表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

幼き軍略家

広々とした校舎は入学して数年が経とうとも、古臭さと窮屈さを感じさせた。

レオ・ペロタンは成熟期を経て更に黒味が増した耳先と、犬特有の長く垂れた耳をプラプラと下げながら、<新動物>世代の頂点として人間生徒たちに差別されながらも、辛酸をなめさせられる学校生活を頭脳面で勝ち抜いてきた。学帽さえ被らず、学ランに身を包みながら気怠い気持ちを隠すこともなく、彼は渡り廊下を歩いていた。

「ひどく白けたツラだな、親友?」

振り向くと、ロシア語訛りの英語で砂場遊びの頃からの悪友、ガロフ・ペコタンが立っていた。三毛猫でかなりふっくらした頭に、それには見合わぬ小さな体、異様に長い前足とそれに比する事のない後ろ足の短さ。可愛さをどこか持っていたが、その内面を知るのはペロタンだけだった。

「いえね。バスタート先生が俺を見るなり、『犬の恥だ』だなんて言ってきたのさ」

「あいつは当たり散らすのがお好きな性格だ。そう真に受けんじゃねえよ。お前は動物生どころか、”向こうのやつら”もこの前のテスト首位には驚いてるぞ」ペコタンはまんざらでもなさそうに笑った。「頭がいいと殴られないんだろ?俺は頭は悪い、性格もこんなで粗暴、悪いが”優等生”とは言えないね」

ペロタンは落ち着けるように言う。

「お前はこの『ポロネジア』の仮想敵国『ルレシア』のモスクワ出身だ。異国の地なのにそれにしてはだいぶんうまくやってる方だろう」

ペコタンは真剣な顔をした。「ああ、だがそれとこれは別だ。俺は見るからな不良、そしてごろつきどもを従え『学校ワル軍団』を作った。まあ平たく言やァ暴走族さ、そんな奴が先生にマークされないですむはずがない。下の者たちが狼狽しないように俺は凛々しく居ねえとな」

ペコタンはそれ以上何も言わなかった。

「おっと、次の授業が始まっちまう。お前も急げよ、隣のクラスだろ?」ペコタンは急かした。

ペロタンは黙って階段を上がり、「急げよ」と諭すペコタンにこういった。「何もそう急ぐ必要はあるまい。この歩調なら定刻通りつく」


ペロタンは席に着くと、地獄の授業に向けて真剣に目を向けた。

…今日も先公は理不尽な理由で殴っている。生徒を前に立たせ、そのかわいい顔を鉄拳で殴り伏せ、のたうち回って泣きわめく生徒の横腹にまたケリを入れていた。二度と師を名乗れる立場には見えない。『尋問者』だった。ペロタンは目を背け、教科書を読み始めた。

-----これがポロネジア、『動物学園』。2438年現在、ドイツと呼ばれたこの地は今は見る影もない。ペロタンとペコタンが4年前に誓った『報復戦争』の立場となる場所。ペコタンとペロタンの”動物を解放する”という大義名分は、生徒の暴力が確度を増していくにつれて、益々憎悪と共に強まるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