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私、実は技術者につき

 転生前の私は技術者だった。プラントだったり、建築現場だったり色々な場面で物作りに携わってきた。いわゆる発明者というものだ。


 実はジョージが錠前作りに真剣になっていたとき、私も公務以外では自室に籠もり、この国、いやこの世界でどこまでの物が発明できるか研究していた。


 ジョージと別れて1ヶ月になるが、私はその間も自室でどんなものが発明できるかということを考えていた。


「この世界には魔法や魔法鉱石があるので、転用方法で色々作れるのよね」


 王妃になった手前、まさか王妃自身が前に出て発明をするような淑女らしからぬ行動はとれなかった。だが今は独り身だ。公爵令嬢に出戻りしたおかげで色々と自由が利く。


 そう言えばルークスお兄様とお父様はなにかを話し合っていて企んでいるように見えるのは私の勘違いかしら。


 私も自分の身の振り方を考えなければならないので、そろそろお父様に今後は公爵令嬢であるとともにお父様の商会に身を寄せて発明家になろうかと相談しようかと思っている。


 私はそう考えると善は急げとばかりに色々発明した図面を持って自室から出てお父様の執務室へ向かうことにした。


「急いで出てきたけど、お父様はいらっしゃるかしら?」


 私はそんなことを呟きながらお父様の自室の扉をノックする。そうすると扉の向こうからお父様の声が返ってくる。


「誰だ」


「マリアでございますお父様」


「入ってもいいぞ」


「それでは失礼いたしますわ」


 私はお父様の書斎の扉を開けると中に入る。中に入るとお父様は忙しそうに書類の整理をしていた。


「どうしたマリア?」


「少しお話がございまして」


「話か、少し待っていろ」


「はい」


 私が待ての返事に肯定をすると。お父様は書類を横にやり私の話を聞く準備に入った。私はそこで意を決してお父様に技術者になりたいことを言うのだった。


◇◆◇


「なに? 技術者になりたい?」


「はい、そうでございますわ」


 そこでお父様は腕を組んで考える。


「女で技術者か」


「変でしょうか?」


 そこでお父様は私に憐憫に似た視線を向けてくる。おそらく我が娘はこれから結婚できることもなく、独り身で暮らし、静かに技術者の卵として暮らしていくと思ったのだろう。


「少しお父様よろしいでしょうか?」


「なんだ」


「私、色々な発明を王宮でだけではなく、この一ヶ月間自室で描いていたんですの。見ていただけないでしょうか?」


 そこでお父様は少し考えた風にした後に、私に見せてみろと言ってきた。なので私は魔法を用いた発明や魔法鉱石を用いた発明を引いた図面を見せていく。


 お父様は一枚一枚私の引いた図面を見ていく。そして驚きの表情を浮かべる。


「魔法や魔法鉱石を用いた発明だと……この中には今まで私たちが考えたこともないような発明まである。このような技術をどこから得たのだマリア」


 まさか前世とも言えず、私は微笑みを浮かべるとなんとかうまいこと説明を回避する方法を考えて話した。


「先の夫ジョージがくだらない錠前を作っている間に、私は公務以外の時間はこうして発明品を作ることに没頭しておりました。どうせジョージも私にかまうことはなかったので」


 そういうとお父様はまた憐憫に満ちた表情をする。私が王宮で孤独に暮らしてきたのを察したのだろう。お父様はぼそりと言葉を零した。


「本当はこんな発明を作る暇もなく幸せになって欲しかったのが本音だ。そこは私は本当にすまないと思っている」


「王家の血を絶やすことはこの国にとって大変なことでございますので、私の身一つでそれがうまく回るのであれば私は受け入れるつもりだったので、気に病まないでくださいませお父様」


「そうか……それではお前の今後の身の振り方をも考えなければならないし、少し考えさせてくれ」


「よいお返事をお待ちしております」


 私はそういうとお辞儀のカーテシーをする。そんなときだったお兄様のルークスが部屋に駆け込んできたのは。どうやら相当慌てていたことが私にはわかるのだった。さてなんでしょうか?


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