第9話 この世界について2
最近はマーサさんの手伝いをしながら、村の神殿に通い始めた。
エルモンさんから、この世界についてもっと詳しく教えてもらうためだ。
「今日も、たくさん学びたいな……」
私はそう思いながら、神殿に向かう。
「この世界には、まだ知らないことがたくさんある。魔法や魔物のことも、この国の歴史も、全部興味がある。」
神殿に着くと、エルモンさんが静かに本を読んでいた。
「おはようございます、エルモンさん。」
私は少し緊張しながらも、挨拶をする。
「おはようございます、シリウスさん。」
エルモンさんは優しく微笑みながら、本を閉じる。
「今日は、何を学びたいのですか?」
「はい、この国の歴史、魔法や魔物についてもっと知りたいです。」
私はそう答えながら、椅子に座る。
「特に、なぜ魔物が増えているのか、どうやって対抗しているのか……。それが気になります。」
「そうですか、それなら今日は王国の歴史から始めましょう。」
エルモンさんはそう言いながら、書物を取り出す。
「アルテリア王国は、約二百年前に建国された。初代国王は、偉大な魔法使いでもありました。」
「魔法使い……ですか?」
私はその言葉に、興味を引かれる。
「初代国王は、どんな魔法を使えたんですか?」
「彼は、自然の力を操る魔法に長けていました
。」
自然を操る魔法…、植物を生やすとか…?
エルモンさんは真剣な表情で説明する。
「彼の力によって、王国は繁栄し、多くの村や町が築かれました。この村もそれらの中の一つです。」
「なるほど……。」
その言葉を噛みしめる。
「この村は、そんなに歴史がある場所だったんですね。」
「ええ。」
エルモンさんは頷く。
「しかし、彼の死後、魔法を使える者は次第に減っていきました。魔法を行使するためには素質が重要である上に、才能と努力が必要です。」
誰もが使えるものではないみたいだね。
「そうなんですか……。でも、エルモンさんは魔法を使えるんですよね?」
「ええ、もちろんです。」
エルモンさんは頷く。
「しかし、現代では魔法を使える者は稀です。そのため、近年は魔物との戦いも難しくなっています。」
「魔物……。」
その言葉に少し緊張する。
「魔物は、どうして増えているんですか?」
「魔物は、闇の力によって生まれる。そして、その闇が徐々に力を増しているのです。」
エルモンさんは真剣な表情で説明する。
「昔は、王国の魔法使いたちが結界を張り、魔物の侵入を防いでいた。特に、この村は『風護の結界』によって守られていた。」
「風護の結界……?」
その言葉に興味を引かれる。
「それは、どんなものなんですか?」
「風護の結界は、初代国王が築いた強力な魔法だ。」
エルモンさんは地図を広げながら、説明する。
「この結界は、地脈を利用して風の結界を作り、魔物を寄せ付けないようにすることができます。しかし、結界を維持するには、継続的に魔力を注ぎ込む必要があります。」
「でも、今は結界が弱まっているんですか?」
私はその話に、胸が痛む。
「ええ、魔法使いが減り、結界を維持する力も弱まっている。」
エルモンさんは頷く。
「そのため、魔物の襲撃が増えているのです。私は村の結界を維持しているが、一人では限界があります。」
「……私も、何か役に立ちたいです。」
私は心からそう思う。
「その気持ちはとても嬉しく思います。」
エルモンさんは満足そうに頷く。
「しかし、魔法を使うには才能と訓練が必要だ。あなたにも、もし魔法の素質があれば、教えてあげられるかもしれない。」
「魔法の素質……?」
胸が高鳴る。とてもファンタジーだ!
「私にも、魔法を使える可能性があるんですか?」
「可能性はあります。」
エルモンさんは優しく微笑む。
「しかし、それには時間と努力が必要だ。あなたにはその覚悟がありますか?」
「はい、あります!」
私は即座に答える。
「この村を守りたいです。そのために、どんな努力でもします。」
「あなたの覚悟はしかと受け取りました。」
エルモンさんは微笑んだ。
「そうであれば、次回から魔法の基礎について教えて差し上げましょう。」
「ありがとうございます!」
第8話を読んでくださりありがとうございます<(_ _)>
風護の結界…
作者のネーミングセンスのなさが伺えます。
次回は、考察回!主人公の独白がメイン!
誤字脱字&誤った表現があれば優しく教えていただければ幸いです。
感想&レビューお待ちしております。