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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: カジタニ ユウ


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7/8

出陣7

ご都合主義の転生ものじゃなくって、なるべく納得できる範囲で格好のいいヒロイン・ヒーローを描きたいと思います。

チョット歌舞伎じみたセリフ回しの格好つけの多い物語です。

「エリーその情報がブルック様から届いたのは正確には今日の何時だったのかしら?」

正確な判断には、正確な情報。お姉様が何時も言っている基本ね。


「私がここに来た時だから、大体1時半ね。・・・それにしても貴方冷静なのね。貴方を売り渡そうと言う話なのに」

わざとヤクザな口調のエリー。


「お姉さまはその情報を朝には掴んでおられたわよ。手段は分からないけど、その解決策も複数お持ちだと思う」

私は自分でコーヒーを淹れ直す。


「ブルック兄さまも今日伝えて来た位だから、先に伝えたという事は無いと思うけど、シルディ様ならば不思議では無いですわね」

ヒルダも同意する。


「今朝、お姉様が戻られて全校招集を掛ける前に少しお姉様とお話しする時間があってその時、シュナイザー殿下のお話が出たの」

私は、今朝の会話を思い出しながら言う。


「ほほ~~~、それはつまり、婚約者候補としてどう思うかという事うよね?」

興味津々のヒルダ。

(国家レベルの話を貴方が普段している恋バナと同じにしないで)


「その時の私の反応を見て、お姉様的には『案外、脈有り』だそうよ」

カップを片手に持ちながら照れ隠しにちょっと格好をつけて言ってみた。


「『だそう』って、貴方自分の事でしょう」

呆れたという感じのヒルダ。


私は改めてシュナイザー殿下との関係を思い浮かべた。

「私、以前に告白された事があったのね。あの敗戦の直後だったけど。その時は、私も混乱していたし、お姉様の学園にも行きたかったし、返事は3年待って欲しいとお願いしたの」

お姉様にもした事の無い話なのに何故かエリーには素直に話せた。


「そこまで、私を信じて話していいの?私は貴方を贄にする策を立てたのよ」

あくまで偽悪趣味の革を被るエリー


「いつもの貴族の権力闘争ではないもの。掛かっているのは民の命。お姉様も貴方もウノシルディスの80万の民を守りたいのでしょう。その思いは私も同じよ。」

エリーと話している内にお姉様の考えが見えて来た気がする。


「やはり貴方はシルディ様の一番の弟子なのね。貴方を試してゴメンなさい。」

深々と謝罪をするエリー。


「謝罪を受け入れます。でもねエリー、私は殿下を憎くは思っていないし、どちらかと言えば好ましく思っています。ただちょっと消極的だけど、私が支えれば大公国の公王としてやっっていけると思う」

(私って自分をこんなに冷静に分析出来る人間なんだ)


「貴方が妃として殿下を支え貴族を抑え、シルディ様が国政を導く。私達がそれをお手伝いする。ウノシルディスの食糧は2か月はなんとかなるから、侵略者をさっさと撃滅しちゃえば何とかなるわ」

未来の姿を語る夢見るエリー。


「エリー、私がシュナイザー殿下の婚約者になったら、貴族は3つに分かれるはずよ」

内容が内容なので、声を潜める。


「ええ、賛成派と反対派、そしてヒルダ派ですね」

メモに3つの丸を書くエリー。


「賛成派は、まあいいは、反対派は帝国の息の掛かった貴族でしょうが、今度の戦いでお姉様の実力を示せば、切り崩せる余地もあると思う」

私は2つの丸を指さして言うとエリーが私の言葉を書き込んでゆく。


「問題なのは、この親ヒルダ反シルディ派ですね」

エリーは3つ目の丸を指さして言う。


「私を神輿にしてお姉様の邪魔をしてくる連中ね。本音はお姉様より扱いやすそうな私を傀儡にするつもりでしょうね」

私は、3つ目の丸に夢想者と書き込んだ。


「まっ痛烈ね。でも一見賛成派に見えるから一番厄介な連中ですが、貴方が正体を見抜いてくれれば、後は、シルデイ様様とブルック兄様にお任せすればよいでしょう」

エリーは割と楽観的な将来図を描く。


「そうね下手に潜まれるより、表に出てきてくれた方が楽よね」

「ヒルダ様、シルデイ様が悪だくみを考えている時と同じ顔です」

「そういうエリーだって楽しそうじゃない」

ニヤリと笑いガッチリ手を組む淑女二人。





「じゃ今度は私から問題、いいですか?」

珈琲を飲みながらいう私。

こういう話をする時は、紅茶より珈琲の方が頭が回るみたい。


「何か怖いけど・・・・どうぞ。」

口では怖いと言いながら、ワクワクで乗ってくるエリー。


「先の集会の時、お姉様は、私に大公国旗、貴方に学園旗、そしてフローラには戦旗を持たせてご自分ででは何の旗もお持ちのならなかった。何か意図があると思う?」

眼だけで悪戯っぽく笑う私。


「シルディ様は、ウノ族、フン族との同盟を狙っておられます。そして、その力で帝国に対抗すると言われました。ですからクロスロード大公国とウノ族、セム族の3勢力の統一を目指されます」

