ!だから、なんつうかな。俺ら保育園からのダチだろ?まだ人生始まったばっかで十年くらいの付き合いだけど、俺はアサタとおって毎日が楽しいんだ。これからもずっと一緒にアサタと残り少ない青春時代を過ごし一緒に卒業迎えたいし、毎日進むべき道を通い歩きたい。だってアサタ、もし俺たちが違う別々の高校行ったらアサタ生きていけるか?俺無しじゃキツいだろ?面白くない高校時代なるぜ?」




「・・は・はは。はっはっはっは!」



 僕は夕哉の本気の本音ホモ疑惑に笑った。



 母親も担任も呆れた様に困っていた。ほんと夕哉は保育園の頃からバカで正直すぎるヤツだなと改めて思った。

 


 確かに、僕は夕哉がいないと内心寂しい。とは言っても僕もホモではない。

 

 

でも僕も夕哉が間違いなく大親友だと確信している。

 

 

 保育園の頃も小学校の頃も、当時いじめられっ子にやられてボロボロになり団地に帰っていた時、夕哉が仕返しに行ってくれたり、いつもいじめられっ子から助けてくれていた。

 

 遊びも夕哉の得意なサッカーばかりだったけど、何故か夕哉とするサッカーは楽しかったのは確かだ。

 

 逆に夕哉の苦手なテレビゲームでボロ勝ちしたり僕の神プレイで、いつも「すげえな!」と褒められたり誕生日も一緒に祝ったり。本当に兄弟の様な楽しい日々だった。



 だから、夕哉が僕と離れるのが寂しいのは一番よくわかる。ほんとユウヤは変わんないな。



「先生。僕、堺浜高校(サカイハマコウコウ)にします。」


「いいのか?」



 母も、僕の進む道に文句は言わないと言っていたし、僕の決断に反論もしなかった。

 大変なのは変わりはないんだけど。もう少し、もう少し、楽しい学校生活と送りたいし、なにより今は何が「大事」なのか気付いた。



 それは勉強でもない。スポーツでもない。お金や学費問題でもない。

 


 残り少ない若い時間と親友と笑う時間の輪を大事にしようと気付いたんだ。




 こうして、僕は堺浜高校を受験し、あっさりと合格し。

 夕哉と一緒に入学し、最初の新担任の宗茂先生からの、「部活動は入る様にー。」の言葉を聞かされ、現在の今日に至る。


 堺浜高校の部活動は様々なクラブ活動があった。


サッカー部

野球部

女子ソフトボール部

テニス部

ハンドボール部

女子ハンドボール部

ラグビー部

男子バレー部

女子バレー部

バトミントン部

バスケ部

女子バスケ部

陸上部

ボート部

ウエトリフティング部

剣道部

空手部

柔道部

卓球部

水泳部

パソコンクラブ

ユーチューバー部

手芸部

漫画部

茶道部

吹奏楽部 



 計二十六種の活動クラブが存在している。

どれも全てが自身の魂までも叫びたくなるほどの絶望感。

 


 まさにスポーツマン学校だ。(本当に進学校かな?)



 現に横で一生懸命に僕のために、目を輝かしながら部活動を探している夕哉。



「そんなに運動部嫌なら、パソコンクラブ辺り入ったら?」


「うん。まだ考えてないけど、多分パソコンクラブになるかも。てかそこしかないしね。」



 パソコンクラブは主に学校の行事やイベントのプリントを編集したり書類や大事なお便りなど作る活動らしい。 

 部員は三年生、二年生、一年生、合わせ計三十人が活動している様だ。

 


 何度も言うが僕は運動神経が無い。



 だからまだイスに座り何かを作業するのは好きな方のガリ勉タイプだから、結構あっているかもしれない。

 


 とりあえず、「体験入部」って事で、見学しに行こうかな。



 しばらく正門玄関に行く途中、夕哉は部活動をサボっているのを先輩のサッカー部員にバレ、



「やべっ!じゃあな朝太!」

と言い

風の如くグラウンドに走って行った。



 今日は色々疲れたし、体験入部は明日にしようかな。期限まで日はあるし、帰って早めに晩ご飯作らなきゃ。あ、帰りに母から卵買ってきてと頼まれてたんだった。



 正門玄関から出て校門に向かう途中、グラウンドや校外では色んな部活動達が汗を掻きながら走っていたり、腕立て伏せなど熱い放課後をしていた。

 


 とても僕にはありえないし真似できない事だ。でも、最初は僕もたまに頑張っている人達の姿を観ていると少しだけ憧れや興味を持ちてきている。



ま、それは結局無理な現実なんだけど、所詮僕は勉強しかできないゲームオタクボーイだ。




堺浜(サカイハマ)校門前のコンビニ付近】



「よー。石倉〜。久しぶりだな〜。」



「!?」



悪夢だ。



 堺浜高校の校門を越え、近くのコンビニで卵を買いに行こうとした時、突然、僕に声をかけてきたのは。

小学校、中学校と彼にいじめられていた



小野瀬貴也(オノセタカヤ)」だった。




「さすが、エリートアサタ君は今日も帰宅部ですか〜」笑



 早く買い物済ませて帰ろう。何かされる前に、早くこのコンビニから脱出しなければ。



 卵コーナーで卵を手にしようとした瞬間、いきなり小野瀬が近づき無理矢理肩組んで来て、小声で喋ってきた。


(なー。石倉。俺たち今、金ねんだよ。ちょっとだけでいいからさー。貸してくんない?なー?)



