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同窓会  作者: 早川由香
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長年の夢だった小説を書いてみました。僭越ながら自分の文章力を一度知りたいので、もしよろしければ評価していただきたいです。


稚拙な文章ですが読んでいただけると幸いです。

 同窓会


 暑い。体に湿気がまとわりつく。汗が背中をすーっと流れるのを感じる。夏、私は自主的にはほとんど外に出ない。引きこもりのような生活を送っている。運動なんかもっての他だ。外に出たとしてもクーラーが効いているむしろ寒いぐらいの百貨店やらレストランにしか行かない。その反動だろうか、ちょっと外に出るだけで、汗がぶわっと体中から噴き出す。気合入れた化粧も汗で流れているだろう。

待ち合わせの時間にはまだ10分ある。親友であり今回の同窓会の幹事である山本結衣子(通称 ゆっこ)と化粧室へ向かう。汗取りシートで全身を拭いた後、鏡を見ながら最終チェック。何しろ5年ぶりに会うメンバーだ。第一印象だけでも可愛く見せたい。

「あれ?あいつ、あんなにきれいだったっけ・・・。」

とか思われたりして。高校生とは違う大人な雰囲気で近況報告しながら思い出話に花を咲かせる。そんな期待を抱きつつ待ち合わせ場所へ戻る。

 

5年ぶりのメンバー。口コミで広がったことと急な日取りのせいもあって集まりが悪く12人の少数性同窓会となった。女子は必然的に幹事であるゆっこと仲の良いメンバーしか集まらず、私、早瀬花梨、松下貴恵の4人のみ。気になる男子は・・・どんなルートで連絡が回って来たのか知らないが、申し訳ないが普段思い出しもしない顔がほとんどだった。それもそのはずで、高校3年間クラスがほとんど被ったことがない人が多い。記憶を辿りながら名前と顔を一致させる。そして、心の中で今日の目標を立てる。

盛り上げは人に任せて、今日はおとなしく!ヘマをせず好印象で新しい交流を深めるのだ!大人しい子がモテるのが合コンの定石!(と、どこかに書いてあった。)

と、胸に誓い、いざ会場の居酒屋へ。こうして同窓会は始まった。


 個室の円卓を皆で囲み、特に懐かしくも何もないねー。しょっちゅう会ってるもんね〜。なんて笑いながら女子4人揃って並ぶ。男子は、お互い久しぶりのメンバーが多かったようでぎこちない近況報告がそこらかしこで始まる。

「山本がM1目指すために大学やめたらしいぞ。」

「有田は一流商社に入社したらしい。東大だもんなー。」

「お前は?」

「一流電気会社!」

「早瀬はばっちりメイクでOL中?」

「病院で勤務中〜。リハビリしてます。マッサージなら任せてね。」と、しなを作りながら早瀬。

「ていうか俺、まだ学生!」

「そういえば、学生してるやつも多いよな〜。出口は学生??医学部は6年性だもんな〜。」

「おおっ、そういえば俺らの中、医者も歯医者もいるな!将来安心だな〜。」

 なんて話を相槌をうちながら聞いていると、

「そういえば、広田も医学部だっけ?」

いきなり話を振られた私こと広田。

「うんうん。医学部だから後1年ちょっと学生〜。」

 私達は県下では名の知れた進学校の出身だったので、東大、京大に始まり、名門大学に入る子が多かった。ゆっこも一流企業のOL、早瀬も病院で勤務、貴恵は大学院で研究中と、優秀な仲間であった。男子も有名企業に入社した子が多かったことが今分かった。もちろん留年や浪人でまだ学生をしている子もいるが。

 話は高校時代の馬鹿な思い出話に変わっていき盛り上がってきた。話し上手な男子かっこよくなっててびっくりしたが女子サイドにも上手に話を振ってくれる。そんな気配りが、あぁ皆大人になったなぁ、見かけもちょっとかっこ良くなってるし、ビールの飲み方一つとっても様になってる。一人感慨にふけっていた。

「そういえば、俺らもう23なのに誰も結婚とかしたりしてないわけ?」

と、谷山君。そういえば誰も結婚してないよな、噂も回って来てないよね、あちこちでそんな声が聞こえる。

「由美、もう彼と付き合って長いよね。何年目?」

と貴恵が私を見ながら尋ねる。3年半?ん?あってよね?と心の中で一瞬計算。

「3年半かな。もう大分長いなぁ・・・。」

「さすが!付き合ったら長いなぁ。」

富森君が感心したように呟く。当時付き合っていた高森とのことを言っているのだろう。確か彼とは4年半付き合って、振られた。その一週間後、今の彼氏と付き合い、今に至る。

「絶対、今回は結婚する!逃がさない!」

と、冗談めかして言ってみる。

「まだ、貢がせてるんだろー?俺はお前は金のかかる女だと高校の頃から思ってた!」

と、宮元。ちょ、ちょっと、何てこと言うのよ!今日はおとなしく可愛い女を演じて帰るつもりなのよ?皆、笑わないで!早瀬もそのニヤニヤやめろ!

