亜人同盟
「お前がただの人間なわけないだろ。」
「ま、無駄な話をやめて、俺のことを認めてくれるか?」
「まさか、まだ戦ってもないのに。」
海斗が刀を空間から取り出す。
「まさか、お前も神器を持ってるとは。あの人間といい、お前らは、神器をどれだけ持ってるのか?」
「さーね。」
海斗が居合斬りの構えをとった。ケンタウロスも負けずに彼の得意な槍を後ろに、そして盾を前に構えた。
海斗の気が一瞬緩んだ。それに気付いたケンタウロスは飛び込んだ。馬上からの攻撃の様な一突きは誰もが海斗を貫くと思ってた。だが、槍は海斗に届く前に崩れ落ちた。槍は海斗に届く事なく、試し斬りされた竹の様に様々な角度から切られた。肝心の刀は未だ鞘の中。いや、一瞬で斬って鞘に戻したのだ。
「私の負けだ、人間。いや、三船海斗よ。お主なら、我王を超えてるかもしれないな。同盟を認めてくれ。」
「ああ。お前らを守ってやる。その代わり、お前らの王の強さを教えろ。」
「いいだろう。我が王は我々と違って、全く別の生物、王は魔物と呼んでたけど、のキメラだ。ミラーと言う生物で、今まで倒した中で最も強い者の力、そして姿をとる。今はドラゴニュートだ。だけど、今は何処にいるかは分からない。我が王は月に三日ほど、神に洞窟で祈りを捧げる。その間、我々の神器が我々を強化する。」
「それより、キサゼ。あれをどうする?」
海斗が空に指をさしながら続ける。海斗が指差す方には虎の下半身、竜の上半身と羽でできてる生き物が三匹飛んできた。
「ドラコグリスに見えるけど、撃ち落とす?」
「できるのか?その鱗は鋼より硬いぞ」
「。。。ああ。その間、残りの奴ら、そこに倒れてるやつもな。」
海斗は違和感を感じた。彼らは鋼を使っていない。そのはずだ。しかし、キサゼは鋼の硬さを知ってる。
「わかった。」
海斗が違和感を頭の片隅に留めて、AWPを取り出す。そして続く轟音。空のドラコグリスが落ちてきた。三匹とも仕留めた海斗はAWPを仕舞い、キサゼの元に向かう。
キサゼたちの足跡を辿って、森の中に五十匹の亜人たちを見つけた。
そこには様々な亜人たちがいた。
猫耳が特徴の猫人。犬耳が特徴のコボルド。下半身が蛇のラミア。下半身が蜘蛛のアラクネ。リザードマン。そしてケンタウロス。これらが海斗の護衛対象。全ての亜人がキサゼやキララと同じバックラーを手にしていた。
「三船海斗。ここに来てくれ。」
キサゼの声が少し離れた場所から聞こえた。
木々が激しく揺らめく中、海斗が声の元に向かった。そこにはキサゼと少しと歳取った亜人たちがいた。彼らもまた、バックラーを持っていた。最初に喋ったのは老けたコボルドだった。
「我々長老たちから礼を言う。よくぞドラコグリスを倒した。」
「そしてー」
ラミアの長老が口を開いてすぐのことだった。一斉に矢が長老たちの頭に刺さった。唯一生き残ったのはキサゼと海斗だった。キサゼは背後を取られまいと海斗に背中を向けた。
木から二階堂たちが降りてきた。それも、全員。
キサゼが海斗に苦笑しながら語りかける。
「三船海斗、この数は相手にできん。乗れ。」
海斗がキザゼに乗り、森を駆けた。
森を抜けてる間に海斗が念話で祐介に一言だけ伝えた。『守りを固めろ。』と。
森を抜け、山の中腹にある崖に辿り着いた海斗たちはすぐにグリフォンに乗った二階堂たちに見つかった。海斗は再び二階堂たちに囲まれた。キサゼはグリフォンに。
キサゼがグリフォンを飛び越えようとした時グリフォンに蹴りを入れられた。
蹴りから立ち上がったキサゼの様子がおかしかった。自分の姿を見て、驚いて発狂した。
「うああああ。なんだこの体。あの時負けて。そうだ。置いていかれた後ラボにー」
そしてグリフォンがトドメを刺した。キサゼの言葉を最後まで聞けずに。
海斗が辺りを見渡した。彼の後ろは崖。前にはグリフォンと二階堂たち全員。
海斗の顔にかすかな笑顔が浮かぶ。
「第二ラウンドがそろそろか。。。」
「何言ってるの三船くん。これからあなたが降参しない限り殺しに行くからね。」
「俺がお前らに殺されわけないだろ。」
「この戦力差でもそんなことをまだ言うの?呆れたわ。」
「一つ伝えとこう。俺は決して本気を出さない。」
「その選択を後悔しながら死ぬんだね。」
「さーて、パーティーの始まりだ。」