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シリウスはこう語った  作者: SHIPPU
第一章 転生
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第2話 現状確認

 果てしない草原が広がっていた。


 風が吹き抜け、緑の波がゆっくりと揺れる。


 空はどこまでも青く、雲一つない澄み渡った世界。


 その景色を目に、何か妙な新鮮感を覚えた。


 私は立ち上がり、周りを見渡す。


 足元には柔らかな草が広がり、その先には地平線まで続く草原が広がっている。


 どこを見ても、人気はない。

 ただ、風の音と、草が擦れ合う音だけが耳に届く。


「……まずは、落ち着こう。」


 深呼吸をして、自分に言い聞かせる。


 転生したこと、そしてこの広大な草原に一人きりでいること——すべてが現実だと受け止めるには、まだ時間がかかりそうだ。


 とりあえず、現状を確認しよう


 体は違和感を覚えぐらい軽い。


 服は、シンプルなドレス風のもので、素材は軽くて動きやすい。


 持ち物は何もない。


「でも……転生とか、まるでラノベやアニメみたいだね。」


 ふと、そんなことを思う。


 しかし、現実は物語よりもずっと複雑で、不確かで、少し不安を覚えた。


「そういえば……ステータスとか、あるのかな?」


 ラノベやアニメでよくあるように、私は意識を集中させ、心の中で呟いてみる。


「ステータス、オープン。」


 しかし、何も起こらない。


「ステータスウィンドウ、オープン。」


 もう一度試してみるが、それでも、何も現れない。


 今度は手を前に出し、空中を撫でるように動かしてみる。


 しかし、そこには何もない。ただ、広がる草原と青空だけが目に入る。


「……つまり、全部、自力でやるしかないってことか。」


 少し重い気持ちになった。


「水や食料もないし、このままではまずいね。」


 焦りが少しずつ心に広がるが、それを抑え込む。


「どこかに人里はあるのかな……?」


 遠くを見渡すが、どこまでも草原が続いている。


「……落ち着いて、一つずつやるしかない。」


 私は歩き始めた。


 風が頬を撫で、草の匂いが鼻をくすぐる。

 足元の草は柔らかく、歩くたびに小さな虫が飛び立つ。


「……こんな景色、初めて見た。」


 前世の記憶は曖昧だが、少なくとも、こんな風景に見覚えはない。


「もしかしたら、ここは……本当に異世界なのかもしれない。」


 歩きながら、自分の体の感覚にも慣れようとする。


 歩くたびに、ドレスの裾が軽く揺れる。


 髪もかなり長くなっているようで、風に揺られて頬に触れる。


「……全部、違和感だらけだ。」


 しかし、その違和感が、現実を突きつける。


 しばらく歩くと、小さな川を見つけた。


「よかった……川がある。」


 川の水は透き通っていて、底まで見えるほど澄んでいる。


「……まずは、喉を潤そう。」


 私は膝をつき、手で水をすくって口に含む。


「……冷たくて、美味しい。」


 その瞬間、ふと自分の姿が水面に映る。


「……これが、私。」


 水面に映るのは、若い女の子の顔だった。


 大きな目はサファイアのような青色、髪は金色で、太陽の光を浴びて輝いている。

 ————見知らぬ顔だ。


「……綺麗だな。」


 ふと、そんな感想が浮かぶ。

 しかし、その感情はすぐに戸惑いに変わる。


「でも、これが……()なんだ。」


 私はしばらく、自分の姿を見つめていた。

 ふと、頭の中にぼんやりとした映像が浮かんだ。


 暗い空、汚い街並み、人々は皆生気のない目で生きている。


「なぜ、こんなものが……?」


 私は目を閉じ、その映像を追いかけようとする。

 でも、掴みどころがなく、すぐに霧散してしまった。


 それは,まるで悪夢のようで,現実とは思えないほどに歪んでいた。

 でも、どこかで見たような、感じたような気がする。その光景は、私の心の奥底に深く刻まれているようで、触れるたびに胸が締めつけられる。


「……これって、私の……()()?」


 その言葉が口をついて出た瞬間、背筋に冷たいものが走った。

 もしこれが私の過去(記憶)だとしたら、私の前世は一体どういう世界に生きていたのか。


 でも、答えは見つからない。

 ただ、その不気味な光景が、私の不安感を募らせていく。


 ————————————————————


 少し気持ちを落ち着かせ、私は立ち上がり、再び歩き始めた。


「どこかに、村や町があるはず。それを見つけて、そこから……どうするか考えよう。」


 果てしない草原を前に、私は一歩一歩,進んでいく。


 風が背中を押すように吹き抜け、空はどこまでも広がっている。


「……これが、私の新しい人生なんだ。」


 その言葉を口にしながら、私は(未来)に向かって歩き続けた。




第2話を読んでくださりありがとうございます<(_ _)>


ステータスは存在しまん(泣)

ただ、無双(予定)になることに変わりはないです()


次回は、人里探しです。



誤字脱字&誤った表現があれば優しく教えていただければ幸いです。

感想&レビューお待ちしております。

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