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057◆地下1階層目(その2)


◆地下1階層目(その2)


ズゥン ズゥン


奥から大きな魔物が向かってくる地響きが聞こえて来る。

ここから脱出するには、いったいどうすれば・・・

焦っていて考えが纏まらない。 そうしている間にも魔物は、どんどん近づいて来る。


もうダメ、間に合わない。  シルフ、あなただけでも逃げて。

肩に乗っていたシルフをそっとつかみ、お別れのキスをしようと顔を近づけると、シルフの目が笑っている。

なによ! あなただけでも生き延びて欲しいと思ってるのに笑うなんて!


セレネ、あれ見て。  シルフは三日月目のまま、視線を魔物が迫って来る方に向ける。

シルフの目線の先を追ってみると奥からやって来るのが、メイアだったことに気づく。

な、なんだ。 マジで死ぬかと思ったよ。  体中の力が一気に抜けていくのがわかる。


つまりメイアは地下の廊下を一周回って来たってことだ。  それは、同時にこの階層の魔物が全滅したことを現す。

そしてよく見れば、メイアは口に何かを咥えていた。

メイア、いったい何を持ってきたの?


メイアの近くまで歩いていくと、メイアがあたしの前に咥えていた木箱をそっと置いた。

これって、もしかしたら?

メイアは首をゆっくり縦に振ると鋭い牙で木箱の上部をかみ砕いた。

その木箱の中には、キラキラ光輝く宝石や黄金の装飾品がいっぱい詰まっていた。


うわっ すご~い!  これは絶対にモッフルダフが大喜びするね。


メイアの背に跨ると、メイアが宝の木箱を足でつかんで1階まで舞い上がる。

自分で空を飛べるのは、ほんとうに羨ましい。


1階に降り立つと、既にモッフルダフとエイミーが、1階の魔物を殲滅していた。

モッフルダフは、宝物を見ると興味津々といった感じで眺めていたが、宝は全てあなたの物だと言う。

なんでも、こっちの世界では発見者に所有権があるらしい。

でも、あたしは皆でパーティーを組んで戦っているのだから、平等に分けるべきだと主張した。


それで、このダンジョンで見つけた宝物は全員で山分けにすることになった。 なんだか海賊になった気分がして、ニヤニヤしてしまう。


思わぬ事態で1階層と地下一階層の両方の制圧に成功したあたし達は、予定より少し遅くなってしまったが、この日はこれで宿屋に戻ることにした。


宝箱は結構重かったが、武器を積んで来た荷車が役に立った。


帰り道、エイミーにマシンガンで魔物を倒した事やマガジンを全部使ってしまって焦った事などを話した。

初めてマシンガンを使ったのにしては、すごいじゃないと褒められて、何だか銃にも興味が湧いてきた。


エイミーは荷車と一緒に宿屋の物置も借りていて、弾薬や武器をそこに保管しているので、2階層目を攻略する際にはマガジンも補充しておいてくれるらしい。


宿屋に戻ってお風呂に入ったあとに、ゆっくり食事をして、そのあと反省会を兼ねたミーティングをした。

あたしは、ダンジョンの床が傷んでいるので上層階に行くほど注意が必要なことや地下にいたカークスやドワーフのことなどを伝えた。


ミーティングのあと、モッフルダフが宝物の品々を鑑定して、結果を帳面に記録して行った。

宝石や装飾品は、かなりの金額になるそうだ。

また、鑑定中に木箱の底からオリハルコンでできた短刀が見つかった。

これは値が付けられないほどの神聖な物らしく、あたしが持っているべきだとモッフルダフが言う。

あまりに熱心に勧めるので、今まで使っていた短刀と替えることにした。


この事が、後々あたしの命を救うことになるのだが、その時はそんなことは思ってもみなかったのだった。


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