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君の椅子

作者: 大川真

「ねぇ?大丈夫?」


そう話しかけてきたのは、いつだったか…


ケガをした俺に話しかけてきたのは雨が降ってるお前が仕事からの帰りだったな。


それから、俺はお前の家に遊びに行くようになった。

お前も当然嫌がらなくて


「またきたの?」

「えっ?そこに座るの?まぁいいけど…」

「今日はあなたの好きなものを買ってきたよ?」


俺は至極当然のように居座るようになるが

本来の俺は一匹狼みたいなもんだ。


「すごい久々だね、四日ぶり?」

「どうせ、その椅子に座るんでしょ?そう思って片付けてないから」


彼女の言葉にフッとわっらた。


俺がいなくても彼女は生きていけるし、むしろ俺がいたら弊害になるだろう。

それでも、彼女は俺のために好きなものを買っていたらしい。

一緒に食べようとご飯を準備してくれた。

座る席は、隣の席。


気恥ずかしさなんてものはない。

俺は、出されたものを静かに食べて、暖かな日差しを感じて、横になればいつの間にか眠りこける。


こんな、ぜいたくな時間は、人生で初めてかもしれない。

だからこそ忘れていたのだ。

喧嘩を…、喧嘩の仕方を…


















「ねぇ?大丈夫?」


私は仕事の帰り道、彼に出会った。


ケガをしていた彼を家に案内して、嫌がる彼を手当てした。


そして、やはり疲れていたのだろう、そのまま眠りこけた彼に、私は一安心した。


次の日の朝、彼の姿はなくて、一抹の寂しさを覚えつつも「仕方ないか」とつぶやきながら職場に向かった。


家に帰ると、玄関前に彼がいて、びっくりして声にならなかったが、朝感じた寂しさが消え、顔が笑顔になりながら「どーぞ?散らかってるけど…」

玄関を開けると、まるで自分の家のように上がり込んで椅子に座った。


「あ!もぅ…その椅子が好きなの?確かに座り込ごちはいいけど」

いつか誰かのためにと買っていた奮発して買った椅子を気に入ってもらえたと思えばやはり顔はにやけた。


それから彼は頻繁に家に来るようになった。

私が休みの日、仕事が終わった日の夜から、翌日の夜までなど、彼のペースだったがそれは私を喜ばすには十分だった。


「今日は、あなたが好きなものを買ってきたよ?」


そう声をかけるが反応は薄い。でも、ご飯の時、残さず食べてくれるから嬉しいんだなってわかる。


でも、…彼はきっと、私と出会う前は一匹狼だったんじゃないかなと思う。

そんな彼を、私の家でこうして過ごして彼をだめにさせてるんじゃッて思うこともあった。


そう思った翌日から四日間帰ってこなかった。

『帰ってこなかった』というのは少し語弊があるかもしれない、ここは別に彼の家でも何でもないのだから


五日目、何事もなかったのように玄関で、待っていた時の安堵感はたぶん誰にも分らない。


「お帰りなさい」


そういって、彼のために買っておいたご飯をだす。

もちろん、隣に座って一緒にご飯を食べる。

これが幸せなんだって実感しながら


でも、それがいけなかったんだよね?






















「先生っ!!!助けてください!!」

彼女の腕の中には血だらけの猫がいた

「安心して下さい僕が見ますから」

彼女は床に崩れながらか弱い声で「お願いします」とつぶやいた。









「あぁ!もう、ほら!外に行きたいの?」

彼女げ玄関を開けると、しっぽ立てて玄関から一歩外に出て猫は振り返ると「にゃあ」と返事しながらそのまま歩き出した。

彼女はそんな彼を見ながら肩をすくめて「気を付けてね?」と見送ると部屋に戻りマグカップを

手に取ればの見かけのコーヒーを口にした。


あの日、いつものように彼女が家に帰ると、血だらけになった彼(猫)がいた。彼女はすぐに喧嘩して負けたのだと察したが、いつも彼女が帰ると起き上がるのにその反応すらない。

彼女は服が汚れるのも気にせずに病院に連れて行った。

そのおかげで一命はとりとめ、前のような関係に戻っている。

ただ違うのは、彼は、彼女が帰る時間には必ず玄関に戻り一緒の部屋に入る問う言うことだ。

別なサイトで載せていたものですが、練習がてらにこちらに思い出せる内容で書かせていただきました。


彼は人ではなく猫だということで、なるべく人にならないような言葉使いを選ぶのが大変ですが、どうしても失敗した気がします。


それでも、一つの作品として楽しんでいただけたら幸いです。

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