表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: カジタニ ユウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/5

出陣4

ご都合主義の転生ものじゃなくって、なるべく納得できる範囲で格好のいいヒロイン・ヒーローを描きたいと思います。

チョット歌舞伎じみたセリフ回しの格好つけの多い物語です。

「皆さん、今日は急な召集に集まって頂きありがとございます」

最高点まで盛り上がった空気を冷ます為にあえて淡々と話し掛ける。

(お父様なら、あの勢いで押し切るんだろうけど、私には実績もカリスマ性もまだ足りないわ)


次の私の言葉を千人が目を爛々と輝かせて待つ。

「今日、召集を掛けたのはクロスロード大公国の摂政の私でも無く、学園の理事長の私でも無く、クロスロード大公国第一公女であるシルディアス・フォン・クロスロードです」


背後で学園旗を広げていたエリーとハイデが下がり、私の大公国旗を持つヒルダと入れ替わりカタリナが大きく広げる。

(こんな演出でいいのかしら。と言うかそんな演出の段取りを貴方達、いつ決めたの)


「クロスロード大公国万歳」


「クロスロード大公国万歳」


「クロスロード大公国万歳」


再び沸き起こる歓声を3度ほど聞いた後、右手を上げて歓声を収める。

(エリー、これって貴方の嫌いな騎士道様式そのものじゃない。これで本当にいいの?)


「皆も既に知っている様に、およそ10万のウノ族がウノシルディス方面に侵攻してきた。20日ほど前の事である。敵は現在ウノシルディスの街まで5日の所まで進軍している。ウノシルディス方面の住民は事前にウノシルディスの街に避難し籠城体制に入った。しかし、救援に向かうクロスロード騎士団は動かない。帝国軍からの援軍も義勇兵を含めて動かない。クロスロード大公国騎士団はウノシルディス地方の放棄を決定した」


既に知れ渡っている事とはいえ、実際に私の口から告げられた事実は絶望的な状況であった。


天を仰ぐ者、叫びだしたくなる声を殺すように手を握りしめ震える者。

溢れ出る涙を抑えようともしないのはウノシルディスを故郷にする者であろうか。

自暴自棄に叫び出す者はいない、先程までの熱気は一転して、重苦しい沈黙に塗り替わる。

(ま~正確には動かないじゃなくって、騎士団が壊滅してるから、動けないなんだけどね)


絶望的状況なのは、前から判っている。

10万の敵に、戦った事もない千騎に満たない少女が向かった所で何が出来ると言うのか。

騎士団の男どもの常識がそうつぶやく。

そんな常識的な事は分かっている、しかし、私たちにも出来る事があるから、シルディ様は我らを集めたのではないか。

私たちなら5日あれば間に合う。

私たちには戦う力もある。

シルディ様が「我に続けと」命令してくれれば、私たちなら出来る。


1000人の視線が私に集まる。

その瞳はまだ全ての光を失ってはいない。

(この状況で希望を失わない、あきらめの悪い子達。私を信じてまだ待っていてくれるのね。さ~正念場よ、しっかりしなさいシルディア・フォン・クロスロード)


「私たちであれば3日で行く事が出来る。私たちには10万の大軍を撃退する力がある。みんなよく聞きなさい!クロスロード大公国公女シルディアス・フォン・クロスロードは救援に向かう!」


次の私の一言を千人が待っている。

私はその期待に応え言い放った。

「みんなの命!私に預けて欲しい!」


両目から溢れる涙を拭おうともせず、フローラとカチアが私の横に立ち戦旗を大きく広げる。

(あ~やっぱりそういう演出になるのよね。ま~フローラとカチアなら適任でしょうが・・)

そんな私の一人思案を木端微塵に吹き飛ばす爆音が鳴り響いた


人の声、魂の声とはこんな音なのか。

若き乙女達が上げているとは思えない咆哮。

音とは思えない爆発が私を揺さぶる。

(何これ、これから戦いに行くのよ。死なせないけど私のミス一つで死ぬかもしれないのよ。それほどまでに守りたいの?貴方達、私を感動させすぎよ)


エリーまでも溢れる涙を拭おうともせず旗を振る。


ハイデやカタリナは抱き合って飛び跳ねている。


フローラとカチアは戦旗を広げたまま何かを叫んでいるが、人の言葉とは思えない。

(どんな画家でもこの熱気を伝える事は出来ないでしょうね。でも私はこの光景を一生忘れない。確信的な思いを私は抱いた)


私は大きく両手を天に向かって捧げる。

(これは私が見たお父様の最後のお姿。神様、お父様、もしこの光景を見ているのであれば、私を導いて下さい。みんなの歓声に酔った私は他愛もない願い事をしてみた)


先ごろ戦旗を照らし出した光が今度は講堂の天窓から私に降り注ぐ。

(うそ!出来過ぎ、出来過ぎです。お父様、神様、私泣いてしまいそうです)


さらに沸き上がる歓声、私は呆然として光を見上げた。



大地を揺さぶる歓声も、私が送った合図に従いフローラに戦旗を下げるとやがて収まる。

「皆、聞いてほしい、慣例により公女が率いる直営軍に参加出来るのは貴族のみとされている。だが諸君ら女には爵位は無い。そこで今回私は我が軍に参加した者には公国騎士、実家が男爵以上の場合には男爵家のそれぞれ当主に叙する許可をシュナイザー殿下より頂いている」


私の言葉の意味を皆が理解するまで少し待つ

「当然であろう。大公国騎士団が逃げ出した敵を殲滅する命がけの仕事だ。得られるのは僅かな金銭と名誉のみ、叙勲くらいされて当然である。」

クスクスと言う笑い声が涙で濡れた笑顔の間から聞こえる。

「あ~そうだ、もう一つ褒美があるな。それは100万の民の感謝!」


再び歓声が上がるが、今度は間違いなく乙女の歓声だ。


「「「シルディ様、万歳」」」


「「「クロスロード大公国、万歳」」」


「無論、参加は強制では無い。各人にはそれぞれ立場と言うものがある、参加は自由である。集合は、明日の7時、準備を整え9時に進発する。それまで各人思い残す事の無様に。解散」


壇上から降りる私に


「シルディ様と共に」


「シルディ様と共に」


騎士団お決まりのエールが湧き起こる。


(あ~~エリーの嫌いな騎士道様式じゃない。みんな騎士なの?騎士に今なっちゃたのね。え~~と、将軍の返しは何だったけ、確か、右手を挙げて・・・あーそうだ)


私は、右手を挙げ


「勝利は我らの手中にあり」

(あーーー我らじゃ無くって、「我が」だった)


「我らの手中にあり」


「我らの手中にあり」

(エールが変わってしまった。この子達対応能力はやっぱり一級品ね)

私は講堂を後に執務室に向かった。






やっと出陣出来そうです。

3日の道のりですが、まだまだ先は長そうです。

私的には出発までの間の人間ドラマも書いてみたいけど何しろ1000人。

それだけで物語が終わってしまいそうです。

あれ、それってわりと面白いかも、そういう方向もありなのかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