疾風の如く2
魔法とか転生とか全くない物語です。
メインテーマは、格好のいい男前なお嬢様
春休みなので、校正が終わり次第投稿します。
「それでお姉様、今度は何をヤラカシタのですか」
ヒルダが、半眼で尋ねる。
「え~~とね、ちょっと最後に捨てゼリフをね・・・・残してきただけよ」
誰とも目を合わさない様に視線をそらして弁解する。
「それで、何とおっしゃったのですか」
エリーの声が追い打ちを掛けて冷たい。
(ヒルダにエリー、本当に貴方達二人、最近仲が良すぎませんか。さっきの謁見の時も、『動き出した』とか『2分する』とか何やら物騒な合意をしていた様だし)
「だから、『私の最後の願いは、一掴みで良い、我らの血が流れた土をいつの日か持ち帰って欲しい』と言ったの・・・・テヘ」
私の悪事の告白に一同が天を仰ぐ。
「あ~~~それを聞いたら、騎士に憧れる若い士官学校の生徒は飛び出しますね」
フローラ、同志よ、貴方だけはそう言ってくれると信じてました。
「士官学校を巻き込みたいのは解りますが、『みんなの命!私に預けて欲しい!』以上に恥ずかしいセリフですね。シルディ様の演技力は壊滅的なのに威力だけは絶大ですから」
エリーの解釈ではそうなるらしい。
(貴方だって講堂で私があのセリフを言った時は感動して涙を流して旗を振り回していたじゃない)
「お姉様、ご自分が美女で有る事を十分のご自覚した上でのそのセリフ。間違いなく悪女ですわ」
ヒルダは姉に容赦無し。
「シルディアが誘い込んだのなら、無下にも出来ないか?」
ブルックは納得してくれたけど、なぜに最後が疑問形。
それにセイレーンの魔女じゃないし、誘い込んだって婚約者に対してチョット酷くない。
「若い騎士の意地を見せてもらいますか。そういう事であれば援軍として、手配は致しましょう」
バルタザールが仕方ないと言う風に言う。
「申し訳ない、バルタザール殿お願いします」
やっぱりりバルタザール殿には頭の上がらない。
「いえ援軍には違いありません。
それに貴族の損得よりも騎士の誇りの方を重んじる若者が多い事が判って良かった」
バルタザール殿の教官スイッチの2つ目が入ったらしい。
(あと3つで鬼教官モード突入ね)
「ブルマイスター健在の情報が入るまでは、次の段階の残党狩りは、ウノシルディスの騎士達と来るかもしれない援軍の体制が整ってからと考えていたのだけれど。
状況が変わったわね。
速やかに援軍を送らないと時間的にギリギリね。
少なくとも援軍が来ている事をブルマイスターの守備兵に知らせないと籠城してから二十日余りそろそろ精神的に持たない」
私の言葉に一同が頷く。
「ブルマイスター要塞の健在が明らかになった以上、これを放置するのは、クロスロード騎士団がウノシルディスを見捨てたのと同じと思われます。戦術的には良くありませんが、お姉様の王道戦略的には万難を排して速やかに援軍を送るべきです」
ヒルダが戦略的見地から意見を述べる。
(私の王道的戦略って何、私はウノ族やその背後のフン族とも友好関係を築き上げてクロスロード公国を発展させたいだけよ。帝国と遣り合うつもりなんて全く無いんだからね)
「ブルマイスター要塞が失陥した場合、ロングがある以上、これを取り戻すのは容易としても、再建するにはかなりの費用がかかります。
それにロングもあと300本なので城攻めをするには少々心もとないです。
何よりブルマイスター家の騎士、約2000人を失う事はシルディ様には大きな痛手です」
エリーは費用と兵站の面から意見を述べる。
(やっぱりここでの会議は陰謀めいているわね。兵の命を数で数える幹部達、とても兵を実際に率いる部隊長クラスには聞かせられる内容じゃない)
「先の凱旋の時に分隊長のカチアと副隊長のクリスティーネは、避難民の前でブルマイスター領の奪還を神に向かって誓約し民に高らかに宣言した。
ベルンハルトの部隊も奪還に異議は無さそうだった。
もしブルマイスター要塞が交戦中である事を知っていたにも関わらず、援軍を送らずに失陥した情報が洩れた場合、君の軍は崩壊するだろう」
ブリックは私軍の一番強みであり、弱みを攻めて来る。
「そうね、私の軍は騎士道と人情で動いている軍だからそれを裏切れば容易に崩壊するでしょうね」
私はこの議論の結論を述べる。
「クロスロード大公国公女シルディア・フォン・クロスロードとして命じます。
ブルマイスター要塞の救援の軍を明日出撃させます」
「「「「シルディア殿下のお心のままに」」」」
ブルマイスター要塞健在なり
この情報によりウノシルディス解放の余韻に浸る間もなく援軍を組織する事となります。
6万の残敵が健在な中、戦術的には不味い作戦が開始されます。




