逆転2
二階堂達がグリフォンに乗って海を越え、祐介達の島の祠の近くに降り立った。
祠の周りには海斗のチームは祐介を除いた全員集まってた。そこに二階堂が歩き出す。
「三船海斗は死んだ。ここに彼の刀がある。」
二階堂が刀を明人達に見せる。二階堂の周りにはグリフォンの他、銃口を向ける二階堂のチームがいた。
「大人しくしてれば殺さない。さあ、クリスタルを渡してもらいます。」
明人が歯向う。
「やなこった。海斗が死んだ証拠は何も無いだろ。」
「証拠も何も、この刀が三船君が死んだ時目の前に現れたんだから。」
その時、二階堂の後ろの木に何かがぶつかった。それは轟音と共に木の破片が散った。
「出てきなさい、桑田さん。いるんでしょ?」
祐介が木から降りた。放心状態で。
「おい、どうしたんだよ、祐介?」
明人が心配しながら聞く。
「ユニークアイテムは人を殺した時、目の前に現れる。海斗がふ、不良達を殺した時もそうだった。。。」
「おい。。。てことは。。。」
「やっと分かってもらえましたか。」
そこに米田達も合流した。
「ふふふふ、三船の奴はバカだよね、あんな演技を信じて、殺されて。さて、彼らを檻に入れるよ!」
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海斗が死んで一週間たった。クリスタルを手に入れた二階堂達と米田達は祐介達を閉じ込めて自分たちの島に戻ると思いきや、そのまま、海斗達の基地を改造と改築した後、住み込んだ。ここには様々なアイテムカードの物資が届くけど運ぶのはめんどくさいらしい。祐介達は一人づつ、縛られたまんま別の檻に入れられた。最低限の食事と水をもらえたが、もう衰弱し始めてる。
そこに、米田達の中で唯生き残った男子の二人、矢部修と三谷栄太が米田と二階堂に話を持ち込む。
「なあ、俺ら禁欲生活はもう辛いんだよなあ。」
米田が呆れた顔で聞く。
「それで?」
「そこで、捕虜の女をヤってもいいっすか?どうせ殺すのなら。」
二階堂はすかさず返事する
「ダメよ。彼女達は三船君用の人質よ。」
「でもよ、三船の奴死んだんだから人質いらなくね?」
そこで米田が矢部と三谷を引っ張り寄せて耳元に囁く。
「彼女は三船のあっけない死に様に混乱してるんだよ。私が説得するからいいと思うよ。だけど、渡辺をヤる時には私も呼べ。あの女をまたいじめたいから。」
「ヒャッハー、さすが米田。話がわかる奴だ。」
「だけど今晩はやめとけ。九重が見張り番だ。」
「じゃ、いつヤっていいだ?」
「明後日。私があなた達を見張り役として決めたから。」
「オッケー。明後日な。」
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その夜、祐介の檻に九重と井上が集まった。
「よ、祐介。」
「ああ、英太。それに九重。」
「食物と水もってきたぞ。あいつらのせいでろくに食えねえだろ。しかも檻なんて。すまねえ。」
「いいって。」
「食え。本当にすまない。」
九重が檻を開けて、祐介の縄を解いた。MREと水を差し出された祐介は飢えた猛獣のように平らげた。
「これって他の奴らには。。。」
「もちろん同じことしたさ。お前が最後だ。」
「食べ物をくれてありがとな。それで他に用は。。。」
英太が口を開いた。
「海斗のことだ。」
祐介の顔が暗くなった。
「うちのお嬢も海斗はまだ生きてると言い張ってるけど、俺らは海斗が死ぬとこに立ち会った。それどころか、海斗の刀は俺の前に現れた。」
祐介は聞き続ける。
そこで、英太は海斗との戦いの一部始終を話した。
海斗の宣言。海斗に弾丸が当たらないこと。二階堂と互角、いや、それ以上の戦い方をしてたこと。そして海斗の足場を崩したこと。海に落ちたこと。笑顔のままずっと戦ってたこと。
祐介の目には涙が溢れてた。でもなぜか笑顔でいた。
「それ、それでこそ海斗だよな。」
九重も続く。
「俺もそう思う。あいつは戦いを楽しんでるようにしか見えない。それでこそ海斗だ。だけど心になぜか虚しさが溢れる。」
「俺もだ。」
祐介が答える。
「それって多分、海斗に真剣勝負で勝てた事が無いからじゃない?」
祐介はその問いを言い終わった時には英太と九重は下を向いてた。彼らの虚しさは永遠に満たされないだろう。
九重が祐介の問いの後の沈黙を破る。
「海斗は死んだ。そうお嬢に言ってもらえないかな。お前の言葉ならお嬢も信じると思うんだ。」
「ああ。わかった。」