一つ一つ事実を重ねて考察するエリー。


「そこまでは私と同じ考えね。では統一を盤石にするには?」

両肘を机の上に当たて両手で顔を支える私。


「王家の婚姻ですね」

至極当然の様に言うエリー。


「上策ね。具体的には?」

私は先を促す。


「シルデイ様とウノ族、フン族の王族とご結婚ですね。もし子供が生まれればより盤石でしょう」

上策と褒められて得意げに話すエリー。


「私も同じ結論です。ま~お姉様なら夫の2人や3人、問題なく捌くでしょう」

エリーの策に満足して珈琲を飲む。


「勝った国の王が負けた国の王族の姫を娶りその産んだ子に国を継がせる」

エリーも珈琲を自分で継ぎ足す。


「男共がこれまでして来た事ですね。」

ニヤリと笑う私。


「その逆をするだけの事。負けた国の王か皇太子が、勝った国の王女と結婚して、生まれた子が王位を継ぐ。シルデイ様なら、旦那が2、3人、妻の2、3人位いたって全く問題無いですわ。」

同じ様にニヤリと笑うエリー。


「「逆ハーレムの策」」

ピタリと息が合い、完全に暴走モードのスイッチが入った二人。


「お姉様はクロスロード大公国ではなく、クロスロード帝国の初代皇帝になられます」


「クロスロード帝国万歳!!!」

と私


「シルディア皇帝万歳!!!」

とエリー


珈琲カップで乾杯をする二人。


この後、二人は珈琲ポットが空になるまで、二人が敬愛する姉と上司をダシにして二人の妄想であるクロスロード帝国について大いに語り合った。



「あれ?・・・ちょっと待って下さいヒルダ様、この策は私達がシルデイ様の考えそうな事を忖度して練り上げた物であって・・・シルデイ様の策では有りません。」

珈琲ポットが空になったのを確認して言うエリー


「当たり前じゃないの。今のお姉様の頭の中は100倍の敵に勝つ事だけよ」

空になった珈琲カップを指に引っ掛け回しながら言う私。


「出撃前の忙しい時期にこんな話をしていた事が・・・・」

「シルディ様にバレたら」

「お姉様にバレたら」


「「私達、八つ裂きにされます」」


「それよりもお姉様が婿を2、3人獲る事を前提にしたこの策が・・・・」

「フローラにバレたら」

「ブルックお兄さまにバレたら」


「串刺しにされてしまいます」

「お兄様に闇に葬られます」


「「私達、何て恐ろしい策を思いついてしまったの」」

天を仰ぐ二人。


「「貴方のせいよ!!!」」

互いを指差し絶叫し相手の責任にする醜い二人。

今の絶叫は間違いなく外の3人に聞こえた。


二人は息を潜めて気配を確認する。




「・・・あの三人には聞こえてないわよね?」

ほとんど囁きに近い音量で話す私


「・・・ええ、確認するのも藪蛇。誤魔化しましょう」

囁き返すエリー


「何の話をしていたのか。結構な時間よ、アリバイはどうします」

ヒソヒソと悪だくみをする時は、珈琲よりも紅茶が欲しい。


「ウノシルディスの食糧確保の為の貴方とシュナイザー殿下との婚約話と言う事で」

エリーが提案する。


「暴走前は真面目なその話だったし、それについてはお姉様も同意されているから、それで押し切りましょう」

(エリー、珈琲って麻薬の一種じゃなの?これからは1杯だけにしておきましょう)


「そうね、貴方の婚約についての話だもの、1時間位密談してもちっともおかしくない。」

深く頷きあう二人の元淑女。

(珈琲には覚醒効果があるのかもしれない。面白いから今度会議で出してみよう)



「エリー、今の話は考えさせてください。戦いが終わった後でもう一度、お姉様やフローラも交えて他の方法も含めて話し合いましょう」


「判りましたヒルダ様。とにかく今は戦いに集中しましょう」


「「勝利は、我らの手中にあり」」




「婚約か・・・」

ワザと聞こえる様に呟き、ヒルダの立ち去った方を見つめるエリー


「3人とももう入って来ていいわよ」


何時までも入ってこないエリーに黙礼して中に入った3人


(余程重要なお話だったのですね)

(声を荒げる事などないエリー様がヒルダ様を罵るなんて)

(それに意味深な「婚約」の独り言。出撃前のこの時期に参謀役の二人が激論を交わすなんて)


(((この事は当分の間秘密ね)))

真剣な顔で頷きあう3人であった。

いよいよ明日出撃です。

早く物語をすすめたくて仕方ないのですが、やっぱり絶望的な状況の戦いに赴くとなると、主人公だけではなくて、それを支える者たちの物語も重要だと思うのです。

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