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蟲の鳴く声

 人はなんで産まれるのか

 答えられる大人はいない。

 あなたが選んだもあるし、あなたに会いたかったもある。

 私の母は何も言わない。

 私の質問はスルーして自分の意見は伝える人だった。

 私のなぜ、どうしてには答えない人だ。

 家事をしないといけない。

 お友達とも仲良くしないといけない。

 勉学もしないといけない。

 性格もよくないといけない。

 次はなんの責務が課されるのだろうか。

 いやだった私の思いはすべて無視。

 最初は母に憤った。

 何故私を産んだのかと。

 次に社会システムに憤った。

 女が結婚しなければ、子供は生まれない。

 子供が重責を背負って子供らしさを失うこともない。


 しかし、自分が大人になるにしたがって女性が庇護を求めるのは自然の摂理なのかもしれない。

 結婚なんてしたくない。

 もう暴力を振るわれたくない。

 愛想笑いもしたくない。

 大人に失望することもなくなるかもしれない。

 私の考えは独特で同世代には理解者はいない。

 分かっている文字にすればするだけ自分が傷つくだけだということは。

(同じように感じている人っているのかな)

 私が声をあげれば家族は苦しい思いをするようだ。

 いつもいつまでも。

 私は声を出してはならない。

 意見を言ってはならない。

 どうしてなんて言ってはならない。

 何故なら家族が迷惑するから。

 世間体が悪いから。

 世間って何だろう。

 なんで家族は杏奈に苦しそうな顔をして私を見るのだろう。

 もう大人なのに。

 私は蟲。

 人語を理解してはならない。

 学歴なんて身に着けていてはならない。

 誰もが思い描く無垢で無抵抗な子供でいなければならない。

 それがこの家に生まれた定め。



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