時間が解決する
みんながいう
時間しか癒せない
何もできなくてごめんね
時間がたてば
そう言われて
100日過ぎた
今日は
あなたの心臓が
薬で動いていた心臓が
とうとう
疲れて
動くのを止めてから
100日
何も変わらない
あの日から何も変わらない
あなたがいないことが納得できない
せつなくて
悔しくて
自分が許せなくて
何も変わらない
今日
合唱コンクールがテレビで流れていて
賛美歌を歌っていた
なぜか
あなたの心臓が止まった日のことが
フラッシュバックのように次々と頭に浮かんできた
薬が効かなくなって
でも
お兄ちゃんが病院に間に合わないとお医者さんに言ったら
たくさん薬をつかってくれて
あなたの心臓は
本当にたくさんの薬をつかっても
動くのがやっとで
お兄ちゃんのために頑張って
といったらいいのか
もうもうぼろぼろな身体を休めて
といったらいいのか
分からなかった
お兄ちゃんが病院に着いたすぐあと
まるで
待っていたみたいに
心臓が止まって
みるみるうちに
あなたの爪がピンクだったのが
クリーム色に染まっていって
延命治療はしないって決めていたのに
お兄ちゃんを待つ間
まるで悲鳴を上げているような
不規則な心臓の動きに
もういいよ
やっとゆっくりできるね
といったらいいのか
いやだ死なせないで
といったらいいのか
何もかも
分からなかった
でも
あなたの心臓が止まったあと
入院して初めてあなたの背中に手を回して
抱きしめた
色んな管があなたの命をつなぎ止めるために
あなたの身体に繋がれていたから
怖くて
抱きしめられなかった
だから
心臓が止まったから
やっと
抱きしめられた
ずっと点滴だけで入院していたから
痩せてしまって
軽くなったはずなのに
生きているあなたを抱きしめたときより
ずっとずっと
重かった
あの日のことが
次々
次々
浮かんできて
吠えるように
叫ぶように
ずっと
ずっと
泣いていた
本当に
時間が経ったら
この気持ちが無くなるのだろうか
無くならなくていい
あなたを忘れたくない