ヒロインはフラグクラッシャー
フラグクラッシャーヒロイン
思ったことを言っちゃう系
あほっぽいけど有能だし頭の回転は速い
実は名門貴族の庶子
母は弁護士
ここは、私立セントロイス学園。
由緒正しき良家の子女が多く通う学び舎である。
そんな素晴らしい学校に、家柄も特によろしくない私が通ってるのはなんだか違和感しかないのだけど。
私を端的に説明するならただの庶民である。
お母さんが弁護士で、お父さんは物心ついた時からいなかった。女手一つで育ててもらったお母さんにはとても感謝している。小さい頃にお父さんのことを聞いてとても悲しい顔をされたんだよね。子供心にも聞いてはいけないことはあると悟った。一つ大人になった瞬間だ。父親に関しては種をくれたことは感謝しているけど正直もうどうでもいい。
それからと言うものお母さんに苦労を掛けるのが嫌で大雑把な性格を外では隠し、イイ子ちゃんを演じた。良い職場への推薦をゲットするために優等生をしていたら何故かやんごとなき学園への受験の推薦状を貰ってしまったのである。
ありゃりゃ、やり過ぎた?
私の国は、まず7歳から12歳までが義務付けられた初等教育を受け、その後は平民は就職するか、騎士学校などの職業学校に通うかが普通である。貴族は初等教育の後中等教育、高等教育を受ける術を持つが平民にはない。
たまにとても成績がよく、素行がよく、運が良ければその中等教育への道は開けるものの、天文学的な確率だ。
そこに私が該当するなんて思ってもみなかった。 まあ受けるつもりはない。殊勝な顔で辞退すればいいとそれだけのつもりだった。
だって、学費も掛かるし、マナーなんてよく分からないし、貴族なんてくそくらえだし、断る一択だった。しかし、お母さんやその他の大人に押し切られて否とは言えなくなってしまった。
いや、その他大勢なんてどうでもいい。
お母さんの喜ぶ顔を見たら通わないなんて言えるわけないでしょ。マザコン?上等です。
庶民の学び舎で、ある程度いい成績を収めて、商会に雇ってもらう計画がパァになってしまったのだ。
早く稼いでお母さんに楽してもらうつもりだったのに!!!
正直ノーセンキュー。
外面を繕いつつ内心ぶすくれていたら、誰かが言った。偉い人に気に入られたら玉の輿も夢じゃないって。
そ、れ、だ!!!
脳内の私がスタンディングオベーションしていた。満場一致。素晴らしい。貴族に気に入られて私は侍女して雇ってもらう!!異議なし!位の上の方の家は待遇が段違いだと聞いたことがある。こういうやんごとない方は貴族しか雇わないらしいからどうにか気に入られなくては…!
やる気が再び漲ってきた。
やってやんぜ。コホン、やってやるわ。いけない、やってやりますわよ。うふふふふ。
先生のお知り合いの貴族の方から教材をいただいたからめちゃくちゃ勉強した。目をギラギラさせながら、学校の登下校やら、朝やら夕方までずっと勉強した。こんなに頭使ったのは初めてだった。なんとか約半年勉強続け、また私はやらかしてしまった。
通うからには学費免除の特待生を目指して熱が入りすぎたのが悪かったのか。
私が、首席ですって?
庶民の特待生は別に首席になる必要はない。というのも貴族は幼い頃から英才教育を受けているから成績が良くて当たり前。そのため庶民の中で3位以内、全体で2/3に入れれば特待生の座は手に入ったのだ。
それなのに。
首席が本来代表挨拶をするらしいのだが、同率首位がいたらしい。そのため首席を辞退して欲しいと頼まれた。首席だと色々な特典が付くらしい。特待生にはなれると言われたので別に構わない。即効頷いた。何でおじさま方はそんな必死に頼み込んでいるんてしょうかね?
冷や汗だるだるだけど何かあったのかしら。
それに首席であったことを黙っていて欲しいと言われた。いやそれ私に知らせなければ良かったんじゃないか?と思ったけれど見返りとして制服を無料でくれると言われたから何も気にしないことにした。数字が先に出てしまったから無理だったらしい。
太っ腹ね、校長先生!
(裏の利権とか大人の事情とか色々あったらしいけど私には関係ない。)
クラスは成績のいい、やんごとなき方しかいないSクラスになってしまった。
無理じゃない?馴染めなくない?
侍女への道が見えてきたからいいのか?
でも、風当たりやばそう。
まあやってしまったものは仕方ない。
どうにか最低限のマナーを身に付けなくては!
あと2ヶ月しか猶予はない。とりあえず見本となる人たちを探すことにした。字面より実際に見たほうが分かりやすいのよね。百聞は一見にしかずって言うじゃない??
貴族に人気のパティスリーでアルバイトが決まった。
ちょっと年齢誤魔化しちゃったけど許容範囲内よね?2.3年くらい変わらないでしょ?え、だめ?内緒よ。
従業員教育はしっかりとしているし、業務中はお嬢様方を見放題だし、お金は貰えるし、一石二鳥どころではない。
ほくほくとしながらお嬢様の仕草を見よう見まねで学んだ。
姿勢は正しく、笑顔は慎ましく、視線は斜め30度。なるほどなるほど。
試行錯誤してどうにかお嬢さんくらいにはなったと満足した頃、お嬢様方から普通に声を掛けられるようになった。
元々オススメを教えたり、紅茶の種類がどのドルチェに合うかなどを教えたりしていたのだけど、仲良くなったおかげでお嬢様たちの流行が知れたからよしとする。
お嬢様だって普通の女の子なのね。別世界の生き物だと思っていたから安心した。また金銭感覚は相容れないけれどそんなに恐れることはないわ。男さえ関わって来なければ。ここの注意は必須らしい。まあ興味はないから構わないけど。
今年はどうやら王家の2番目の殿下も入学するらしい。首席がどうのこうのときゃっきゃ騒いでる彼女たちを見て悟った。確かに私の存在は邪魔だと。言いくるめた校長たちを思い出して頷く。藪蛇は嫌だから一切口外しないと改めて誓った。
ん?ちょ、待てよ?
殿下とお近づきになれればこれ以上ないんでない?
頭の中でシンバルが鳴った。
これやで!!!
城の侍女はそう容易になれるものじゃない。身分や伝のなさで視野にすら入れてなかったけど、これはあり、かも?
礼儀も行儀作法も難しい読み書き。
学園で資質を磨いて、殿下と顔見知りになって、妹殿下の侍女にでもしてもらおう!
よし!頑張る!
さてさて、彼女の野望は果たされるのか。
彼女の戦いは続く。