 胸の中の心臓が飛び出そうくらい動き、逃げようにも小野瀬の強い肩の腕力で力が入らなく、おまけに小野瀬の「ツレ」みたいな二人が居て、とても逃げられる状況じゃなかった。



(おい。聞いてる?お前、今いくら持ってんだよ。なー!)ドン!


「うっ!?」



小野瀬が僕のお腹に軽いパンチを入れられた。



「さっ・・3000円しかないよ・・」



ダメだ、こんだけの金額じゃ小野瀬は効かない。



「はあ??なんて!?3万の聞き間違えかな?」


やはり、狙いは「諭吉(ゆきち)」か。(一万円札の事)




【僕と小野瀬(オノセ)の関係性】



 小学校の高学年の頃から小野瀬にいじめられていた。気づけば、中学校に入るとどんどんレベルアップしてきて、遂には、「月一にお金を俺に上納しろ」と言われた。当然、僕は拒否した。



 だけどそれは無理な現実。力も強い、喧嘩も強い、不良の仲間もたくさんいる小野瀬には絶対に敵わない現実だった。当時は仕方なく、殴られるのが嫌だったから僕は、月一度に母の財布から2000〜3000円までの金額を盗み、3ヶ月くらい上納した。

 

 上納金額は月々に変わる度に上がっていき、最終的には「今月は一万円持ってこい」と言われた。

 

 さすがにそんな多額なお金を母から盗めない。ただでさえ、生活もギリギリなのに、やってはいけない事は、そんなの最初っからわかっている。


 でも、やるしかないのか?今まで僕はどれだけの金額を母の財布から盗んできたのだ僕は、と心の中で嘆き苦しんだ。




【中学時代の第二体育館倉庫内】



「おい、返事はどーした?あ?」




 次第に小野瀬は、おどおどした僕を見てイライラしだし、遂にはバットを持ち出し今にもフルスイングしてきそうな感じだった。



「おい。おさえろ。(アゴ)砕くわ。」



 僕の背後にいた小野瀬の仲間の不良達が僕を押さえて地面に叩き込まれた。



「やっ・・やめて!?」



 小野瀬は笑いながら、バットを捨て、僕の顔に近づき許してくれるのか、と一瞬思ったのが僕のバカだった。



「そうだよな。バットじゃなくてゴルフだよな!」



 小野瀬はバットからゴルフのドライバーに切り替え、地面に押さえつけた僕の顔にフルスイングをしようとした。



殺される。殺される。誰か、誰か助けて・・・




小野瀬は躊躇(チュウチョ)なくゴルフドライバーを力強くフルスイングをしてきた。



「はい、終わりーーー!!」



ガガガ、ガゴン!!




僕の(アゴ)は完全に砕けた。






と思った。





「かっ・・・た・・高文(タカフミ)・・てめぇ・・」



バタン!!





 気づけば、完全に僕の顎は砕けたと思った僕は。全く痛みが無い事に気づき。



目の前には小野瀬と不良達が倒れているのを見た。



「どうなってるの?」



「アサタ。危なかったな。」



 そこに立っていたのはサッカーユニフォーム10番を着た夕哉だった。(後から聞いた話、この10番ユニフォームは黙って先輩のロッカーから盗んだって言ってた)



「夕哉・・助けてくれたの・・」



ゴン!(夕哉が僕の頭におもいっきりゲンコツを喰らわした)




