シリアスとコメディの程よいミックス
時間なく、図表作れなかった…m(_ _)m
すみません…。
シリアスとコメディ――大半の小説にはこの両方が入っていると思います。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シリアス=リアリティ
コメディ=エンターテイメント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
シリアスな展開には真に迫るリアリティがあるが故に、ハラハラドキドキ感を楽しめます。
けれど、シリアスが多すぎれば、作品の雰囲気が重苦しくなり、読者を気鬱にさせます。物語の舞台がたとえ中世ヨーロッパ風世界でも、シリアスの根っこにあるのは、現実世界の世知辛さにも通じる物だからです。残酷描写にも同じことが言えると思います。
一方、コメディ要素には思わず笑ってしまう、一種の清涼剤のような効果があると思います。
読者はコメディが大好きです。ラブコメにも根強い人気があります。ランキング上位作品の約半数は、コメディ要素の強いラブコメです。
けれどこちらも多すぎれば、物語のリアリティが薄くなってしまいます。
抱腹絶倒な出来事って現実にはそうそう転がってないでしょう? 動物園のアルパカが、クルッと振り向いたらたまたま凄まじい変顔だった――とかなら、まだあるかも知れませんが、その程度では目の肥えた読者を満足させることは難しいです。なので、作者は『ウケ』のために話を盛る――エピソードの不自然さが増すことになります。
◆◆◆
シリアスとコメディ、どちらの要素もないと物足りなさを覚えますが、相反する要素なのでバランスが難しいですね。
特にコメディ要素は厄介です。
何故なら、書く側――作者にとっては、ネタさえ浮かべばコメディは楽しく執筆できるのに対し、シリアスは書く作業が思いのほか苦しく感じるからです。
た~にゃんも、ついついコメディに傾きたくなる一人です。
では、物語のどんなところがコメディ寄りだとマズいのでしょうか。
【おふざけ入れるとマズいシーン】
た~にゃんの持論に過ぎませんが、書く側としてここにコメディ入れたら難しい! と思うものを挙げてみます。
━━━━━━━━━━━
①悲劇的シーン
②心情描写全般
③戦闘シーン
④ラスボス
⑤内政エピソード
━━━━━━━━━━━
またまたしつこいけれど、これ以外にもあるかもしれない。
順番に考えていきましょう。
ーーーーーーー
①悲劇的シーン
ーーーーーーー
悲しい場面でおふざけやったら、悲しくなくなっちゃいますよね。心を抉るからこそ、悲劇的シーンには効果があります。
例えば悪役令嬢の断罪シーンで。
罪状が以下のようなものだったら、いかがでしょう?
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
バカ王子「貴様は権力を盾に、彼女に陰湿な嫌がらせをしていただろう! 彼女の紅茶だけ、三回目の出涸らしティーバッグを使われるよう仕向けたり、本来なら禁煙の給湯室を貴様が手を回して愛煙オツボネ様の憩いの場にしたのも証拠が挙がっている! むさ苦しいマッチョ共に歯磨きを許可したのも貴様だ!」
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽
※悪役令嬢の罪状が、給湯室の風紀悪化
悲劇的シーンは、その悲しみなり怒りなり何らかのマイナス感情を抱かせ、それを乗り越えるからこそ、カタルシス効果を味わえるのです。おふざけに走り、乗り越えるべき悲劇を壊してしまうと、必然カタルシス効果を感じにくく、共感を得にくくなります。
ーーーーーーー
②心情描写全般
ーーーーーーー
なろうに一定数生息する〇〇警察とやらに告ぐ――リアリティが必要なのはナーロッパ世界観ではない。人間の心情描写だ……!
タタタッ!!≡≡≡ヘ(*-ω-)ノ←投石が怖いので逃亡
壁|ω・`)チラッ
例えば恋愛、友情。どんなラブコメでもこの部分は真剣なハズです。多少のお笑い要素がやり取りを飾っているかもしれないけれど、思考まで『あり得ない』にはなっていないと思います。
恋愛のときめき、熱い友情、どす黒い悪意……。これらが活きるからこそ、作品に『人間味』を感じ、『感動』が生まれるのだと思います。
ーーーーーー
③戦闘シーン
ーーーーーー
戦闘は『命のやり取り』です。生きるか死ぬかがかかっている。特に異世界が舞台だと尚のことかなぁと(武闘大会=競技って設定もあります。一概には言えない)。
命を賭けた戦い=真剣な戦い。なろうにはアクションシーン好きな読者層――モンハン等臨場感溢れるゲーム経験者も多く、目が肥えていて油断できない――もいますので、下手にふざけて戦闘の質を下げないようにしたいものです。
ーーーーー
④ラスボス
ーーーーー
物語も佳境、ヒーロー&ヒロインの前についにラスボスが……!
~~♪(オーケストラ風BGM)
ラスボスその1「世界の破壊を防ぐため」
ラスボスその2「世界の平和を守るため」
ラスボスその1「愛と真実の悪を貫く…」
…………。
異世界転生して破滅フラグ叩き折った果てに対峙したラスボスが、ネコとナスを連れたラブリーチャーミーなかたき役だった件。
ぜんぜん怖くないですね。
全般的にコメディ寄りならともかく、シリアスを活かすならラスボスでふざけるのは、よろしくありません。
自分より強い者を斃す、困難を乗り越える場面は、物語の大切な山場であり魅せ場です。最低でも主人公が追い詰められる――『斃せないかも?!』とハラハラさせる強敵を用意したいところですね。
ーーーーーーーー
⑤内政エピソード
ーーーーーーーー
政治経済宗教は、勢力の大きさ&影響力の点で、物語全体の雰囲気を担う大切な要素です。ここでふさけてしまうと、一気に現実感のない『優しすぎる』物語に。シリアスが生まれにくくなってしまいます。
とはいえ。
これはおふざけ厳禁ではなく、要注意というところです。
おふざけ厳禁ではない――。
第一に、主に敵サイド――悪役令嬢ものだとバカ王子&乙女ゲームヒロイン陣営――の『おバカ設定』に理由があります。設定故に、誰が見ても愚かでアホな(限度はありますが)政策等を出すことも、時には必要だと思います。
また、史実を見ると「ふざけてんじゃね?」という政策や事件も割とあるのです。17世紀のロシアで『ヒゲ税』なるものが実在したのはご存知ですか?
第二に、難しいエピソードになりがちなので、振りきれ過ぎないコメディ要素でハードルを下げる努力も必要です。前にも言いましたが、読者に『頭を使わせる』エピソードはウケません。
いかがでしょうか。
エッセイ本編はここまでです。
次回から蛇足・断片・番外と題し、あと数話分掲載して締めようと思います。