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頑張ったのに悪女扱いは酷くないですか  作者: 梶 ゆう


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初陣4

魔法とか転生とか全くない物語です。

メインテーマは、格好のいい騎士物語。

自己保身の為に民を見放した最低貴族の代わりに立ち上がる格好のいいお姉様の物語です。

火曜日と金曜日に更新を行います。


「ベルンハルト殿も気が付いていると思うが、我が軍の戦法はこれまでの戦法とは大きく異なる」

私はこれから志願者を集めるベルンハルトに説明を行う。


「弓騎兵を中心とした戦法ですね。私達は槍騎兵ですから撃ち漏らした残敵の掃討が主任務で宜しいでしょうか」

的確なベルンハルトの答えに私は頷く。

(やはりこの御仁は並みの騎士ではない。私達と同等の発想の柔軟性を持っている)


「その通り。騎士道とは相容れない殲滅戦が私達の戦い。捕虜は獲らない、敵は殲滅する。それを了承出来る者だけを連れて来る事」


「かしこまりました」


「あ~それと、騎士らしからぬ振る舞いをした者は私が成敗する、軍法は私よ」

そこの二人、ヒルダとエリー、笑わない。


「勿論であります。人選は私に任せて頂いても良いのですか」


「任せる。編成が終わったら第一防衛線で合流してもらいたい」


「かしこまりました」


「それと、今後我が軍で行動中は不敬罪は適用しない。貴官の立場は部隊長と同格、つまりカチアと同じ。思う事があれば、遠慮なく申し出て欲しい」

(部隊長と同格)と言う扱いに関心した様に頷くベルンハルト。


「わかりました」


「それと貴官の軍で平民、あるいは貴族の当主でない者は、この戦いの後、騎士に叙す。難民に従った者も既に戦死した者にもな。ただし、年金は出るが領地は無い。何か質問は?」


「それは、有難いことです。戦死した者もその家族も浮かばれます」


「叙勲は、わが軍に志願しなかった者にも行う。叙勲目当てに志願する必要は無い」

(さすがお姉様、叙勲目当ての有象無象は要らないと言う事ですのね)

ヒルダ、独り言が漏れてるわよ。

と言うかワザとね。


「命の使い方は自分で考えろと。良く判りました」

(怖いお人達だ)

ベルンハルトも独り言返しを行う。


「武器の支給は行うが、防具については我が軍には在庫が無い。食糧、糧食については同様に支給する。ヒルダ、エリー手配宜しく」


「了解致しました。シルディ様」

「はい、お姉様」


「では、なるべく早く合流してもらいたい」

私達は騎乗しながら言う。


「はい、シルディア様。シルディア様の信頼に全力でお応えいたします」


「ふっ、ベルンハルト、期待している。それと、妙な独り言合戦は止めなさい。私の正義の義勇軍が悪の軍団の様に見えます」


「「「かしこまりました。シルディ様」」」

薄ら笑いで答える3人。

(ま~上手くやっていけそうかな。と言うか、貴方達、全然反省してないでしょう)



「伝令!伝令!」


「役目ご苦労。報告せよ」


「フローラ様からの報告。

敵軍発見。

第一防衛線、ウノシルディスより2キロ。

我が軍より8キロ。

数1万5千。

4隊に別れファランクスを組み進軍中。

推定遭遇時間、およそ2時間」


「報告了解した。フローラに命令。カチア、カタリナ、ヒルダ、ハイデ隊の順で2列横隊陣形で待機せよ。以上」


「拝命致しました。失礼します」

伝令は、馬を棹立ちさせて一点方向転換の妙技を見せつけ走り去る。


さりげなく技量を見せつけられたベルンハルトは驚きを隠せない。

「ベルンハルト、そういう事なので我らは行きます。」


「かしこまりました。急ぎ部隊を編制して合流致します」

まだ驚きから立ち直れないベルンハルトはカチコチの形式通りの敬礼で私達を見送った。




20分程馬を走らせると私達は本体に合流出来た。

「フローラ。ご苦労様、カチア隊の指揮を戻して良し」


「かしこまりました。カチア、貴方の部隊の指揮権を返します」


「指揮権を受領しました。それではシルディ様、部隊で指揮を取ります」

艶やかな敬礼してカチアは部隊に戻る。


フローラは陣の中央にある5メートル程の(やぐら)に私を案内する。


「陣の中心を少し前進させました。ここなら我が軍が展開する十分なスペースがあります」


「フローラ、こんな(やぐら)をわざわざ持ってきたの?」

私は階段を上りながら尋ねる。


「いえ、丁度いい竹林があったので、先ほど組立ました」

フローラは手すりの強度を確認しながら言う。


「敵の動きが良く見える。これは便利ね。正式装備にするべきね」

私は櫓の上に置かれた椅子に腰かけながら感心する。


「はい、シルディ様。検討してみます」

エリーとフローラも腰掛けながら言う。


「伝令と書記を配置しました。又、信号旗掲揚の柱も立てましたので部隊からも良く見えます」

伝令の言葉に反応した伝令が顔を覗かすがフローラが「何でも無い」と下がらせる。


「お茶が欲しところね」


お茶は冗談と思われスルーされてしまった(結構本気だったんだけど)

