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075◆シルフの歌


◆シルフの歌


次の日、残されたモッフルダフの帳面を見ながらメンバーに報酬を分配し、ララノアとタケトにお礼を言って別れを告げた。


エイミーとリアム、あたしとシルフとメイアは、目的地の南の港町を目指す。


港町に行くにはダンジョンの地下2階の頑丈な扉を開けて、その向こう側にある地下トンネルを通って行かなければならない。

そのときは、もちろんあの場所を通ることになる。


あたしは心が痛んだ。 あの時、モッフルダフは、ほんとうにあの武器を使わなければならなかったのだろうか?

リアムは、ララノアの放った氷系魔法で逃げることができたし、ヒドラの攻撃もタケトの防壁シールドで防げた。


では、モッフルダフは無駄死にだったのだろうか。

いや、それはやっぱり違う。  あの時、モッフルダフが、あの武器を使わなかったらヒドラは倒せなかった。


ヒドラは再生能力が高い魔物なので半日も経たないうちに元通りの体に再生してしまう。

もちろん、失われた頭の一つも例外では無く元通りに再生するだろう。

これ以上何を考えても、いくらクヨクヨしても、モッフルダフは生き返らない。


あたしは、宿屋を出て途中にある花屋に寄って、名前は分からなかったけど白色の菊と蘭に似た花束を作ってもらった。

みんなの足取りも重く、廃墟要塞に着くまでには、いつもより随分時間がかかってしまった。


地下2階のヒドラとの戦闘跡に花束を供え、手を合わせてモッフルダフの冥福を祈った。

港町では、モッフルダフの相棒|(大鮫のフィアス)が待っているはずだが、いったい何と伝えたらいいのだろう。


あたし達は、モッフルダフに別れを告げ、リアムが港町に続くトンネルの扉の鍵を開けた。


ガチャン  ギギィーー


分厚く重い扉が、リアムの逞しい腕によって開かれていく。

トンネルの向こうからは少し黴臭いが、暖かい風が吹いて来る。


この頑丈な扉のおかげで、やはりこの先には魔物は侵入できなかったようだ。

ここからは長いトンネルをひたすら歩くことになる。


トンネルの中では、シルフが透き通るような綺麗な声で、妖精の間に伝わる歌を幾つも歌ってくれた。


少し寂しげな、そして時には明るく。  歌の調子は、くるくると変わり流れる。

その歌声がとても心地よく、気付けばあっと言う間にトンネルの出口に着いてしまっていた。

まだ歌が聞けるのならば、もう少し長いトンネルでもよかったと思ったくらいだ。


トンネルの出口側は扉がなく、外に出てみれば、そこは静かに波が打ち寄せる砂浜だった。



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