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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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入城5

魔法とか転生とか全くない物語です。

メインテーマは、格好のいい男前なお嬢様の物語。

火曜日と金曜日に更新を行います。

本日はもう一話更新を行います

「フローラ、カチア隊に攻撃中止。ベルン隊に撤退命令」


「はい、シルディ様。ヒルダ隊の攻撃はどうしますか?」

カチア隊とベルン隊への伝令を指示しながらフローラが尋ねる。


「フローラ、エリーはどう見る」


「既に10射ほどしていますので、半分は殲滅出来たと思います。十分かと」

フローラは残存敵数から中止を進言する。


「ロングの残弾数から考えて、後はアーレイに切り替えて良いかと」

エリーは残弾数から中止を進言する。


「そうね、フローラ、ヒルダ隊に攻撃中止命令。行軍準備を行う様に」


「かしこまりました。シルディ様」


「シルディ様、城の腕木通信台を見てください」

エリーがウノシルディス城の1キロ程先の通信台を指さす。


「通信開始・・・前衛2万壊滅・・・4万撤退・・・追撃の要無し・・・通信終わり」

エリーの解読に私もフローラも頷く。


「あれを使って通信してくると言う事は、ブルックハルト様の指示ですね」

戦場の部隊に直接命令を送ると言うアイデアに関心したフローラ。


「腕木通信のこんな使い方なんて、お兄様しか思いつかないわよ」

目をキラキラさせて兄を褒めるエリー。


「さすが、(私の)ブルック。又、新しい事を考え付いたのね」

満足に頷く私。






「シルディア様、敵は殲滅出来た様ですが、掃討する必要は今回は無いのでしょうか」

カタリナ隊とハイデ隊が引き上げて来るのを見ながら一足先に戻ったベルンハルトが私に確認する。


「ええ、今回は必要ないわ」


「理由を尋ねても宜しいでしょうか?」


「あの場所で掃討作戦を行うと、ウノシルディスの市民からその有様が丸見えです」


「確かに、勝ったのだから捕虜にして身代金をと言う奴は出るでしょうね」

この時代の常識的な戦争を語るベルン。


「それだけではないのよ。ウノシルディスの市民の2割はウノ族。

温情では無く私に慈悲を求めて来る者はいるでしょう。

私はそれは無視する事は政治的にできない」

私はベルンに表情を読まれるのが嫌で、やや上を向きながら言った。


「さすがシルディア様です。自分が軍人でしかない事が良く判りました」

(政治なんて関係ないのよ。無視したら私が悪女の噂が立ちます。それは嫌)


「それともう一つ、戦場に4万の死体があるわけですが、その装備品は私が買い取るとしても、回収や埋葬はウノシルディスに避難してきた者に行わせます」


「成程、避難民の金銭的補償と言うわけですね」

隊長のベルンの横で副隊長を務めるライナーも同じように頷く。


「それもあるけど、私はあの子達に過度な負担はさせたく無いの。

戦略目標は達成した。

これ以上の戦闘は無意味よ」

やはり女、甘いとか言われるかしら。


「同感です。彼女らの能力は貴重です。他の者でも出来る事に使うのは無駄です」


「あら同意してくれるのね。てっきり女には無理だとか、甘いとか言われると思ったのだけど」


「彼女達は初陣です。そして次世代のクロスロード軍の中核となる士官です。

初陣の勝利で高揚した気持ちに今、水を掛ける必要は無いでしょう」


「今は高揚した気持ちで凱旋させてやるのが、私達古参兵の務めです」

ベルンの言葉に副長のライナーも賛同する。


「貴公らは私よりも彼女らに優しいのね」


「お気に召しませんか?」


「いや、大いに気に入った。それに軍の中核となる士官か、ますます気に入った。

ベルン、今貴殿は今後のクロスロード大公国軍の有り様にについて、重大なアイデアを私にくれたぞ」

私はベルンハルトを6人目の副官に加えたいと本心から思った。

(ベルンはブルックとは相性が合うのかしら)


「過分なるお言葉にございます」

貴族的言葉をどこか(しゃ)に構えているベルン。


「さすがカチアに気に入られるだけの男だ」

(しゃ)に構えるなら私も負けないわよ。


「シルディア様、その件ですが聞いた噂では、結婚式で私を破産させるとか」

すかさず、痛い所を突いてくるベルン、やっぱりこの男との会話は面白い。

(ブルック、貴方が真面目過ぎて退屈とかそういう事じゃないのよ)


「はて、なんの事だか」

確かにハイデ隊の督戦でそんな事を言った様な記憶はある。

さて、どう誤魔化すか。


「シルディ様、あの~~~ソロソロ入城の手順を決めて頂けませんか」

エリー、ナイスフォロー。


「そうね、先ずはエリー、使者としてウノシルディスに立って貰える。

細かい段取りはブルックと詰めてくれれば良い」

やられたという顔のベルンは放置してこのウェイブに私は乗る。


「かしこまりました、シルディ様。大公国旗をお借りしますね」

エリーは大公旗を持つ兵を呼ぶ。


「構わない、持って行きなさい。でも入城の時には返してね」


「はい、シルディ様、ブルックお兄様に何か伝言はありますか」

エリーの言葉に周りの者の耳が大きくなる。


「『シャワーを浴びてからゆっくりお話ししましょう』と伝えて」

周辺で聞き耳を立てていた者の顔が赤くなる。

例外はベルンだけで

(そういうご関係ですかと妙に納得している)


「かしこまりました。シルディ義姉様(おねえさま)。それでは失礼します」

と自ら墓穴を掘ったエリーは出発する。

(私とブルックをからかうなんて十年早い)


「次にフローラ。部隊の入城は、本陣、ヒルダ、カチア、カタリナ、ハイデの準備で。ベルン隊は本陣の護衛として本陣の左右に配置。ベルンは、カチアと並んで入城。アーレイとロングの発射機にはカバーをかける事。後の細かい事は任せる」


「はい、シルディ様」

フローラが伝令を集めて指示を出す。


「それでは私も部隊に戻ります」


「ベルン、本当に助かりました。それと私の大切なカチアをよろしく」

(これでさっきの結婚式で破産の件は有耶無耶(うやむや)よ)


「はっ、かしこまりました」

ベルンは敬礼をして部隊に戻る。


「宜しかったのですか?お姉様」


「ザックりねヒルダ。考える事が多すぎて何の事やら」


「確かに国家レベルの事から家臣の結婚まで考える事が多すぎですわ」


「本当に、それで何の事?」


「ハイデが出た時はあれだけ騒いでいた城兵が、静まり返っています。敵が引いたにも関わらず」

ヒルダがウノシルディス城を見ながら言う。


確かに城壁には多数の城兵がいる。

しかし、歓声も無く静まり返っている。

アレほど振られていた旗も垂れ下がっている。


「大丈夫よ。秘密兵器があるから」

私の視線の先には伝令に命令を伝えているフローラがいる。


「成る程。フローラが戦旗を掲げて入城すれば、問題解決ですね」


「そう言う事」


「お姉様、フローラに戦旗を渡した時から、そのお考えでしたのですか」


「それは違う」


「そうですよね」


「正確にはアーレイを開発し始めた時からよ」

丸く口を開けたヒルダは可愛いかった。

いよいよ戦いが始まりました。

先ずはウノ族に占領されたウノシルディス領の奪還です。

機動力と圧倒的火力を武器に彼女らの快進撃が始まります。


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