「・・・それでフローラ、敵の動きは?」



「4隊に分かれたファランクスの陣形で前方に3部隊、後方に本軍の配置ですね」

フローラが机に書かれた地図を差し説明する。


この机は黒板か。

地図はチョークで書かれている。

上手いものだ。






「教科書通りですね。100人50列5000人と言う所ですか」

エリーが敵の人数を書き込む。


「戦場は第一防衛線を最大に使っているので横幅2キロと言う所でしょうか」

フローラが地図上のウノシルディスの城壁と第一防衛線の草原の間を示す


「右の部隊の進撃速度が早いので、斜線陣ぽいですが、意図したものでは無い気がします」

エリーが右の部隊の記号を少し前に書き直す。


「そうね、第二防衛線から側面か背後を突かせる積りならば、逆だものね」

私は先ほど自分達が通って来た第二防衛線からこの戦場へと至る道を点線で書き足す


「やはり、別動隊がいますか」

その点線の始端をさしてフローラが言う。


「居るでしょうね。と言うか別動隊の迂回戦術位しか作戦は無いでしょう。蛮族に複雑な連携作戦は無理よ」


「第二防衛線の偵察からの報告は無いので、迂回軍が居たとしても合流まで4時間以上は掛かります。迂回軍が来る前に本隊を潰してしまえば問題有りません。時間差で各個撃破できます」

別働隊の存在推定位置に未確認とフローラが記入する。


「わが軍の配置だが、カチア隊を2分、左と中央の部隊に当てる。右の部隊にはカタリナ隊を当てる」

私は各部隊の進撃位置を書き加える。


「側面はどうしますか?」

「ハイデ隊を当てる。後方は監視のみとし、無視して良い」

フローラがハイデ隊の配置を書き加える。


「ヒルダ隊はどうしますか」

「中央に配置、戦況に応じて援軍として運用する」

補給部隊を含み攻撃部隊としては射程が2000メートルを越えるロングを前線に配置する必要はない。


「かしこまりました。カチア隊、カタリナ隊にはどの程度の攻撃を命じますか」


「30秒毎に斉射10連。ファランクス全体に休む事なく連射せよ。その間、戦果を確認する必要は無し。ひたすらに撃つ事のみに専念せよ」


「指揮官以外は敵を見るなと言う事ですか」


「そうだ、敵は私達と指揮官が見ていれば良い」


「かしこまりました。以上を命令書で伝達致します」

私達の作戦会議は書記が逐次速記していたので、書記官がそれを命令書に清書して伝令に渡す。





「カチア隊、カタリナ隊が動き出しました」


「フローラ、敵はこちらの動きをどう見るかしら」


「騎兵突撃の準備と見るでしょう。数は少ないと思うでしょうが」


「伝令!ベルンハルト殿、合流しました。数150騎」



「・・思ったより多かったわね。ヒルダ隊に、武器と糧食の補給をさせて」

チラッとベルンハルト隊の槍先が頭上に輝く整った騎馬隊を見る。


「これぞ騎馬隊という見本ね」

私は、やっぱりチョッと(うらやま)しかった。




「しかし、ファランクスと言うのはこんなにも遅いものか」

本当にお茶が欲しくなった。


「あと2000メートル、攻撃開始まで20分という所ですね」

フローラの声にも緊張は無い。


「お陰で敵を前にして作戦会議が出来きました」

エリーの言葉には皮肉がある。


「確かに、戦闘は指揮官が陣頭指揮する物と思っている凡俗共には、私達は臆病者に見えるでしょうね」

私はフローラとエリーを見てニヤリと笑う。


「どうせなら、本当にお茶を用意させましょうか」

エリーが悪戯っぽく笑う。

(貴方は聞こえていながらスルーしていたわけね)


「敵が敗走する姿を見ながらお茶を飲む淑女。絵になりますね」

フローラも乗ってくる。

(貴方は本当に絵師を呼びそうだからやめて。それにその絵って完全に邪悪な組織じゃない。そして私が悪の総帥。やっぱりお茶はやめましょう)





「伝令!ベルンハルト殿、戦闘準備完了です」


「命令!ベルンハルト隊はカチア隊の隙間を埋めよ」


「敵の右翼が1000を切りました。中央と左翼は1200」


「伝令!各隊に徹底、攻撃開始は、私の合図を待て。信号旗に注視せよ」

私は信号旗が緑な事を確認する。


信号旗の横には大公国旗と戦旗がはためき目立つ事この上ない。

(この旗はウノシルディスからも見えるよね)


さすがに10キロ近く離れたウノシルディスの城壁の上の様子はここからは見えない。


「やはり右翼は暴走していた様ですね。中央との差を詰めました。何処まで引き付けますか」


「右翼が300に達した所で全軍に対して攻撃開始。信号旗、赤旗3連掲揚用意」


「かしこまりました」

いよいよ戦いが始まります。

初陣の相手は正規軍2万。

こちらは援軍が加わっても千人弱。

これを正面から迎え撃つ事になります。



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