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第3話 あそぼう

そんなある日のことでした。

いつものように森の中で、グラパールのことを尋ね歩いていたミゾーは、ひとりの少女と出会いました。


 「ねぇ、あそぼう。」


ミゾーは、その少女に声を掛けました。

でも、この森は隠れ森、光の街に関わりがない者は決して許しません。


森の番人でもあるミゾーは、いつもそうやって、森の中に入り込んで来た者たちに話し掛けては、泥沼まで連れて行って殺してしまうのです。

下界のものたちは、隠れ森の中のどこかにあるはずの、そんな泥沼のことを“恐れ沼”と呼んで恐れます。


ミゾーは楽しいお話を聞かせながら、少女をどんどんと森の奥へと連れていきました。

ただ、この時のミゾーは、グラバールのことが気になっていて、いつもと少し違っていました。


グラパールのことを知りたいミゾーは、少女にお話しを聞かせる中で、金色のフクロウを知らないか尋ねます。


少女が知らないと答えると、今度は少女の住んでいる町に、金色のフクロウを見た者がいないかを尋ねます。

そんな会話をしているうちに、二人はとうとう、恐れ沼の近くまでやって来たのでした。


いつもならこの辺りで、人喰いトラのマットタスクを呼んで、その体に移るミゾーなのですが、やはり今日のミゾーはすこし変です。


それがグラバールのことを気にしてなのか、それともここに来るまでに、その少女が自分と同じように、いつもひとりぼっちだと聞いたからなのか…。

どちらにしても、ミゾーはマッドタスクを呼ぶどころか、恐れ沼の側にある切り株に、少女と二人で腰掛けたのです。


 「キミのカラダ、きらきら透けていて変わってるね。」

 「少しだけ、触ってもいい?」


 「うん。いいよ。」

 「それに、あなたのカラダも虹色でとてもキレイだよ。」


こんな会話をしながら、ミゾーがその少女の手に触れた時でした。

突然、少女の体はキラキラと輝き始め、それに応えるかのように、ミゾーの体も虹色に輝いたのでした。

少女はビックリして、座っていた切り株から立ち上がろうとしました。


 「キミも、光の街の者…?」


しかしミゾーはそう呟やいて、触れた少女の手をしっかりと握ったのです。

“光の街の者”、少女にはそれが何か解りませんが、握られたミゾーの手の温もりだけは、ハッキリと感じていました。


 「あなた、優しいんだね。」

 「とってもあったかいよ、この手。」


東のビースという街からやって来たその少女の名は、クリスタルバニーと言いました。

クリスタルバニーは、光の街では、下界を照らす者としての大変に重要な役割があります。

しかし下界にやって来たクリスタルバニーは、あまりの孤独な毎日に耐えられなくて、いつしかそんな自分の使命も、自分が光の街の者だということも忘れてしまっていたのでした。


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