中弛みがなく、テンポよく話が進む
・物語がサクサク進行する
・起伏があってハラハラドキドキ
紙の本と違って、ネット小説は隙間時間に読まれている――そんな話をよく耳にします。
(かく言うた~にゃんも、家事の合間や仕事の休憩時間に追っている連載作を読みに行きます)
なろうに投稿された小説は無料で読めます。
対価は『読む時間』です。
貴重な空き時間と引換えにするなら、より面白いものを読みたいですよね?
中弛みをなくし、テンポの良い物語を書くには、どうしたらいいのでしょう。
◆◆◆
【中弛みをなくすには?】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
①ラストまで原稿を書いてから投稿
②無駄な伏線を張らない
③〇〇目線や回想シーンに注意!
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
何度もしつこいですが、まだ他にもあるのかもしれません。もし「こんなのあるぜ!」というのがありましたら、ご教授くださいm(_ _)m
ーーーーーーーーーーーーーーーー
①ラストまで原稿を書いてから投稿
ーーーーーーーーーーーーーーーー
いきなりハードルが高い……。
けれど中弛みをなくす一番の方法は、物語全体を眺め、編集することだと思います。プロットをラストまで組むだけでは足りません。
長編あるあるかと思いますが。
【主人公が予想外の動きをする】
実際、自分も『RISE!』を書いていて、プロットから逸れて外れて原野を突っ走る……なんてことになりました。
原因はプロットの詰めが甘かったこと。プロット上で、『キャラ』が人間としてあり得ない思考をしていたからなんです。
最後まで原稿を書けば、プロットの詰めの甘さも露呈しますし、投稿前であれば、テーマを絞ったり、エピソードをカットする大技を使えます。
何より構成を弄れます。これは大きい。
あらすじに『既に下書きは完結済』という売り文句も書けます。高評価作家でもよく後書きに『ストックが切れました』って書いたり、エタることもあるわけですから、大きなアドバンテージになります。毎日投稿だって叶う。いいことずくめじゃないですか。
ーーーーーーーーーーー
②無駄な伏線を張らない
ーーーーーーーーーーー
見切り発車で書くと、なんとなく伏線っぽいのを作ってしまったりしませんか? サブキャラとサブキャラでカップル作ろうとしたり。
やりたいかもしれないけれど、それがメインストーリーに関わるものかはっきりしない、もしくは決めていないなら、やらない方がよいと思います。
例えばサブキャラカップルを作るにしても、動機が必要になったり、必要な情報やエピソードが無限増殖する可能性が出てくるからです。
ーーーーーーーーーーーーーーー
③〇〇目線や回想シーンに注意!
ーーーーーーーーーーーーーーー
これらが悪いと言っているわけではありません(念のため)。ヒロインの一人称で物語を書いた場合、ヒーロー視点でヒロインの可愛さをこれでもかと列挙するのは、ご褒美シーンだと思いますし、回想シーンで謎めいた設定や記憶を投入するのも、読者の『読みたい』欲を刺激するでしょう。
しかし、多用するといつのまにか、『要らない』情報やエピソードが溢れ、主人公の物語が停滞。中弛みまっしぐらです。また、〇〇目線を通じて過度な主人公礼賛(礼賛だけで一話分)をすると、読者を「物語、進まなかった……」とガッカリさせてしまう恐れがあります。
あくまでも物語のアクセントとして効果的に使えば、中弛み要素にはなりません。
◆◆◆
と、こんな具合に書いてみましたが、『テンポよく』って、なんだか曖昧ではっきりしませんね。もうちょっと具体的な手がかりが欲しい……。
【そもそも読者は、どれくらいの時間を一回の読書にあてるんだろう?】
こんな疑問が浮かびました。
現代人は忙しいです。学生から会社員、パート主婦……さまざまなライフスタイルの方が、なろうで束の間の読書を楽しんでおられます。
なら、読者が一回のなろう訪問で読める許容量ってどれくらいでしょう?
【訪問あたりの読了可能な文字数】
手っ取り早くランキングを分析してみることにしました。今回標本に選んだのは、異世界恋愛ジャンル月間ランキング上位100作品です(2020年11月21日時点のもの)。
内訳は、連載作が58作品。短編(ただし3部分以下の連載作もこれに含める)が42作品でした。半々くらいですね。
まずはこちらのグラフを御覧下さい。
ランクイン短編の文字数の分布です。
意外と1万字以上の短編がランクインしているんです。(17作品、ランクイン短編の40%)
短編は栞を挟むことができません。
けれど、読まれ評価をされているということは、一回の訪問で最後まで読めている、と推測できます。(※断言はできない)
1万字分の短編を一気読みできる――。
なろう基準では、読書スピードは分速500字。これで1万字読む時間を計算すると、1万字読むのに20分かかることになります。
つまり。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
訪問あたりの読書時間=20分/回
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
推測の上に作った仮説……つまり推測でしかないですよ!(ここ大事!)
でも妙に納得できませんか?
学校や仕事の休憩時間って、だいたい一時間か、業態によっては30分くらいでしょうか。
そうすると、トイレに行ったり食事したりの後のボーッと過ごせる時間って、これくらいじゃないでしょうか。
【連載作一話あたりの平均文字数】
次に、こちらのグラフを見て下さい。
タイトルの通り、こちらは連載作58作品の分析です。作品のトータル文字数を話数で割ったもの――一話あたりの平均文字数の分布図です。
2000~3000字で書いておられる方が多めのようですね(48%、約半数)。
とすると、一話あたりの読了時間は約5分。
この条件で。
読者が一度の訪問で読める文字数を1万字と仮定すると、連載作なら4、5話分が一度の訪問で読める文量、と推測できます。
つまり!
━━━━━━━━━━━━━━━
冒頭4、5話が勝負所!!
━━━━━━━━━━━━━━━
なぜなら、連載は一回の訪問では最新話まで読めない。「続きを読もう」、ブクマしようと思ってもらえなきゃいけない。4、5話目で「面白かった! 続きが気になる!」構成にしなければダメなんです。
なるほど。だから『婚約破棄』や『迫害&追放』が冒頭に来るわけです。でもって、早いとその直後に超絶イケメン細マッチョヒーローが出てくるんですね。
【連載作の長さについての分析】
さてさて。もう一つオマケの分析があるんだ。『長さ』についてです。
なろうにズラリと並んだ作品たち。手に取るにあたって、やっぱり長さは気になると思うんですよ。
はい、グラフどーん!
これについては、好きに見てね☆とだけ。
そも、標本はたった100作品ですし、エクセルさえあればサクッと、ぶっちゃけ紙と電卓さえあれば、手計算でもできちゃう超絶簡単な分析でしかないので。
気になる方は、自分で数字を弄ってみて下さい。
次回は⑥シリアスとコメディの程よいミックスについて書きます!