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095◆この世界の謎(フレミングの右手の法則)


◆この世界の謎


謁見の後、あたしと女王さまは、女王さまの部屋で二人きりで話しをした。


そして、重大な事実が判明した。


そう、女王さまも5年前に、あたしが住んでいた世界から、こっちの世界にやって来たのだそうだ。

やって来たと言っても、あたしと同じで気が付いたら、こっちの世界に居たそうだ。


しかも日本人だったし、話しをしていくうちに同じ高校で、こっちの世界に来た時の年齢まで同じだった。


これは、今起きていることを紐解く鍵になるやも知れない。


学校の7不思議の中で、裏山の見晴らし台に行った2年生の女子が忽然と消えた話しがあったのは、もしかしたら先輩の事だったのですね。


なんだ、あたしってそんな伝説みたいなことになってたんだ。

あの日は天気が良かったから、授業をこっそり抜け出して早弁をするつもりだったのよ。

でも、陽ざしがポカポカと気持ちよくて、ついウトウトしてしまって・・・それで気が付いたらこっちの世界に居て・・・

それから、いろいろなことがあったわ。


でしょうね。  あたしもいろいろありましたもの。


でもたった5年でこの大陸で一番大きな国の女王さまだなんて、いったい何があったのだろう?

とりあえず、同じ境遇の人に会えたし、それが同じ高校の先輩で、あたしの世界の話が通じる人なのがすっごく嬉しい。


でも先輩、マーリア・テレイデって名前は、どうしたんですか?


うふふ、本名の伊手真理亜いでまりあから付けたの。  女王さまっぽいでしょ。

セレネさんは、本名なの?


あたしは、父親が外国人なので、本名です。 オウゼリッヒのところは、好きではないんですけどね。


ところで、女王さまは元の世界に帰りたくは無いんですか?


あっ、二人のときは、まりあって呼んでね。

そうね・・元の世界には、戻りたかったけど、もう諦めたの。

世界中を飛び回って、いろいろなことを調べたけど、手掛かりは無かったし・・・

でも、そのおかげで、この国の女王までになれた。


そっか、まりあさんも、あたしと同じように世界中を旅したんですね。


今あたしはこの瞬間に旅の目的を失ってしまったのだろうか?

なんだか、強い脱力感に襲われる。


セレネさん、スマホの電池は、いったいどうしてるの?


あぁ、これは電気うなぎみたいなのに、ちゃちゃっと充電してもらったんです。

でも、この国なら、ダムを作って水力発電とかできるじゃないですか。


出力が小さくて構わないなら、小川の水車でも発電できますよ。

銅線はあるし、磁石もあるから発電機は簡単にできます。  フレミングの右手の法則ですよ。


ほんとね。 授業で習ったことなんか、すっかり忘れてたわ。 さっそく技術者を呼んで作らせてみる。

セレネ、ありがとう。 あなた、すごいわ!  もし、よかったらこの国の科学大臣になってくれないかしら?


えぇっ!  それはちょっと・・・


ふふふ、そうね。 いきなりごめんなさい。  でも、これからも友達でいて欲しいな。


それはもちろんです。 まりあ先輩!



ピンク色のスマホは、まりあ先輩がこっちの世界に来た後に流行った曲がいっぱい入っていたので、そのまま使ってもらうことにした。


発電機が完成して充電ができれば、あと何年かは使えるだろう。

もしかしたらリチウム電池の寿命の方が先かもしれない。

文明の利器も、いろいろな人や技術や製造方法があって作られている。 こっちの世界でスマホが作られるのは、あと百年以上はかかるかな。


そのころは、あたしは死んでしまっているけど、もしかしたら教科書にエジソンみたいに載ってるかも知れない。

そんなことを思って、ニヤニヤ笑ってしまった。


この後も、二人でいろいろな話をしたのだけれど、元の世界に戻る手がかりは、つかめないままだった。


いったい、あたし達はどうして、この世界に飛ばされてしまったのだろう。  この謎は、もう解くことはできないのだろうか。




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