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09 不穏な夢
あんな出来事があったからかな。
その日は不穏な夢を見た。
顔の見えない誰かが私の前に立ちはだかっている。
燃え盛る景色の中、その人は歪んだ表情で笑い声を放っていた。
「はははははっ! 簡単に騙されちゃって、可愛そうなお方だ」
腕を広げたその人は、首の角度を変えて、こちらを見下ろしている。
「どうしてこんな事を。心を踏み時るような事を平気でできるのですかっ!」
「それが楽しいからさ、じゃあね。馬鹿で世間知らずなお姫様」
そして、意識が途絶える。
私ははっと飛び起きた。
部屋の中は暗くて、まだ時刻は真夜中だった。
「どうしてあんな夢を」
夢は終わったと言うのに、動悸がとまらなかった。