067◆2階層目(その4)
◆2階層目(その4)
おい、エイミー 大丈夫か?
リアムが抱きかかえていたエイミーをゆっくり床に降ろす。
痛たた・・
骨とかやってないよな? リアムが心配そうにエイミーに声をかける。
うん。 腕も足も動くから折れてはいないと思う。
エイミー。 いったい上で何があったの?
みんなが聞きたかったことを代表して、あたしが確認する。
いや、いきなりもの凄い奴に遭遇して、流石にあたしも気が動転してしまって・・・
それに、あんなスピードで動かれたら絶対に反応できないよ!
二発とも外すなんて今まで絶対になかったし・・・
エイミーが反応できないなんて・・・ いったいどんな魔物が出たの?
みんな、ケルベロスって知ってる?
聞いたことはあるよ。 確か冥界の番犬じゃなかった?
そう、そいつに似てた。 頭も三つあったし。
もう少しで頭を喰われるところだった。 恥ずかしいけど、まだ震えが止まらないよ・・・
エイミーは小刻みに震えている自分の両手指を見て黙り込んだ。
ここに長く居るのはまずいな! いったんダンジョンの外まで撤退しよう。
そう言うとリアムが、再びエイミーを抱きかかえる。
あっ。 歩けるから大丈夫だよ。 リアム降ろしてよ。
何言ってるんだ。 まだ足がガクガクしてるじゃないか。 いいから、しっかりつかまってろ!
後方を確認しながら、全員で主塔の外まで無事に撤退するが、念のためさらに城壁の外まで退いた。
笛で合図する間もなく撤退だなんて、リーダー失格だね。
エイミーがポツリと言う。
いや、正直1階層の戦いが楽勝過ぎたんです。 みんな油断してました。 リーダーの責任ではありませんよ。
モッフルダフがフォローする。
あたしもそう思った。 地下のドワーフもやっと倒せたくらいだし、2階層なんてもっとずっと凄い魔物がいてもおかしくなかったんだ。 もっと早く気が付いていればよかったのに・・・
でもさ、ケルベロスみたいなのが2階層に沢山いたら、どうしたらいいのかな?
あいつはロケットランチャを喰らっても全然平気そうな気がするよ。 エイミーはしゅんとしている。
エイミー、おまえ臆病風に吹かれたんじゃないよな? リアムが怒ったような声で言う。
リアム・・・
さっき、いろいろ作戦を考えただろっ! 手ごわい敵を倒すのは、力ずくじゃダメなんだ。
頭をつかうんだよ。 ココを使うんだ。 ほら、ココだよ。
リアムは、そう言いながらエイミーの髪をクシャクシャする。
あーー これは落ちたな。 あたしは、ニヤニヤしながらエイミーを観察する。
案の定、エイミーは頬を赤くして、惚れてまったーーーという顔をしている。
今日はこれ以上戦っても、いい結果にならないと思う。
俺は引き返すことを提案する。 リアムが真剣な表情で全員をゆっくり見回す。
やっぱり傭兵はプロだ。 頼りになる。
そうですね。 今日は引き返した方がいいでしょう。 モッフルダフも賛成の意を表する。
あたしもそう思う。 シルフもメイアも同時に頷いた。
よし! それじゃあ、とっとと宿へ戻って風呂でも入るかーー。
ざまーみろっ! うらやましーだろーー リアムは主塔に向かって大声で叫んだ。
それが負けた奴の捨て台詞みたいだったので、みんなが一斉にどっと笑った。
この後、エイミーは大事をとって、荷車に乗せられた。
リアムが荷車を引いていくといったので、セレネ・ファミリーは荷車を押しながら、ドナドナの替え歌をエイミーに歌ってあげた。




