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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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疾風の如く4

魔法とか転生とか全くない物語です。

メインテーマは、格好のいい男前なお嬢様の物語。

火曜日と金曜日に更新を行います。

「何、ヒルダ?」

緊張した声に私はヒルダを見る。


「お姉様はブルマイスターへの派遣軍の指揮では無く、本体の指揮を執るべきだと考えます」

ヒルダは私の目を真っすぐに見て進言を行う。


「ヒルダ、そう考える理由は、何かしら」

ヒルダの答えに一同の耳目が集まる。

特にブルックの視線が鋭い。


「派遣軍の指揮はフローラでも執れますが、ウノシルディス騎士団と公都から向かっている援軍の指揮は、お姉様しか執れません。

さらに、ウノシルディスの貴族とも今後の方針を決める必要があります。

それにはシルディ機関の情報を使いこなす必要があります。

とても前線の指揮を行いながら出来る事ではありません。

前線にクロスロード公国の旗印が必要と言う事であれば、私が参ります」

ヒルダは理論整然と意見を述べる。


バルタザール殿とブルックは関心したと言うように頷く。

フローラとエリーは不安げに私を見るが、私は別に突撃公女じゃ無いから異存は無いわよ。


さっき入った風呂のリラックス効果は、頭脳にもテキメンに効くようね。

私はヒルダの髪を撫ぜながら

「ヒルダ、最高の提案よ」

私はヒルダを抱きしめた。


「お姉様、ありがとうございます」

恥ずかしがる事なくヒルダが私を抱き締める。


「確かにウノシルディスの貴族との交渉を私以外に出来る者はいないわね。

それを見落とすなんて、ブルマイスターへの救援を焦って、余裕が無くなっていた様だわ」

ブルックは頭を掻きながら、バルタザール殿は称賛の眼差しでヒルダを見る。


「そういう事なので、人員を変更します。

派遣軍の司令官はヒルダ、副指令はフローラ。

バルタザール殿の騎兵隊はフローラが直接指揮を執るように。

カチアとベルンハルトについては変更ありません」

私の変更に全員が頷いている。


「我が家の騎士団もフローラが直接指揮を執ると言うのであれば、気合も入ろう。気に入った奴がいれば婿にしても良いぞ。はははは」

バルタザール殿がフローラに気合を入れる。(バルタザール殿がフローラで遊ぶ)


「そうですね、それは良いお考えです。

活躍次第では、私の婚約者候補に成れるとあれば、私のナイトとして戦ってくれるでしょう。フフフ、、、良い男はいるかしら」

さらりと極めて実現性の高い怖い事を言うフローラ。


(昔から騎士道に染まってはいたが、後半は周囲の悪い影響か)と何故か私を見るバルタザール殿。

(うん、私何かした? 最近フローラ、笑いがお可怪(おかし)しくない)


(誰の影響かは明らか)と私と見るブルック、ヒルダ、エリー。

(ちょっと、私泣いてもいいですか。みんな酷い)


「フローラ、何か疲れたわ。ワインを貰えるかしら」

私は精神的落ち着きを取り戻す為に、軍議中ではあるけれど侍女を呼びワインを所望する。


「さて、改めて気を取り直して、軍議を進めるわよ」

私はワインの力を借りて気合を入れる。


「残りの2部隊はウノシルディス騎兵1500騎と公都からの援軍1000騎と協力して残存兵を掃討しつつ南下、ブルマイスター要塞を目指す。

こっちのルートには糧食の用意は無いから、順調にいっても10日程度、戦闘による遅延を考えると20日は掛かる。

総司令官は私、副司令官はバルタザール、エリーは参謀と補給を担当とします」


「わかりました、シルディ様。ロングは城の守りに残し、馬車は補給に使用します」

エリーが補給の手配をしてくれたら兵站の心配は要らない。


「バルタザール殿、弓騎兵は10騎を1部隊とし、全部で40部隊編成します。

直衛の騎兵は1000騎を各25騎位の40の部隊に分けて下さい。

それぞれの部隊の指揮は弓騎兵の分隊長とします。

残りの500騎と、援軍の1000騎はバルタザール殿が直接指揮を執って下さい」


「了解した。家臣団調整は任せてくれて良い。ついでに援軍の坊ちゃんも教育してやろう」

バルタザール殿の直接指揮ならば、士官学校で学ぶ事よりも有意義であろう。

そしてエリーが兵站の重要性を叩き込むはずだ。

この士官候補生達は私の軍の中核を担う人材に育てたい。


「バルタザール殿。この作戦期間中、作戦に支障が無く、風紀の乱れを起こさない交際は許可します。

但し本校の生徒は全員公国騎士、特に分隊長は男爵の当主の貴族であるので、それを周知徹底させて下さい」


「了解であります。徹底致します。」

バルタザールは笑って頷く。


「ブルックは基本はウノシルディスでの情報収集と兵站の管理、状況によっては前線での調整をお願いします」

「わかった」

ウノシルディスと前線との移動の自由を与えられたブルックは嬉しそうだ。


「それとウノシルディスの管理ですが、バルタザール殿が遠征期間中は、アンゼルム殿の補佐としてブルックハルトに行わせたいと考えるのですが、バルタザール殿、如何でしょうか」

領地の管理は貴族の根幹に関わる重要な問題。

私が大公国公女であっても領主の許可無く行う事は出来ない。


「ブルックハルト殿の力量は、この20日間程のシルディ機関の采配を見て良く判っている。孫のアンゼルムと母のアデーレには明日伝える。出来ればその時に同席してもらいたい」


「かしこまりました。バルタザール殿」

「アンゼルムは12歳であるが、領主の(まつりごと)を教えてやって欲しい」

ブルックとバルタザールは互いに礼を交わす。


「それとバルタザール殿、城外の4万殆どの敵兵の遺体ですが、その装備の回収や埋葬については、ウノシルディスに避難した難民を積極的に使って欲しいと思う」

敵兵の残した装備の回収は兵の権利である。

これを覆す私の提案にさすがのバルタザール殿も驚く。


「成程、シルデイア様の考える軍とは騎士道と善意で動く軍ですか」

半分も納得していないバルタザール殿。


「アーレイやロングで吹き飛ばした敵兵は、誰が倒したのか判別する事は不可能です。よって、その装備の取得権利は、総司令官である私にあります。各将兵には私から恩賞として利益の配分を行います」


「成程、そうすれば兵の忠誠は部隊を指揮した者では無く、シルディア様、つまりクロスロード大公国に向けられるわけですか。素晴らしい」

今度は完全に納得してくれたらしく、しきりに頷くバルタザール殿。


「そういう事なので、埋葬所の近くに買取所をウノシルディスの商人に設けさせ、適正な価格で買い取らせます。買い取り価格の半分は回収した者に、半分は私の物としますが、この半分はウノシルディスの領主に納めます。

出張所以外での買取は禁止。特に傭兵共の入り込む余地を無くして欲しい」


「了解した。儂としても役に経たない傭兵に美味い所だけを持って行かせるつもりは毛頭ない」

バルタザールが私の提案を受け入れてくれた。


「ブルックには買取所の運営もお願い出来る?」

地味だが重要な仕事なので出来たらブルックに引き受けて欲しい。


「勿論だ、援軍が来る5日迄にキッチリ終わらせよう」

頼もしく答えてくれるブルック。


「お願いします」

私の政治にはバルタザール殿とブルックが必要不可欠なのは間違無い。

ブルマイスター要塞健在なり この情報によりウノシルディス解放の余韻に浸る間もなく援軍を組織する事となります。 6万の残敵が健在な中、戦術的には不味い作戦が開始されます。


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