059◆新しい仲間
◆新しい仲間
ねぇ、そこで見てないで、あたしと勝負しない?
広間の入口であたし達の卓球ごっこを見ていた傭兵に声をかける。
傭兵は、少しだけ面倒くさそうな顔をしたが、これは照れ隠しだなと思う。
やらないならいいけど・・・ ふふっ おそらくこれで食いついてくるかな?
お、おいっ!
ほら、きた♪ ←心の声
それは、なんていう遊びなんだ?
あぁ・・これはね、卓球っていうのよ。
卓球・・・ 面白そうじゃないか。 ぜひ俺にもやらせてくれないか。
いいけど、初めての人には難しいかもね。
おぅ。 でもよ! あのくらいのスピードなら俺にだって十分ついていけるぜ!
なっ!!
がっかりだよ。 せっかく勝てそうな相手を見つけたと思ったのにーー! ←心の声
メイア! この男があなたと勝負したいって。 相手してあげてくれる? 手加減はいらないから思いっきりやっていいよ。
なんだ。 お前が相手じゃないのか?
ぐっ
ふ、ふんっ あんたがメイアに勝てたら、最強のこのあたしが相手をしてあげるわ!
それでは、メイアVS・・・
コホンッ あんた、名前なんて言うの?
俺か? 俺はリアムだ。 よろしくなっ!
それじゃ、メイアVSリアム。 1ゲーム11点先取を始めます!
サーブはリアムから。
おう!
それっ
カッ
カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ
あたしは、しばらく広間の窓から降りやまない雨を憂鬱な顔をしながら、ぼ~っと眺めていた。
・・・
・・
・
カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カッ カコーーンッ
はぁ はぁ はぁ くそっ! スタミナ切れだ!
リアムがガックリと膝をついたので、メイアの勝ちとなった。 まぁ、戦う前から結果は分かってたんだけどね。
お・・面白かったぜ・・・ つ・・次は絶対に勝ってみせるからな!
そんなに息があがった状態で宣言されても説得力がないんですけどぉ・・ あたしは、ちょっと意地悪をしたい気分だ。
まあ、見てろって! このところ仕事がなくて体力不足だっただけなんだ。 少しトレーニングすれば絶対に負けないさ。
えっ、仕事してないの? 無職?
仕方ないだろ。 このところ国どうしの大きな戦争がないんだから。 俺たちは平和が続くと生活できなくなるのさ。
だったら、あたし達の仲間にならない? これからダンジョンを攻略するんだけど、人数が多い方が助かるの。
ダンジョンって、この先の要塞址(あと)か?
そうよ。 昨日、地上1層と地下1層を両方攻略してきたところ。
ほお、そいつはすげぇな。 あそこの魔物は手ごわい奴が多くて誰も攻略できなかったと聞いてたが。
もし一緒にやるなら、あたしの仲間に聞いてあげるけど。 どうする?
そうだな。 ここの宿代を払ったら、ちょうど金も無くなるし・・・
それじゃ、決まりね?
ああ、よろしく頼むよ、お嬢さん。
あっ・・ あたしの名前はセレネよ。 こっちはシルフとメイア。 あたしの嫁と娘です。
嫁って・・お前もしかしてやっちまったのか? こいつ(妖精)とキスしたのかよ?
だって、知らなかったのよ! そんな掟みたいなの。
てか、あんたなんで知ってるの?
はん。 俺だってだてに傭兵しているわけじゃないんだぜ。 なにしろ世界中の戦場を飛び回ってるんだからな。
モッフルダフとは別に、この世界のことを知っている人が増えるのは、あたしにとっては都合がいい。
こうしてリアムは、あたし達の頼りになる仲間になったのだった。




