表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

36/37

進撃4

メインテーマは、格好のいい男前なお嬢様の物語。

火曜日と金曜日に更新を行います。


夜明けより少し早目に起きた私は、既に撤収準備を始めている本陣の子達に挨拶しながらウノシルディス騎士団の宿営地に向かうと、同じく陣を見回っていたらしいベルンとフローラと合流した。


「「ヒルダ様、おはようございます」」


「ベルンおはよう。フローラもおはよう」

(お姉様が野営機材の整備に熱心だったのはやっぱり正しい選択だったわね)

個人用のテントを使っている私達よりも、鎧を脱いで毛布にくるまって寝ているだけのウノシルディス騎士団の方が撤収作業は簡単だが、簡易ベッドで寝ている私達と比べて、疲労回復と言う面では天と地程の差があるだろう。


「ベルン殿、全軍の出発は1時間後であるが、偵察を30分後に出して貰いたい」

ベルンの部隊は、撤収作業自体はもう終わりそうだ。


「かしこまりました。2名1組で10名で放射線状に5線、10キロ前方迄で宜しいですか」

ベルンは指示を伝令する為に副官のライナーに部隊長集合の合図しがら言う。


「はい、それで結構です。進軍中も5キロ進軍の度に偵察を出す様に手配願います」

森の中で騎兵隊が進軍する際に最も警戒するのは、伏兵による奇襲攻撃である事はお姉様から何度も注意を受けた。

実際、学園の遠征でもその偵察のお陰で盗賊団の攻撃を回避出来(たたきのめし)た事も何度かある。

もし、偵察で手抜きして奇襲を受けて損害を出したら、姉の私の評価はマイナスになってしまうだろう。


「かしこまりました。それでは失礼いたします」

ベルンは敬礼をすると各部隊長に指示を伝える為に離れる。



「まあ、実際に敵に遭遇するのは今晩か明日になるでしょうが」

私はフローラに意見を求める。


「そうですね、普通の軍であれば今日から偵察を重視したりはしないでしょう。

ただし、ベルン殿はウノシルディスとブルマイスター騎士団の連携訓練を兼ねてやって繰れるそうですよ」


「そうですか。お姉様が軍の運用を任せるだけの人物ですね」


「ええ、実戦での経験では私達よりも遥かに豊富でしょうから」

(その実績を素直に受け入れられるフローラもさすがだと私は思いますけど)


「それでフローラ、この後の予定は」


「1時間後に出発。それまでに朝食と撤収作業、それで宜しでしょうか」


「はい、それでお願いします」


「かしこまりました。ところでヒルダ様、朝食はお済ですか」


「いえ、これからです」


「それでは、ご一緒にどうですか」

私が頷くと、フローラは従卒に成ったらしい、男性騎士に命じて朝食を二人分用意させる。

20歳は年上の男性騎士から優雅に朝食を受け取るフローラ。

凄く自然に様に成っていて羨ましい。


「ヒルダ様、昨晩は良く眠れた様ですね。総大将の落ち着きが出て来ましたよ」

従卒の騎士の給仕にさりげなくお礼を言う姿が絵になるフローラ。


「ありがとうございます。努力しています」

フローラの真似をして、従卒の騎士に給仕に同じようにお礼を言うけど、フローラ程にはスマートに出来ない。


「大将なんですから細かい事は任せて、今の様に確認をしてくれれば良いのです。

部下の提案が問題無ければ『良し』、問題があれば悪い所を指摘するだけで良いのです」

そんな私を実の妹に言う様に諭すフローラ。


「はい、今回は知らない人の方が多いから、何処まで任せれば良いのかまだ掴めません」

つい、お姉様に愚痴るようにフローラにも頼ってしまう。

(エリーとは何となく友達と言うか仲間意識があるんだけど、フローラにはまだ、お姉様と妹って感じかな)


「それは仕方ないですね。でもベルン殿には任せて大丈夫。

ヒルダ様はウノシルディス騎士団との連携を保つ事に専念して頂ければ充分と思います」


「それで昨晩、吟遊詩人をしていた訳」

私はお姉様がフローラに話す感じでちょっと背伸びをしてみた。


「ま~あ、あれは趣味です。

10歳の時まで一緒にいた騎士達ですから、半分以上は顔見知りです。

乗馬や武術を教えて貰った師匠もいますから・・・・ヒルダ様」


「なっ、何ですか」

突然、真面目な声になったフローラにビビる私。


「ヒルダ様はシルディ様に成りたいですか」

無理に背伸びした妹を(たしな)める感じで言うフローラ。

(あっ、やっぱりさっきの背伸びしたのがバレている)


「勿論、憧れはありますがお姉様の真似は誰にも出来ません。

私は、お姉様のお手伝い出来るのが楽しいのです。

楽しいと言うのは、これから戦に行くのに不謹慎かも知れませんが」

フローラに私の貴族相手の交渉術は全く通用しない。

私は素直に本心を述べる事で謝罪をする。


「シルディ様は夢を語る方です。私達は夢を実現する者達です」


「私もそう思います。なので、私は私が期待されている事に全力を尽くします」


「わかりました、応援していますので、頑張ってください」

フローラは果実水の入ったコップを掲げるので、私もそれに合わせて乾杯をした。

(アブな~~、どうやら許してくれたらしい)


   ◆    ◆    ◆    ◆


「さて、そろそろ出発の時間ですが」


「行軍の順番は昨日と同じでいいわ。

先頭はベルン隊、次はカチア隊、私の本営隊が続いて、殿軍はウノシルディス隊ね」


「かしこまりました。伝令!」

フローラが伝令を使って行軍開始を伝える。


「今日は林の中を進む事になりますが、100キロは進まないと明後日の昼までにブルマイスター要塞に着けません」

行軍予定の確認を私は地図を指さしながら行う。


「超強行軍ですが3日目に無理をするよりは良いでしょう」

フローラも今日の宿営予定地点を指さしながら同意してくれる。


「私達以外の騎士団には苦しいわね。お姉様なら、どう士気を上げるかしら」

(今回は精鋭騎士ばかりだから出来るけど、通常だとこの行軍作戦は無謀ね)


「素直に全部ぶち撒けるんじゃないですか」

食べていた乾パンを飲み込んで言うフローラ。

(絶世の美女が台無しです。しかし従卒の目がハートマークになっていますが、フローラもお姉様と同じように魅了の魔法を使かえるのかしら。同じ黒髪だし。などとアホな事を考える私)


「確かにそうね、こんな感じでしょうか

『同胞が絶望の中、援軍を待っている。騎士の意地を我に見せよ』

という所かしら」

給仕の騎士が笑いを堪えているのが解る。自分で言って恥ずかしくなった。

(でもお姉様やフローラが同じ事を言うと騎士達はそれに応えるのよね)


「ヒルダ様、結構シルディ様に似てますよ」

フローラに褒められると一層恥ずかしい。


「・・・有難う、これで行きましょう。私はベルンとカチアに激を飛ばしてきます」


「では私はウノシルディス騎士団の目を覚ましてきます」

私とフローラはハイタッチをして分かれた。

ブルマイスター要塞健在なり この情報によりウノシルディス解放の余韻に浸る間もなく援軍を組織する事となります。 6万の残敵が健在な中、戦術的には不味い作戦が開始されます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