「そんなことないよ〜。」と可愛く応戦。

「いや、お前は怖い女だよ・・・。」

「広田の彼氏ってどんな人?」

即、早瀬が

「同じ医学部の人で、親も医者!車、下宿持ちのカネモ!!」

おいっ!敵は味方にいたか。

「そりゃ、逃がしたくないよな〜。」

「必死だな、広田!」恋愛はネタはいくつになっても盛り上がる。

いやいや、超が付くほどのドケチだし車も中古だよ、付け足したフォローもむなしく爆笑が広がる。開始たった一時間後の嫌な流れに失望する。

「違うからー!宮元黙れ!」

と、叫んでトイレに逃げ込む。宮元のヤツー!と思いながら、汗を拭く。くそっ!当初の計画が早くも台無しに・・・。皆、あんまり変わってないな。そう言えば、昔から宮元とはこんな感じだったっけ。私はよく喋るせいか昔からかわれることが多い。高校の頃から盛り上げて馬鹿騒ぎをしていた。どうしよう、盛り上げ役に回るか、それとも大人しくしているか、方向性を模索しながら化粧室から出る。席へ戻るときに宮元をチラッと睨みつけた。

「宮元の彼女はすげー可愛くていい子で羨ましい!」

恋愛ネタがまだ続いているようで、宮元と同じ大学の谷山君が宮元の彼女事情を暴露しているところだった。へ〜。と思いつつ、いい年なんだし彼女くらいいるよなぁ、ていうか、私も彼氏くらいいるし。と何故か自分を納得させる。

宮元とは3年間同じクラスの腐れ縁だ。高森とも仲がよく、遊びに行ったことも何回かある仲だったが、大学生になってからは疎遠になっていた。会うのは久しぶりだ。実は昔好きだった。報われることはなかったが。もちろん彼氏がいたので気持ちを吐露するつもりはなかったし本気で好きかどうかも分からなかった。淡い恋心ってやつだ。後になって聞いた話だが宮元も私のことが気になっていたらしい。本人から言われたわけでもないので本当かどうか確かめる間も機会もなく気づいたら宮元も誰かと付き合っており、そのまま友達として卒業。そんなことが少し思い出される。今の今まで、宮元のことなんか思い出しもしなかったのに現金なものである。

 料理がどんどん運ばれてくる。口が汚れる、口紅が落ちる、ガツガツ食べれないのが女子の常である。料理はそこそこにして話に耳を傾け相槌を打つ。無茶な飲みも強要されず、そこそこ盛り上がり皆ほろ酔い気分で良い飲み会である。

「は〜い!ここで一次会はお開きです!二次会行く人、手挙げて!!」

と、幹事らしくゆっこ。はいっ!はいはい、と皆ノリが良い。まだ9時だ。全員揃って二次会のカラオケへ移動。店の玄関先で宮元が貴恵と楽しそうに話しているのが見えた。ズキっと胸が。何だ、この感じは。

「では、カラオケに行きます!付いてきてくださいね。」とゆっこ。

ゆっこの後を歩き出す。外に出た途端、湿気がまとわりつく。汗が一気に吹き出る。夏はまだまだ終わる気配を見せない。いつの間にやら宮元が横に。汗臭くないかしら、と少し気にする。

「どこのカラオケ行くのかな。」

「そこに、カラオケなかった?ほら、昔お前と、高森と岩崎の4人で行ったじゃん。覚えてる?」

「あ〜!そういえば行った行った!宮元が1000点満点中40点だったとこだよね。」

「お前なー、何でそんなこと覚えてるかな…。お前だって、○○(当時人気だったアイドル)ノリノリで歌ってただろ!歌わせるぞ!」

「ちょっ!マジでやめてよね!さっきといい…。」

なんて軽口を叩きながら二人、列の最後尾を歩く。体が熱いのは夏のせいだ。しかし、5年ぶりに会ったのに、いや、会ったからこそだろうか、会話がはずむはずむ。期待していた大人っぽい会話にこそならなかったが、高校のときのまま脈絡のない、しょうもない話に笑い合う。時が立っても変わらない仲にほっとする。


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