逆転
グリフォンは二階堂の合図で飛び立った。全滅のリスクを減らしたんだろう。
海斗が刀を取り出した。それに反応して二階堂は槍を取り出した。
すかさず海斗は二階堂の懐に入ろうとした。だが、二階堂はそれを許さず、槍で海斗を止めた。この時、海斗の頭を目掛けて矢と銃弾と石が一斉に降ってきた。それらをギリギリで避けるとすぐ二階堂の追撃が来る。遠距離攻撃を仕掛けてくる人たちは木の上に隠れてる。海斗の背後に刀が振りかざされた。九重が後ろから遊撃をしてきた。だが、海斗はAWPを空間から取り出し、刀を受け止めた。動きが止まると、再び遠距離攻撃が始まる。二階堂たちは勝利を確信していた。何故なら海斗には攻撃手段がなかったからだ。
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二日前。
早朝。
二階堂達が祠の周りに集まって真剣な顔で話し合ってた。
「三船君を倒す方法を探さないと私達が負ける。向こうから少しは弾丸とかは分けて貰ってるけど物量じゃ敵わない。」
「その事だけど」
英太が口を挟む。
「いい案がある。まずは、海斗が一人になる瞬間を狙う。できれば木が多いい所で戦いたい。」
「それで?」
「MMORPGのパーティー戦は知ってるか?」
英太が辺りを見渡す。皆、首を横に振ってる。
「知らない。」
「大雑把に言うと役割分担をして強い敵を攻めること。まずは、レンジャー。銃とかで相手を狙う。アタッカー。遊撃をする。隙ができた瞬間攻めろ。最後にタンク。相手の動きを止めて敵意を集める。そしてとにかく耐える。」
「なるほどね。わかった。これなら、役割分担はもう決まった。」
九重が名乗り出る。
「俺がタンクをやる。」
二階堂がそれを断る。
「タンクは私がやる。あなたは三船君の攻撃に五分も持たないでしょ。」
「わかった。」
「残りはレンジャーをよろしく。できれば三船君の足元を狙って。では、練習に行きましょう。相手はあのクマにしましょう。」
二階堂はそこに現れたクマに向かって走り出した。
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現在
海斗は数々の攻撃を凌いでいた。当たったのは一つもない。それどころか、二階堂には有効打では無いものの、一発当てる事が出来た。だが、海斗の背後が崖に徐々に迫ってきた。そこで再び、二階堂に向かって縮地。槍先を避けて、刀の柄で二階堂の腹を殴る。すぐには崩れずとも、二階堂の息は確実に荒くなった。そして槍を手放した。この時、海斗が刀を下から切り上げようとしたら、鋭い金属音がした。九重が刀で海斗の一撃を受け止めた。
「俺がいる限り、二階堂さんは殺させぞ」
「邪魔だ」
海斗が柄の持ちどころを変えて軌道を変えた。それは蛇のように九重の首に向かった。
バン。
銃声がした後、海斗の刀に衝撃が走った。
一旦背後に飛び退いた海斗は二階堂達に再び囲まれた。息は荒いものの、二階堂は再び槍を持って立ち上がってた。逆に海斗は一歩も引けない状態になった。そこでまた、海斗の顔に笑顔現れる。今度はハッキリと。二階堂達は、心からこの笑顔に怯えたが、海斗を倒す決意は揺るがなかった。
「終盤ですよ。気を抜かず攻めますよ」
二階堂がみんなに喝を入れる。
「さあ、来い」
再び銃声が響いた。今回は海斗の足元に銃弾が飛んだ。
井上が囁いた
「貰ったぞ海斗。これでやっと俺の勝ちだ」
「しまーー」
海斗の足場が崩れた。海斗が崖から落ちた。そのまま海に落ちて、水しぶきとともにこの戦いの幕が降ろされた。数秒後、木から降りた井上の前に海斗の刀が現れた。
「これで死亡確認出来たね。一気に三船君チームの島を攻めるよ。」
「「「おう」」」
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「なあ、海斗はどうしてるんだ?」
太一が戻ってきた護衛グループに聞いた。
「あいつまた一人で戦いに行ったよ」
「海斗のことだ、多分すぐ戻ってくるよ」
「そうだな」
「。。。」
「どうした祐介、なんか悩み事か?」
「ううん、なんでも無いよ。なんかヤな予感がしただけ。」
「大丈夫だって。あの神速はお前も見ただろ。」
「そうだね。そういえば、海斗からの伝言。『守りを固めろ』だって」
「よし、みんなこっちで守りの陣形を考えるぞ。」
「。。。海斗。。。生き残れよ。。。」