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闇鍋短編集  作者: LE-389
4/8

邪魔すぎる幽霊

この間の旅行で、心霊写真が撮れた。


一枚や二枚じゃない。心霊スポットに行った後、俺が写った写真全部がそうなった。

しかも腹の立つ事に、どうみても一緒に旅行に行ったようにしか思えない「私は旅行をエンジョイしています」という体で写っている。


これが普通の幽霊みたく「うらめしや」ってな感じで写っていたら、「怖ぇ」とか「取り憑かれてる」とか思えるんだろう。

こいつの場合、そういう陰気さが欠片もない。幽霊かどうかも疑わしいレベルだ。


どの写真でも、「イエーイ」とか声が聞こえそうなレベルではしゃいでいる。


実害が無きゃ放っておいても良かったが、そうもいかない。

こいつのせいで、旅行中何度か「一人分多く料金を請求される」ことがあった。他人には見える事があるんだろうか?


よりにもよって俺に憑いてきてるみたいで、改札が誤作動を起こしたり、写真を取るたびに写り込んだりしている。

この間は免許用の写真がうまく撮れず、危うく失効するところだった。全く空気を読まず、楽しそうに写りこんできやがる。

笑顔でピースサインしている写真を見た時は、正直殺意が湧いた。


もう死んでる相手にそんな事ができる訳もなく、とりあえずこいつを何とかする手段を探した。


どうもこいつ、見た目通りに(祟るとかそういう事はしないという意味で)性質の悪い奴じゃ無いようで、お祓いの類はまるで効果が無い。


そこで考えた、「幽霊には幽霊をぶつけよう」と。


危険と言われる心霊スポットに行って、そこにいる奴とこいつをぶつけてやろうと言う訳だ。

失敗したらより危険な奴に取り憑かれてる可能性もあるが、こっちを殺る気がある相手の方がこいつよりましだ。



――――



「化け物には化け物をぶつけるんだよ」作戦は、失敗した。

俺の予想を斜め上に裏切る方向に。


「くそっ、意気投合してやがる!」


結果を確認するために取った写真には、今まで写りこんできたうっとうしい奴と、輪郭のぼやけた人型の何かが肩を組んでピースする姿が写っていた。


他の心霊スポットにも行ってみたが、そうするたびに写りこむ奴の頭数は増えていった。

今ではもう、一人で撮った写真もちょっとした集合写真になってしまう。

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― 新着の感想 ―
[一言] 世に出まわる心霊写真も出たがりが映りこんでいて、われわれが勝手に怨念だの無念だのと解釈しているだけなのかもしれません。
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