大泥棒

その男は裏社会では何でも盗み出す大泥棒と言われていた。

彼に頼めばどんな物でも盗みだす…彼の名は大泥棒ホワイト。ここR会社にはそのホワイトが訪ねていた。

「それで、ご用件は何でしょうか？」

「何でしょうかやと？お前を呼んだって事はそういう事やろ理解せえや」

「なるほど、大体おっしゃりたい事は分かります、しかし何をしてほしいのか詳しく言ってもらわないとこっちも仕事に進めません、ご理解を」

それを聞いたR会社の社長は厳しい顔で話を進めた。

「面倒臭いから簡単にいうで、B会社の社長が若造のくせに生意気で仕方ないねん、そこでお前に頼むけどあそこの会社の金を全部盗んで、わいのところに持って来い、報酬は１割やるわ」

それを聞いた大泥棒ホワイトは顔をうつむけながら呟いた。

「事情は大体分かりました、しかし絶対にターゲットから金を盗む私でさえも、あそこの社長からお金を盗むのはかなりの困難です」

それを聞いたR会社の社長は机を叩き、ホワイトを睨みつけながら言った。

「出来るんか？出来ないんか？はっきり言えや小僧！！！」

「彼から金を盗みだすにはまず一億のお金が必要です、その一億を餌にB会社の信頼を得ます。B会社の全額は約千億、一億など安いものではないでしょうか」

社長はしばらく黙った後、ホワイトに威圧感を与えて命令した。

「プランは聞かんといたるわ、どうせ企業秘密なんやろ？お前が今まで失敗した事は無いとは聞いてるしな、絶対に成功せえよ」

「もちろんの事、私に不可能な依頼はありません、それはデータが表しています。では一ヶ月後またお会いしましょう…」

そして一ヶ月経った後R会社は大騒ぎになっていた。

「大変です！ホワイトにいくら連絡しても全く繋がりません！」

「なんやて？」

その頃ホワイトはB会社の社長の前に立っていた。

「これが依頼の一億です」

「ご苦労だ、約束の一割、一千万をお前にやる」

不気味に笑うB会社の社長から、ホワイトは一千万受け取った。

「ありがとうございます」

「しかしお前も馬鹿だな、あいつから一億盗み出した後そのまま、逃げれば良いものを、俺はあいつに恨みを買ってただけだしな、全然かまわなかったが」

「私はターゲットの金を絶対に盗みだすのがモットーですので、それにＲ会社の社長には一億、あなたからは一千万盗みだしています。それが私にとって今回行動した中で一番大きいご褒美です。では…」

ホワイトは会社から出て行った。

「金じゃなく自分のポリシーを得るためにか、変わった奴だ…それにしても今頃R会社の社長は大慌てだろうな、俺がお前より早くホワイトに依頼をしていたとも知らずに…フハハハ…ハッハッハッハッハ」