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077◆南の港町(その2)


◆南の港町(その2)


お腹がいっぱいになったあたし達はエイミーとリアムに合流すべく、元来た道を戻って港町の外れに着いた。

桟橋には、大きな船が何隻も浮かんでいるのが見える。


この世界の船は、帆やスクリューで動いているのでは無く、モッフルダフの相棒のように大きな海洋生物|(大半は鯨)に曳かせて進むそうだ。

そういえば、大鮫のフィアスもこの港のどこかに居るのかも知れない。 モッフルダフのことは、早く彼に伝えなければならない。


エイミー達は、案外早く見つかった。

港に隣接した商店街の武器屋で、エイミーが夢中になって新型の銃を探しているのに、リアムが仕方なく付き合っていた。

普通の女の子だったら、洋服とかアクセサリーとか雑貨なんかを見てるんだろうけど、エイミーはミリオタだからなぁ・・・ 

リアムがあたしを見つけたとき、心底嬉しそうな顔をしたのを忘れられない。


へへ~ん。  セレネ、あたし達の勝ちだったね。  エイミーのドヤ顔がちょっとムカついた。


シルフとメイアは、お腹がいっぱいになったので、眠たそうだ。  てか、シルフはいつの間にか、あたしの胸の定位置で舟を漕いでいる。

少し早いけれど、メイアまで寝られてしまうと厄介なので、エイミー達に事情を話して、先に宿屋を探すことにした。



港町はたいそう賑わっていて、今までに見たことが無い様々な人種で溢れかえっていた。

あたしは既に獣人やモッフルダフに会っていたので、行き交う人々を見てもそんなには驚かなかったが、流石に体中に触手のようなものが生え、その触手がうねうねと動いている者を見たときは驚愕した。

あまり、ジロジロ見たら失礼だと思ったが、近くに群れていた鳩のような鳥を触手で捕食して食べているのを見たときは、思わずお昼に食べた魚をリバースしそうになった。


あたし達は、港の真ん中で見つけた、少し高そうだけどとても綺麗で大きな宿屋に泊まることにした。

部屋は港に面していて、港全体が見渡せた。  窓越しに海が見えると気持ちが安らぐ。

ここに来るまでの辛かった魔物達との戦いも癒されていく気がした。


部屋で一時間ほどくつろいでから、町の散策に出かけることにした。

シルフは爆睡していたし、メイアも眠たそうなので部屋に置いて行く。


エイミーとリアムを誘って、うきうきと街中を見て回る。 何しろ、こっちの世界に来てからこんなにたくさんの人を見るのは初めてだ。

中には一見魔物に見えるような人もいるけど、誰も襲って来たりしないので安心する。  


港町だけあってお店の種類や数はすごく多く、ざっと見て回るだけでも3日はかかりそうだ。

エイミーは武器屋を見つけるたびに、奇声をあげて店に突入していくのでとっても恥ずかしい。

隣のリアムを見るとやはりドン引きしている。  目が合って二人でクスクス笑ってしまった。


あたしは、自分の着るものを見たいので、途中から二人とは別行動をすることにした。

リアムは自分一人だけ、永遠と武器類の話しに付き合わされるのが嫌なようで、こちらを拝んでくるがきっぱり断った。

だってリアムと一緒だと下着とか見れないし、仕方が無い。


二人と別れるときにエイミーにこっそり「武器とリアムのどっちが大事なの?」と聞いたら、そんなの決まってるでしょと言われた。

いったいどっちが大事なのか正直気になったが、あたしが言いたかったことの意味は伝わったと思う。


この後、換金屋で宝物をお金に換えて、自分が欲しかった物とシルフとメイアのお土産を買って宿屋に戻った。


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