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マブイ【魂】プロジェクト  作者: °Note
Chapter Ⅲ 失われた過去からの使者
55/120

sect.8 フォーメーションZ

「さてウチの娘たちに襲い掛かった礼は、たっぷりさせてもらうズラよ」

男はそう言いながら、巨大なムカデに向き合う。


男の投げたボールの煙を体に受けて、空中でもがき苦しんでいたムカデはズズンと地面に落下したり、体をグニャグニャとよじらせて球状に丸まったりしていたが、時間の経過とともに落ち着きを取り戻し始めていた。

その様子を見たゴーグルの男たちは、ただちに戦闘準備に移っていく。

「そうでなくては。あの程度でくたばってもらっては、こちらも張り合いがないズラ」


男たちはその姿からは想像できないほどの身軽な動きで、ピョンピョンと飛び跳ねるように散らばり岩の上や木の上、茂みの中などに身を隠し始める。

そしてもがき苦しんでいた巨大なムカデはやがてガサガサと何十本もの足で助走をつけると、ブーンという低い音を立てて再び空中へと飛び立ってしまった。


「あっ、逃げるよ!」

「だいじょうぶズラ。ここまで怒り狂った蟲は、逃げたりはしないズラ」

思わず叫んだチカに男が答える。

男の言葉通り飛び立ったムカデは空中で再び8の字を描くように旋回し、男たちに狙いを定めて隙を窺っているようにも見えた。


タッタッタ・・・


その時男たちの一人が隠れていた茂みの中から飛び出し、空中のムカデに背を向けて走り出す。

「ムカデヤロー、こっちだじょ!」

それを見たムカデは空中で動きを止めて、走る男に向かって一直線に急降下を始める。


ブーンという音を立てて、男に迫るムカデ。

「今だ!」

その掛け声を合図に散開していた男たちが、巨大なムカデと走る男の間に網を張る。

急降下を始めているムカデはその網に気付いたように巨体を一瞬よじらせたが、勢いのついた体は軌道を変えることもできずに、その網に向かって全力でぶつかっていった。


「ぐぬぬぬ・・・!」


網を握りしめる手に、力を込めて耐える四人。

だが次の瞬間、網に捉えられると思われたムカデは網を突き破り、その網をしっかりと握りしめていた男たちは、その勢いを止めることができずにそれぞれ吹き飛ばされていく。

とはいえ巨大なムカデも全く影響が無かったわけではなく、狙いを定めていた男に思いっきり体当たりをしてぶつかった。


「あ~れ~・・・!」


ムカデの巨体に体当たりをされた男も吹き飛ばされてしまい、あ~れ~という叫び声はその五人によって発せられたものだった。



「・・・これはいったい何の茶番だ?」

先行して先に向かった男たちにようやく追いついたヴェルデが、その場に立ち尽くしてインドにたずねる。

「・・・・」

口を開いたまま、無言のインド。


「こりゃ、お前ら何をチンタラやっておるんじゃ!」

「あっ、インド!」

インドに怒鳴られて、男たちはヒッと飛び上がる。

「スタントルードの民ともあろう者がヴェルデ様に情けない姿をさらすでない」

「お、おう・・・」

男たちは情けない声で返事をする。


「やれやれ・・・、ワシがおらねば、ダメなようじゃな。」

そう言いながらもインドは、まんざらでもない様子でため息をつく。

「仕方がない。いくぞ、ふぉーめーちょんZじゃ」

「なに!?それは禁断のふぉーめしょんなのでは!?」

「構わん行くぞ!」

「お、おう!」


「・・・だから何の茶番なのだ?」

ひとり立ちすくむヴェルデ。

「はぁはぁ・・・、やっと追いついた」

その時遅れて追走していたリグアが、やっとヴェルデのもとへと辿り着く。


「あれ・・・!?何をしているんですか?」

「何やら、面白い見世物をやっているぞ」

リグアの問いかけにヴェルデが答える。

「見世物?子供たちは無事だったのですか?」

「心配いらん、見てみろ」

そう言いながらヴェルデが指差した方向に目をやると、地面に座り込んだ子供たちの姿があった。


「よかった・・・。無事だったのですね。で、彼らは何を・・・?」

それぞれが思い思いの方向に散らばって走り出したインドたちを見てリグアがたずねる。

「どうやら蟲を狩るつもりらしい」

「狩る!?蟲は凶悪な生物ではなかったのですか?」

「この地で幾年も蟲と対峙してきた者たちだ。それなりの技と知識があるのであろう、まあしばらく様子を見てみよう」

「そうですね・・・」


ブーン・・・


ムカデの姿をした巨大な蟲は、嫌な羽音を響かせながら上空を旋回している。

それを見ながらインドは体にぶら下げたガラクタをまさぐり、銃口が握りこぶし程もある奇妙な銃とその銃口にすっぽり収まりそうなカラーボールを取り出す。

「コレじゃ、コレじゃ・・・」


小太りの中年オヤジの集団ともいえるゴーグルの男たちは、ピョンピョンと再びその体型からは想像もできない程の身軽な動きを見せる。

「んなっ!?早っ・・・」

リグアがあり得ないといった表情でつぶやく。


散開した男たちはそれぞれの立ち位置につくと、その場に立ち止り合図を送る。

「オッケー、ズラ」

「おっけーだじょ」

・・・以下略


「全員準備オッケーじゃな。ふぉーめーちょん・・・」

「ぜーっと!」(全員)


「・・・いや、だから何の茶番なんだっ!?」

そんなヴェルデを置き去りにして作戦は進む・・・。



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