「このバカ!お前何やってんだよ!なんでこいつらにお金をやってんだよ!ふざけんじゃねぇよ!」



「夕哉・・・」



 僕は改めて、今まで小野瀬達の命令してきた事にしてきた事に深く反省をし、夕哉にゲンコツ何発食らったか忘れるくらい大説教された。



「ったくよ。まあ。俺も早く気付けなかったのもあるし、ごめんな、朝太。でも朝太、親の金はダメやって、、」


「ごめん、ごめん、」



僕はその日めちゃくちゃ泣いたと思う。



「俺じゃなくて。おばさんに謝れよ。まあ怒られると思うけど。いくら盗ったの??」


「7000円かな」



夕哉が青ざめに引いた顔したのはわかった、「お前は本物のバカか?」と飽きられてた。




「今度から、困った事や小野瀬達にいじめられたら、すぐ俺に言えよ。即やっつけにいくからな。てか、いつも言ってるけど。わかったな!!」



それが中学1年の夏休み始まる前の事で、それ以降、小野瀬からのいじめや暴力は無くなった。





 あの時は、いつも危ない時や、やられそうになった時はユウヤに助けてくれていた。



だが、今回は夕哉はいない。


最悪な展開すぎる、それにしても。




 久しぶりに小野瀬の格好を見る限り、「黒い学ラン」に胸元に「内川田工業高校(ウチカワタコウギョウコウコウ)」の校章をしている。



 やはりか、どうやら小野瀬は地元一の「不良校」と言われている「内川田工業高校(ウチコウ)」に入学した様だ。



「なー、わかんだろ?今の状況。もう出すもんは出さなきゃあかんのよ。あ、大丈夫大丈夫。お金なかったら、そこのATM(エーティーエム)で3万下せばいいんだから。な!簡単だろ?ガリ勉君」




 できない、できるわけがない。そんな馬鹿げた事。もうあの日から僕はやってはいけない事やユウヤや母の困らせる事はしないって誓ったんだ。

 


 でも、どうするんだ。この逃げられない状況をどう切り抜ける!!


 


 そうだ、まだコンビニの店内だから近くに店員さんがいる!今ここで僕が大声出せば周りの人達が助けてくれる!(よし、大声だす・・・)




「今、大声出したら、ぶっ飛ばすだけじゃなく、このスタンガンで気絶させるよ?」




小野瀬が僕の左ポケットのお腹辺りに、周りに分からない様スタンガンを近づかさせた。




完全に殺される。そこまで落ちぶれたのか小野瀬は、





(助けましょうか。?)




え。!?




誰だ??

今、確かに僕ら以外の声が聞こえてきた。





でも、小野瀬達は聞こえてない様だ。




(そうですね。では契約金として100万でどうでしょうか?)




 何言ってんだろ。けっ契約金?ひゃっ100万??一体どこから聞こえてくるんだ。それになんで小野瀬達には聞こえないんだ!?

 



 でも。今はそんな事考えてる場合じゃない。助けてくれるなら助けてくれ!!




「助けて下さい!!お願いします!!」



 僕は店内に大きく響く怒鳴る様に腹から力を入れて大声で謎の声に助けを求めた。





シーーーン。





あれ?声が消えた?




「そうか。じゃあお前は今、死を選んだんだな。悪く思うなよ、どうせ俺は元からやるつもりだったんだ。」



小野瀬が、遂に僕の左腹に当てていた「スタンガンのスイッチ」を入れにかかってきた。




その時。



僕らの目の前に、一人のゴーグルの様な眼鏡をした黒髪の女子生徒が立っていた。




小野瀬はスイッチを入れるのを止め、突然現れた女子生徒に怒鳴りを入れた。


「な、なんだテメェわ!?」



ゴーグルの様な眼鏡をした黒髪の女子生徒は、スクールバッグから封筒を取り出して封筒の頭を破り、現金の入った、およそ100万円札を店内の天井にばら撒き出した。



え。お金。?



 小野瀬達の不良達も突然のお金の降る景色に目を向けて、狼のようにはしゃぎ踊り、落ちたお金を拾い出した。 


 続く、小野瀬も後に続き、不良達と一緒にお金を拾い出し、気づけば開放されていた。




「助かったのかな?え?何この状況。」


 


 いつのまにかゴーグルの様な眼鏡をした黒髪の女子生徒はコンビニの外の駐車場におり。 

 僕も早く、頼まれていたら卵を一パック買い、彼女にお礼を言おうと、駐車場に向かった。



「あ、あの!!えっと、その・・・」



 ゴーグルの様な眼鏡をした黒髪の女子生徒は、僕と同じ「堺浜高校(サカイハマ)」のブレザーの制服を着ていた。



「先程は、助けて頂きありがとうございました!!」



まさか、今回は女の子に助けてくれるなんて信じられなかった。これは絶対に夕哉には内緒にしなきゃいけないな。




彼女は、歩き出し始め姿を消そうとした時、



「これで、あなたと私は契約されました。そして、大きな借りができました。では明日、この時間にこの場所に来て下さい。遅刻は厳禁です。」



え??


 

 彼女から、よくわからない契約とか借りとか、明日の指定された時間と場所を書かれたメモを渡され、彼女は何も言わずに、帰って行った。







これが、僕の最悪な人生を無敵な素敵な人生になる、彼女との最初の出会いだった。



同時にその日の夕方の景色は、


1000羽いや1万羽の(からす)の大群が


夕方の茜色の空を黒く染まる様に騒ぎ飛び


何やなら不吉な事が起きる前触れを知らせる様な


痛い胸騒ぎと


異常な光景だった。



【第二話へ続く】


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