不良島へ
海斗は中心島に向かって泳いだ。ひたすら、泳いだ。五分後、砂浜にたどり着いた。砂浜が終わる先には生い茂る木々が立ちはだかる。
「ここは、中心島が目当てじゃないから迂回するか。」
海斗は砂浜をたどり、別の島を目指した。何事もなく、次の島にたどり着いた海斗はカード探しに出た。この島は、海斗たちの島とはわずかに違った。森の木々、川の魚などの様々な細かいことだけが違った。歩き回ると、見たことのない様な大きい足跡が所々に残っていた。熊か、ほかの大型肉食動物の足跡に違いない。探して数十分。カードは山頂にあるのを除いて、すべて拾い集めた。最後のカードに向かって歩き出すにつれ、異臭がだんだん強くなってきた。肉が腐るような、血なまぐさい臭いだ。血を引きずった跡が獣道にあった。好奇心に負け、血の跡を辿ると鱗付きの犬の洞窟に到着した。すぐに犬の吠える音が響いた。
「しまった。風上かここは。」
洞窟から九匹の犬が出てきてから、周りには五~六匹の犬も姿を現した。
「完璧に囲まれたな。さ、これをどう切り抜けようか。。。」
ピンチにもかかわらず、全校集会の時のように薄っすら笑った。死と言う危機になぜか楽しみ、嬉しさを感じる。おそらく、海斗はつまらない日常に刺激が欲しかったかもしれない。危険と言う名の刺激を。
刀を取り出した海斗は犬たちに叫んだ:
「かかってこい犬どもめ!」
一斉に襲って来る犬たちを、見事に一筆書きのごとく、十七匹の犬を刀で一刀両断にした。洞窟周辺に血の臭いが充満した。赤黒く、どろどろとした血がゆっくりと坂を流れていく。そのころ海斗は、快感に入り浸っていた。
「やっぱ、刀はいいね~。銃と違って当てた時の感触は帰ってくるし静かにやれる。ははははは。」
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このころ、祐介たちのほうでは、交流会のようなささやかな飲食パーティが始まってた。犬の件の後、彼らは打ち解けてた。
「あのゲームやってるんだ。」
「ああレベル100のカンストだぜ。」
などのくだらない会話が続いた。
「大田、渡辺、昨日はは見捨てようとしてごめん。」
大田が返事した。
「いいのよ、気にしなくて。私が犬に見つかったのが原因だから。」
渡辺も。
「それに三船君も助けてくれたし。」
くだらない会話が一段落したところでお調子者の後藤がしゃべりだした。
「ええ、皆さん、いや、みんな、ここで命運を共にしてる俺たちで再確認の自己紹介をしようぜ。」
いいね、と声が上がる。
「俺は後藤太一。実家が漁師で、帰ると海に潜ってばかり。釣りや泳ぎ全般得意です。」
彼はひょろりとした背も170cmに届かないぐらいの小柄だ。
「私は大田直美。直ちゃんって呼んでね。ちなみに料理が得意です。」
髪を赤色に染めてて、メイクも厚い。体つきは男の目を引くもの。
「俺は日向明人。柔道と空手をやってる。」
ガッシリとした細マッチョで身長は180cmぐらいだ。
「私、阿部春子。一応、陸上部の元エースで走るのは得意だよ。」
貧相な体つきだが顔がきれいで、身長は170㎝ぐらい。
「俺は青木大輔だ。力仕事は任せろ。」
体格が大きく、筋肉もすごい191㎝。もともと相撲やってたが、やめたあとも稽古とか続けた結果こんなにでかくなったらしい。
「僕は小林武人。本で読んだ知識には自信があります。」
170㎝で細身の体つき。
「わ、私は平野凛。裁縫が得意です。」
メガネかけたそばかすの多い顔でインドア系と自他共に認める小柄の女の子。
「俺は桑田祐介。やり方さえ覚えれば何でもできるけど、運動は平均です。後、出席できていない海斗、三船海斗は剣術、護身術それとほかのことができてたと思う。」
180㎝ぐらいので普通の体つき。顔はイケメンよりと言われてる。
「私は渡辺亜美です。生まれつき体が弱いので迷惑かけるかもしれませんがよろしくお願いします。医者になる勉強してたから怪我したら私に見せてください。」
160㎝よりちょっと下の身長で、小柄。顔が可愛く、出るところも出てる。
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犬の肉をできるだけ解体して運んでいた海斗は最後のアイテムカードがある山頂に向かって歩いて行った。近づくにつれ、大型肉食動物の足跡が多くなった。山頂にたどり着いた海斗はあたりを見渡した。山頂とは思えないほど平らな、草原だった。その真ん中に大きなクマが歩き回ってた。カードの位置と同じ場所にいた。。。